医学部推薦入試

医学部・歯学部の「指定校推薦入試」、親が知っておきたい基礎知識

 

目 次

1,大学から「推薦依頼」があった高校だけが「指定校」となります。

2,「去年、指定校だったから今年も指定校」とはならない場合も

3,校内選抜の基準は高校によって様々。必ず確認を

4,指定校推薦を行っている医学部・歯学部は、ここ

5,医学部や歯学部では「指定校推薦を貰ったから安心」は通じません。

6,指定校推薦の過去問が公表されていない場合は、こうする

 

1,大学から「推薦依頼」があった高校だけが「指定校」となります。

 

医学部や歯学部を目指す子どもを持つ保護者の皆さんも「指定校推薦入試」という言葉を聞かれたことがあると思います。

この「指定校推薦入試」は医学部や歯学部だけでなく全ての学部で行われていますが、他学部とは異なる点も多く保護者の皆さんも正しい知識を身に付けて置かないと受験生本人から「何も分かっていない」と言われてしまいかねません。

 

指定校推薦入試は一般選抜や公募制推薦入試に比べれば合格の可能性は高くなるのは間違いありません。

だからこそ、医学部や歯学部の指定校推薦入試をしっかりと理解しておいて欲しいと思います。

 

ここから、医学部・歯学部の指定校推薦入試の仕組み、特徴、注意点を解説していきます。

 

ここまで「指定校推薦入試」と表記してきましたが、現在では「指定校制学校推薦型選抜」が正しい言い方です。

「推薦入試」は、「学校推薦型選抜」という言い方に変わっています。

ここをしっかり押さえておけば、受験生本人も「親も勉強してるな」と思うでしょう。

ただ、分かりやすくここから先も「指定校推薦入試」という表記も使っていきます。

 

学校推薦型選抜は指定校制と公募制の2つがあります。

公募制の学校推薦型選抜は、出願条件を満たし高校が推薦してくれれば、全国どの高校からも出願することが可能です。

一方で指定校制の学校推薦型選抜は、大学から「推薦依頼」が来た高校からしか出願出来ません。

 

2,「去年、指定校だったから今年も指定校」とはならない場合も

 

大学から高校に「自校に相応しい優秀な生徒を推薦してください」と依頼が来た高校だけが推薦出来、医学部や歯学部を持つ大学から高校に「推薦依頼」があれば「指定校になった」と言えるわけです。

この大学からの推薦依頼は、年度ごとに行われますので「去年指定校だったから今年も指定校」とは必ずしも言えるわけではありません。

去年まで来ていた「推薦依頼」が今年は来ない、ということも多くはありませんが、あります。

 

高校が指定校になっているのかは、必ず高校に確認してください。

 

指定校制学校推薦型選抜に1つの高校から出願できる人数は「最大2名まで」とか「1名のみ」などと大学が指定してきます。

ある大学の指定校制学校推薦型選抜を受けようと考えている同級生が1人だけであれば問題ないのですが、複数人いる場合は推薦可能人数まで絞るための「校内選考」が行われます。

 

この校内選考・校内選抜を勝ち抜いて初めて指定校推薦入試の受験が可能になります。

 

3,校内選抜の基準は高校によって様々。必ず確認を

 

ここでぜひ事前に調べておいて欲しいことが「校内選抜はどういう基準で行われるか」です。

3者面談などの際にあらかじめ確認しておくことをおススメします。

この校内選抜の基準は高校によって様々です。

 

単純に「高校の成績」を基準とする高校も有れば、生徒会や学校行事への取り組み姿勢、部活動の状況などを選考要素の1つとする高校もあります。

中には、「成績上位の生徒は一般選抜で合格するので、一般選抜では厳しいと思われる生徒に指定校の推薦を出す」と言う高校もあるようです。

「成績に自信を持っていたのに、成績以外の要素で選ばれなかった」ということもあり得ますので、ここは保護者の方も「何人を推薦してくれるのか」と合わせて、キッチリと把握しておいてください。

 

多くの高校では指定校推薦を希望する生徒に「事前審査書類」を提出させます。

医学部(歯学部)を志望する理由、その大学を志望する理由、高校時代に頑張ったこと、大学卒業後の展望などが求められ、提出書類も校内選考に影響しますので隙の無い提出書類を書き上げてください。

 

この「事前審査書類」の添削も行っていますが、1回でOKを出すことは極めてまれで数回のやり取りは必要ですので、高校にそういった書類の提出が必要なら早めに手を付けることをおススメします。

 

医学部受験、歯学部受験に詳しい人に添削してもらうのもいいと思います。

 

また、出願条件も必ず確認してください。

そもそも大学が指定する「出願条件」に合致していなければ、出願することは出来ません。

 

出願条件は例えば「現役生のみ」、「評定平均3.8以上」、「この科目を履修していること」などがあります。

 

4,指定校推薦を行っている医学部・歯学部は、ここ

 

では実際に指定校推薦入試を実施している医学部・歯学部はどの大学でしょうか?

 

私立医学部で指定校推薦入試を実施しているのは獨協医科大学、埼玉医科大学、北里大学医学部、金沢医科大学の4校です。

この他に昭和医科大学医学部が特別協定校推薦入試を行っていますが、特別協定校は指定校と同じと考えて構いません。

 

私立歯学部で指定校推薦入試を行っているのは北海道医療大学歯学部、岩手医科大学歯学部、明海大学歯学部、東京歯科大学、日本歯科大学生命歯学部、神奈川歯科大学、松本歯科大学、愛知学院大学歯学部の8校です。

大阪歯科大学は昨年まで指定校推薦入試を行っていましたが、今年から廃止されました。

 

5,医学部や歯学部では「指定校推薦を貰ったから安心」は通じません。

 

「指定校推薦を受ければ、ほぼ間違いなく合格」と言われることが多いようですが、それは医学部や歯学部では通じません。

 

医学部も歯学部も6年制です。

それだけ入学後にやることが多い上に最後に医師国家試験、歯科医師国家試験が待ち受けています。

 

指定校からの受験生だからと言って、安易に入学させるわけには行きません。

 

例えば北里大学の指定校推薦の結果を見ると昨年は募集人員35名に対し64名が志願し、合格者は35名でした。

半数近い受験者が不合格となっています。

北里大学医学部の指定校推薦入試は毎年、同じような結果になっています。

 

昨年の埼玉医科大学指定校推薦の結果を見ると、募集人員5名に対し18名が志願し合格者は5名で、倍率は3.6倍となりました。

 

私立歯学部では指定校推薦の合格率は高いのですが、東京歯科大学や大阪歯科大学は指定校推薦と公募推薦の結果を分けずに「推薦」の結果としか発表していません。

指定校の受験生全員が合格とはなっていないと思われます。

 

他の学部のように「指定校推薦を貰えたから、もう安心」とは行かないのが医学部であり歯学部です。

指定校推薦入試を受験することになっても気を緩めることなく、的確な準備を進めてください。

 

6,指定校推薦の過去問が公表されていない場合は、こうする

 

ここで受験生を困らせるのが「指定校推薦の過去問が公表されていない」と言うことです。

実際にどういった問題が出題されるのかが分からなければ、「的確な準備」は出来ません。

そういった場合には、医学部受験や歯学部受験に強い予備校に相談するといいでしょう。

 

例えばオンライン個別指導メルオンでは、実際に指定校推薦入試を受験した生徒から

聞き取りを行い、出題された問題をほとんど完璧に把握しています。

こういった予備校に相談するのがいいと思います。