【目次】
- はじめに:東京女子医科大学の推薦入試が注目される理由
- 昨年度(2024年度)入試結果:志願者動向と倍率
- 試験の全体像と特徴
- 小グループ討論(テュートリアル)が最重要となる理由
- 個人面接:志望理由書と自己評価書が“質問の8割”をつくる
- 思考力試験:出題パターンが固定化している独自試験
- 小論文:近年は「資料型」が中心
- 今年の展望:募集人員増で志願者が増加する可能性
- まとめ:東京女子医科大学の推薦は“理解して準備した人”が強い
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- はじめに:東京女子医科大学の推薦入試が注目される理由
東京女子医科大学の学校推薦型選抜は、受験生の間で近年特に注目を集めています。
その理由は、女性医師の育成では他大学を圧倒する伝統と歴史、さらに多くの女性医師の仲間を作ることができること、にあります。
試験内容は、小グループ討論(実質テュートリアル)、個人面接、思考力試験、小論文と多面的ですが英語や数学などの学力試験はありません。
「学力試験だけでは測れない「女子医大の学生として相応しい資質」を見極める試験の構成になっています。
今年は募集人員が増加したことで、より多くの受験生が関心を寄せていますが、まず昨年度の結果から状況を整理しましょう。
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- 昨年度(2025年度)入試結果:志願者動向と倍率
昨年の学校推薦型選抜(公募)の結果は次の通りでした。
- 募集人員:33名
- 志願者:62名
- 合格者:33名
- 倍率:1.9倍
推薦入試としては比較的「狙い目」に見える数字ですが、実質的にはしっかり準備した受験生が多く、特に 小グループ討論(テュートリアル)で大きく差がつく入試 です。
昨年まであった、「卒業生子女推薦」を廃したことにより、今年は募集枠が 33 → 38名(+5名) に増えました。
卒業生子女枠を無くした影響もあっで、今年は公募推薦入試の志願者数が増加し、100名に迫る可能性も考えられます。
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- 女子医推薦入試の全体像と特徴
東京女子医科大学の推薦入試は、以下の4つの試験で構成されます。
- 小グループ討論(実質テュートリアル)
- 個人面接(提出書類との整合性が重視)
- 思考力試験(独自形式の思考力評価)
- 小論文(資料型が中心)
一般選抜では行われない小グループ討論が課されるなど、どれも「女子医の学生」としての資質・姿勢が問われ、一般選抜とは大きく異なる評価軸を持っています。
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- 小グループ討論(テュートリアル)が最重要となる理由
東京女子医科大学が行う「小グループ討論」は、名称こそ「グループ討論」ですが、
実際には 医学部で行われるテュートリアル(PBL)そのもの です。
- 小グループ討論=討論ではなく“協働学習”
グループで課題の問題点を抽出し、解決の方向性を話し合う形式で行われます。
評価されるのは次の点です。
- 課題文・資料の正確な読み取り
- 問題点に気づく力
- 他者の意見を尊重しつつ議論を前へ進める力
- 医療者として適切な価値観
- 協働性・主体性・誠実さ
- なぜ推薦入試でテュートリアルを行うのか?
一般選抜では行われないこの試験が、推薦では最重要視されています。
理由は:
- 入学後の学習(テュートリアル型教育)との相性を見るため
- 医師としての協働性と倫理観を重視しているため
- 学力では測れない“人としての適性”を見るため
東京女子医科大学医学部は最も早くテュートリアル教育を取り入れた大学で、現在でも多くの時間を割いています。
一般選抜からの入学者は、テュートリアルへの適性は分かりません。
そこで学校推薦型選抜ではテュートリアルへの適性を持った受験生を選抜しようとしているのです。
東京女子医科大学としては「推薦入試からの入学者にテュートリアルをリードしてもらいたい」と考えています。
東京女子医科大学の学校推薦型選抜の配点は非公表ですが、これまでの合格者を見ていると小グループ討論は、
合否への影響が最も大きい
と考えてよい試験です。
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- 個人面接:志望理由書と自己評価書が“質問の8割”をつくる
女子医推薦の個人面接は一見シンプルですが、実は極めて対策しやすい試験です。
- ほぼすべての質問が提出書類に基づく
過去の受験生の傾向では、質問の 7~8割が志望理由書・自己評価書に由来 します。
つまり、
- 書類の内容を深掘りされる面接である
- 書類が面接対策そのものになる
ということです。
以下のような質問が多く聞かれています。
- 医師を目指す理由として、こう書いてあるが詳しく説明を
- なぜ東京女子医科大学なのかで書いてあることを、どこで知ったのか?
- 医師としてどんな姿勢を大切にしたいか
- 書類に記載した体験から何を学んだか
- 医師を目指す者として十分ではない点は何か?
- 自己評価書の内容の背景
提出書類の内容と、面接での回答に“矛盾がないこと”が大前提で、志望理由書と自己評価書に書いたことは何を聞かれてもいいように準備することが大切です。
いずれにしても、事前に面接で聞かれることの多くが分かりますので完璧な準備が可能です。
なお、女性の面接官は厳しい姿勢で面接を行うことが多くなりますので、落ち着いて自分の言葉でしっかりと答えて下さい。
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- 思考力試験:出題パターンが固定化している独自試験
東京女子医科大学の「思考力試験」は、他大学医学部の一般的な学科試験やSPIとは全く異なります。
- 思考力試験で問われる力
- データ・状況の読み取り
- もともと持っている能力
- 多面的な分析力
- 合理的・論理的な思考力
特徴として、出題のパターンが毎年ほぼ一定 であり、過去問のテーマ分析を踏まえることで対策可能です。
推薦入試の過去問は公表されていませんが、メルオンのような医学部受験に詳しい予備校なら「受験者報告」を持っていると思いますので、聞いてみるといいでしょう。
SPIのような“処理スピードゲーム”ではなく、自分の頭で考える力が試される試験です。
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- 小論文:近年は「資料型」が中心
小論文はここ数年、資料が提示される形式が続いています。
- 医療統計
- グラフや表
- 倫理に関わる文章
- 社会的課題を示す資料
これらの資料から問題点を読み取り、医療を担おうとする人物としてどう考えるかを書く力が求められます。
- 資料型で必要な力
- 資料の正確な読み取り
- 資料の要点抽出
- 背景の推測
- 自分の意見の根拠を示す
単に文章力だけではなく、「資料の読み取り」こそが最重要ポイント です。
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- 今年の展望:募集人員増で志願者が増加する可能性
今年の東京女子医科大学推薦入試(公募制)は次の通りです。
- 募集人員:38名(昨年+5名)
募集枠の拡大は朗報ですが、廃止された「卒業生子女推薦」を受けるはずだった受験生が公募に回ることと、募集人員増から「受けやすくなった」と感じる受験生もいると思われることから、志願者が増える可能性が高く、
志願者数は100名前後まで増えるかもしれません。
倍率は上がると思われますが、東京女子医科大学推薦独特の試験内容に対応した受験生が強いのは変わりません。
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- まとめ:東京女子医科大学の推薦は“理解して準備した人”が強い
東京女子医科大学の学校推薦型選抜は、一般的な推薦入試とは大きく異なる特性を持ちます。
特に 小グループ討論(実質テュートリアル) が合否を左右する最大の試験であり、
「入学後、テュートリアルでのリーダーとなれるか」が問われます。
- テュートリアルの意図を理解して練習
- 書類と面接の一貫性
- 思考力試験のパターン分析
- 資料型小論文への確実な対策
これらを丁寧に積み重ねれば、十分合格を狙える入試です。

