医学部入試

「なんでこんなに浪人しちゃったの?」(2019-05-13)

週刊AERAが今年の医学部入試についての
記事を掲載しています。

その中に「6浪の末、今年私立医大に合格し
た男子学生」の話が載っています。この男性
の話として「多浪生は求められていない実感
がありました」という、実際に今年の入試を
受けてのコメントが出ていました。

この男性が多浪生は求められていないと感じ
た理由として「補欠合格をしても繰り上げが
全くまわってこなかった」というものが、あ
りました。

多くの医学部受験生と接していると、医学部
に合格出来なかった場合、その理由をいろい
ろと考えるようです。

多浪生の場合「多浪だから医学部に合格出来
なかった」と考えることも多いようです。こ
の記事の男性も、補欠になっても繰り上げが
来ないのは多浪生だからだ、と考えているよ
うです。

この記事からでは、どこの医学部の補欠にな
ったのか。何校の補欠になったのか、進学し
た医学部は正規合格だったのか、などが分か
りませんが、繰り上げが来なかったことを多
浪のせいと決めつけるのは、やや乱暴ではな
いかと思います。

現在、医学部を目指している多浪生の皆さん
は、多浪ということを意識しすぎない方がい
いと思います。多浪を意識することで「他の
受験生より、点を取らないとダメだ」などと
自分に余計なプレッシャーをかけてしまいが
ちです。

「多浪生は求められていない」と感じた理由
としてもう一つ、面接で「なんでこんなに浪
人しちゃったの?」という質問をされた、と
いうことも挙げています。

この話が出てくると「本当にこの男性は、多浪
生は求められていないと感じたのか?」という
疑問が湧いてきます。この記事を書いたライタ
ーの意向が強く出ている様にも私は感じます。

私の勝手な感想を言わせていただくと、このラ
イターは「医学部受験生は、医学部入試を信用
し切れていない」という話を書きたかったので
はないかと感じます。

そういったコメントを引き出すために、質問に
誘導があったようにも思えます。

医学部の面接において多浪生への質問で「どう
してこんなに浪人をしたのか」と聞くのは当然
と言っていいと私は考えています。また、多く
の場合、この質問をされます。

入試は、自校に入学するにふさわしい受験生を
選ぶためにあります。医学部の面接官としては
入学後に留年したり、医師国家試験に合格でき
なかったりする学生は、自校にはふさわしくな
いと考えるでしょう。

多浪生に多浪の理由を聞くのは、こういったこ
とから当然と、私は思います。面接官が「浪人
は長かったが入学後は問題ない」と判断すれば
多浪を理由に合格させないことはありません。

医学部の面接官は、どの様な受験生に対しても
「入学させていいのか」という視点で質問をし
ます。他浪生だけ特別扱いではありません。

「多浪生にはこういう質問が来る」ということ
は、多浪の医学部受験生なら誰もが知っている
ことだと思います。この男性も当然、分かって
いたでしょう。当然、この質問に対する面接官
が満足する答えを準備していたはずです。

こう考えると、「この記事はどうなんだろう?」
と思えてしまいます。医学部受験生やご家族が
変に惑わされなければいいな、と思います。

多浪生の皆さんは、医学部の面接では「どうして
こんなに浪人しちゃったの?」という質問が来る
と思っていてください。ここで、面接官が満足で
きる答えがあれば、多浪を気にする必要は全く無
いと思います。

最終的には、今年の医学部入試の結果データが出
揃ったところで、大学ごとに考えればいいと思い
ます。