医学部入試

私立医学部入試の戦略(1)

「入試はこう考えて、こう進めて行けばいいんだ」といった、
入試戦略に関して時々、目にすることがあります。

その中の一つに医学部入試戦略として

志望校を決め、その大学の合格最低点をクリアするために
合格最低点から逆算してその大学に必要なことに絞って勉強を組み立てる」

というのがあります。

お問い合わせでも「志望校を決め、そこに絞って勉強するべきでしょうか?」
というご相談をいただくことがあります。
東大理III合格者の方が自らの体験を基に
この「志望校を決め、そこに集中」という作戦を勧めることがあるようです。

東大医学部在籍あるいは卒業の方が言うと
「なるほど」と思われるかもしれません。

ただ私は、この考え方は基本的に国公立大学を目指す
医学部受験生にのみ当てはまることだと思います。
国公立大学医学部の一般入試は前期と後期の2回、
最大で2校しか受験できません。

前期も後期も同じ大学を受験するのなら受験校は1校です。

そもそも受験校が1校か2校に限られるのであれば、
そこに狙いを絞り受験勉強を進めることは「有り」でしょう。
特に「東大」など特定の大学にこだわる受験生にとっては
有効な作戦なのかもしれません。

しかし、私立医学部受験生にとっては、どうでしょう?

普通、私立医学部受験生は医学部一般入試
少なくとも5校程度は受験するでしょう。
メルリックスの生徒には、10校程度受験するよう指導しています。

私立医学部入試は各大学の入試難易度に開きがありません
同じ様な入試難易度の医学部が揃っています。
そうなると受験生本人のその日のコンディションや
出題された問題がたまたま自分に合っていたかなどによって、
合格ラインの上に行ったり下に行ったりします。

慶応大学医学部東京慈恵会医科大学に合格した生徒でも
全ての受験校に合格するということは、あまりありません。

100人程度の定員に対し、1,000人以上が受験する私立医学部入試では
同じくらいの学力のライバルが少ない席を取り合います。
同じ集団が、違う大学で何度も得点を競うことになります。

毎回、上に行ったり下に行ったりを繰り返すわけです。
「やってみなければ分らない」と言えます。

私立医学部入試はこの様な状況ですから
「どこかの大学に絞り込んで」ということには、
賛成しかねます。

受験校は少なくとも5校以上必要だと考えています。
そうなると「志望校を絞り込んで」という作戦は成り立たなくなります。

ただ、文系再受験生などが帝京大学医学部に絞るということは、
考えてもいいと思います。
また、成功もしています。

では、私立医学部受験生のとるべき入試戦略とは、
どの様な戦略でしょう?

次回はそこをお伝え致します。