昨日は、私立大学の学部系統別で志願倍率を
見ると医学部は27.1倍で、医学部だけが飛
び抜けて高いことをお伝えしました。
本日は、国公立大学医学部の倍率を見てみま
しょう。
河合塾が、国公立大学医学部の倍率ランキング
トップ10を、前期日程・後期日程に分けて
発表しています。
河合塾が、国公立大学医学部倍率ランキングで
使っている「倍率」は、志願者数を合格者数で
割った数値です。
国公立大学医学部の場合は、合格者数は募集定
員どおりであることがほとんどですし、前期日
程では志願者数と受験者数も大きな違いはあり
ませんので、志願倍率に近いと考えてもいいよ
うに思います。
2019年度入試の国公立大学医学部前期日程で
最も倍率(志願者数÷合格者数)が高かったの
は高知大学医学部の地域枠で、29.0倍でした。
高知大学医学部の地域枠の合格者は1名でした
ので、倍率が高くなるのも分かります。
地域枠を除いた医学部前期入試の倍率を見ると、
奈良県立医科大学の9.3倍が最も高い倍率でした。
河合塾発表の国公立医学部倍率ランキングの前期
日程のトップ10は、高知大学医学部(地域枠)、
弘前大学医学部(一般枠+青森県枠)、奈良県立
医科大学、旭川医科大学、岐阜大学医学部、宮崎
大学医学部、鳥取大学医学部(一般枠+地域枠)、
福島県立医科大学、広島大学医学部、島根大学医
学部(一般枠+県内枠)の10校となっています。
国公立大学医学部前期日程の倍率トップ10を見
ると、全国に20ある政令指定都市と東京23区
にある医学部は、広島大学医学部だけです。
広島大学医学部は、前期日程の募集人員が前年よ
り18名多くなり、そのことで人気を集めました。
「倍率の高い医学部」は、大きな都市の医学部で
はなく、いわゆる「地方の国公立大学医学部」が
目立ちます。
国公立大学医学部入試では、センター試験の後に
大手予備校が「合格可能性」を発表します。これ
を見て、全国の医学部受験生は出願する大学を決
めます。
やはり、医学部受験生も地元の大学への進学を希
望する場合が多いのですが、例えば東京の医学部
は東京大学と東京医科歯科大学の2校で、どちら
も入試難易度は極めて高く、東京の医学部受験生
が地元の医学部に進学することは、「全ての大学
入試で最も高いハードルを越えなければならない」
と言ってもいいくらいだと思います。
こういった状況から、東京の医学部受験生は入試
難易度の高い東京を含めた首都圏の医学部ではな
く、合格の可能性を考えて「地方国公立大学の医
学部」に出願するケースも多くなります。
地元の医学部受験生に加え、大都市圏の医学部
受験生も出願してくることから、地方国公立医
学部、と言われる医学部の倍率は高くなりがち
です。
話は変わりますが「大都市圏の私立中高一貫校の
受験生が、地元勢を押しのけて地方国公立医学部
に入学しても、卒業後は、出身地の都会に戻って
しまう」と言われます。このことが医師不足の原
因の一つと言われ、その解決のために医学部に地
域枠が作られました。