医学部入試

順天堂大学医学部で不適切入試(2018-12-11)

東京医科大学の不適切入試が明らかになった
ことを受け、文部科学省が全国81の医学部
に入試についての緊急調査を行いました。その
調査で男子受験生と女子受験生の合格率の差が
最も大きい大学が順天堂大学医学部でした。

順天堂大学医学部の過去6年の男子合格率は、
9.2%なのに対し女子の合格率は5.5%と全て
の医学部の中で最も大きな差があり、文部科
学省から不適切な扱いの疑いを指摘されてい
ましたが、順天堂大学は「不適切な扱いは行
っていない」としていました。

順天堂大学は、文部科学省から「事実関係を
速やかに調査するよう」要請を受け、3名の
弁護士からなる第三者委員会を作りました。
昨日、第三者委員会の「緊急第一次報告書」
の公表と記者会見を行い、不適切な入試があ
ったことを認めました。

不適切な扱いの一つが、1次試験合格者の判
定の際に、性別と浪人年数によって扱いを変
えていたことがあります。これにより女子と
浪人年数の多い受験生は不利になっていまし
た。

二つ目は、2次試験の合否判定の際に女子は
男子より高い基準としたことです。

新聞各紙も大きく伝えています。読売新聞は
社会面で「順天堂大は10日、今年と昨年の
医学部入試で、女子と浪人の受験生を不利に
扱い、合格者数を抑制していたとする第三者
委員会の調査結果を発表した」と伝えていま
す。

また、「順大は『不正はない』と回答していた。
これについて、新井学長は『大学の裁量の範囲
内と考えていた。第三者委で不適切とされたの
で、来年度以降は改めたい』と釈明した」とも
伝えています。

毎日新聞は、「代田浩之・医学部長は女子の合格
を抑制した理由に『女子寮の収容人数が少なか
った』としたが、2017年に新たな女子寮が完成
して問題が解消された後も続いた」としています。

2次試験で女子の合格基準を男子より高くしたこ
とについては「女子の方が精神的な成熟が早く、
相対的にコミュニケーション能力が高い傾向があ
る」と記者会見で発言したことも伝えています。

朝日新聞は「順天堂大学医学部で不適切に不合格
となった人数」について2017年度では、1次試験
で52名、うち女子32名。2次試験での不合格者
は24名、うち女子24名と伝え、2018年度入試の
1次試験での不合格者は65名、うち女子42名。
2次試験での不合格者は24名、うち女子は23名
と伝えています。

順天堂大学医学部では、2017年度と2018
年度入試の2次試験で不適切な扱いのために不合
格とされた48名全員について、希望があれば入学
を認めるとしており、28日を期限に入学の意向を
確認するとしています。

来年の2019年度入試の募集人員は、当初予定の
募集人員から追加入学者の人数を差し引いた人数
にする、とのことです。そうなると順天堂大学医
学部の来年度入試の募集人員は最大で48名減と
なる可能性があります。

順天堂大学医学部志望者は、来年度入試の募集人
員がどうなるか不安に思うのは間違いないでしょう。
順天堂大学医学部の出願は来週の月曜日、17日から
始まりますが、各入試区分の募集人員が確定するま
では、出願しにくいでしょう。募集人員の確定は、
年内ギリギリか年明け早々になると思います。順天
堂大学医学部への出願は、募集人員が確定してから
でいいと思います。

日本経済新聞は「大学医学部の入試をめぐり、性別
や年齢で得点操作などをする不適切な扱いが次々と
明るみに出ている。8日に福岡大、岩手医科大、金
沢医科大、の3校、10日には順天堂大学と北里大
学が公表し、計8校となった」とまとめています。

北里大学医学部については明日、改めてこのブログ
で、お伝えいたします。

ちなみに私も順天堂大学第三者委員会の55ページ
に渡る「緊急第一次報告書」を読みましたが、弁護
士が書いたものだけあって、なかなか読みにくい
ものでした。

本日は新聞報道を引用しましたが、新聞報道では詳
細が分かりませんので、近いうちに「緊急第一次報
告書」の内容についてお伝えしたいと考えています。

なお、鈴村学院長は医学部の不適切入試の影響につ
いて、生徒向けに分かりやすい図表を作成中です。
公開できるものは、公開したいと考えています。