目次
- はじめに|女子医推薦は「努力の量」ではなく「方向性」で決まる
- 思考力試験|問題数をこなしても評価されない理由
- 小グループ討論|女子医推薦で最も合否を分けるポイント
- 小論文|800字を書き切る力と評価を知ること
- 面接|「女子医の学生として相応しいか」を見抜かれる
- 多くの受験生が陥る失敗例
- まとめ|失敗を避け、女子医が本当に欲しい受験生になるために
- 東京女子医科大学推薦合格に向けて
- 保護者向けコラム|この入試で親がすべきこと・すべきでないこと
- よくある質問(Q&A)|東京女子医科大学・学校推薦型選抜について
- はじめに|女子医推薦は「努力の量」ではなく「方向性」で決まる
東京女子医科大学の学校推薦型選抜は、一般的な医学部入試とは性質がまったく異なります。
思考力試験、小グループ討論、小論文、面接、志望理由書・自己評価書。
偏差値や知識量では測れない要素を、多面的に評価する入試です。
メルオンの東京女子医科大学推薦対策講座では、今年度は受講生3名全員が合格。
昨年は4名中3名合格でしたが、その分析を踏まえて講座内容をさらにブラッシュアップ、今年は全員合格という結果につながりました。
受講生の中には、通信制高校の生徒も含まれていました。
東北の地方都市の生徒も見事に合格しました。
特別な環境にいる一部の受験生だけが合格したわけではありません。
合否を分けたのは、どれだけ頑張ったかではなく、どの方向に向かって準備したかです。
- 思考力試験|問題数をこなしても合格出来ない理由
思考力試験について、多くの受験生や保護者の方は「たくさん問題を解くしかない」と考えがちです。
しかし、これは典型的な失敗パターンです。
思考力試験対策で重要なのは、問題数ではなく考え方の再現性です。
例えば、
- 表やグラフ問題では
「まずやらなければならないこと」、「どこを見るのか」、「どの情報を重視するのか」 - 立方体の展開図では
「なぜその形になるのか」、「どう考えれば正解が見えてくるのか」という構造理解
この考え方のポイントを理解していれば、問題の見た目が変わっても問題なく対応できます。
一方で、先生の解説を聞いて何となく分かった気分になっただけでは、同じような問題が出ても応用が利きません。
その1問が解けたつもりになって、次々と問題をこなして行っても思考力試験への対応力は身に付きません。
実際、追加授業・追加課題で大量の問題をこなしていた受験生ほど、本番で対応できないケースも少なくありません。
これは、その問題を解く際の基本的な考え方が身に付いておらず、「同じ問題なら解けるかもしれないが、少しでも変化されると途端に解けなくなる」からです。
特に保護者の方は、受験生が女子医推薦の思考力試験に苦手意識を持っていると、追加授業でたくさんの問題に触れさそうとしますが、正答率は上がらないでしょう。
メルオンでは、「考え方」を理解することを最優先に指導しました。
現実的な話をすると、東京女子医科大学の学校推薦型選抜思考力試験は6割を超えてくれば合格圏に入ってくると思います。
また、これまで多くの合格者を見てきて、「思考力試験の合否判定での比重は大きくない」と感じています。
話は変わりますが、思考力試験にも変化があります。
2026年度入試の思考力試験では、以前は出題されていたものの最近は出題されていなかった言語系問題が出題されました。
今後は非言語系問題だけでなく、言語系問題への準備も欠かせなくなります。
- 小グループ討論|女子医推薦で最も合否を分けるポイント
東京女子医科大学推薦入試で、多くの合格者を見てきた者として分析すると、
女子医推薦で最も合否を分けているのは小グループ討論です。
これは自信を持って言えます。
その背景にあるのが、東京女子医科大学の教育の柱とも言える、テュートリアル教育です。
通常の講義であれば、
- 毎年同じ内容を話せる
- 教員のペースで進められる
しかしテュートリアルでは、学生の発言次第で議論の方向が変わります。
一般選抜で入学してきた学生の中には、
- 自分の考えに固執する
- 発言のたびに議論をおかしな方向へ持っていく
- 話の流れと関係なく突然、思いついたことを話し出す
こうした学生もいることから教員が事前に考えていた討論の流れ通りには行かないこともあり、教員の負担は非常に大きくなります。
一般選抜で筆記試験成績のいい受験生はいくらでも取れる。
しかし、テュートリアルに向いているかは分からない。
だからこそ女子医は、推薦入試で「テュートリアルをスムーズに進められる学生」を確保したい
これが本音です。
女子医推薦の小グループ討論は、まさに「テュートリアルをやらせてみる」試験です。
討論で「目立とう」とすることは、むしろマイナス評価につながります。
「たくさん話した方がいい」ということもありません。
評価者が見ているのは、
「この受験生がいてくれたら、テュートリアルが円滑に進むか」
この一点です。
メルオンでは「この受験生がいてくれたら、テュートリアルがスムーズに進む」と評価者が考えるために必要なことを徹底して指導しました。
いくつかあるポイントの中から、1つだけ言えば「話すことより聞くことが大切」です。
- 小論文|800字を書き切る力と評価を知ること
女子医推薦の小論文で最も大切なのは、50分の試験時間内に指定字数(800字)を書き切ることです。
小論文は数学のように「ⅠA・ⅡB・ⅢCの全てから出題」といった出題範囲が決めっている訳ではありません。
「学んだことの中から出題される」と言うことは無く、「何が出されても仕方ない」のが小論文です。
医学部小論文の授業でよくある、「患者の事故決定権」などの医療に関する言葉を学ぶことには、ほとんど意味がありません。
小論文で何より大切なことは「何が出されても、知らないことが出されても、50分で800字を書き切る力」です。
また、小論文は数学のように正解が一つではありません。
それぞれの受験生が自分の考えを書きます。
だからこそ、
- 自分で書く
- どう評価されるかを知る
- 添削を受けて修正する
この繰り返しが不可欠です。
実際、今年の小論文は
昨年までの傾向とはまったく異なる出題でした。
それでも対応できたのは、「何が出ても書き切る力」を身につけていたからです。
模範解答を書き写す対策では、この力は身につきません。
そもそも小論文の先生が提示する模範解答、模範文例は小論文の専門家が十分な時間を掛けて、必要があれば調べて書いたものです。
受験生がそれを意識したり、書き写すことに意味はないと思います。
メルオンでは、「とにかく書いてもらうこと、そして添削」をやりました。
- 面接|「女子医の学生として相応しいか」を見抜かれる
面接では、東京女子医科大学の学生として相応しい人物かどうかが見られています。
そもそも医学部入試は「入学者を選抜する」ためのもので、面接もこの視点で行われます。
そのためには、「女子医がどんな学生を求めているのかを」正確に理解する必要があります。
メルオンでは、
- 女子医関係者と継続的に情報交換
- これまでの受験生が聞かれた質問を蓄積
- 面接官の傾向(例年、男性教員は柔らかく、女性教員(学生部長など)は厳しめ、)も共有
こうした情報を踏まえ、具体的な面接対策を行いました。
志望理由書・自己評価書は、面接の材料であり、それ自体が評価されるわけではありません。
出願時に提出する物ですから「誰が書いたか分からない」ものです。
それを評価できるわけがありません。
塾や予備校によっては、志望理由書や自己評価書を書くのに何度も書き直させることがあるようですが、これらは評価の対象外で面接の材料として使われます。
高校生が使わないような言葉を使い、変に完成度を上げすぎて、面接で自分の言葉として語れなくなるのは、よくある失敗です。
志望理由書や自己評価書は「面接の材料となる」ことを意識して、自分の言葉で書くことが大切です。
「聞いて欲しいことを書く、聞いて欲しくないことは書かない」です。
- 多くの受験生が陥る失敗例
ここまで読んでいただくと分かる通り、不合格の多くは「能力不足」ではありません。
典型的な失敗例は以下です。
- 思考力試験で問題数ばかり追いかける
- 小グループ討論で目立とうとする
- 小論文を知識勝負だと思う
- 出願書類を完成品にしすぎる
- 面接で、どのような答えが期待されているかを理解していない
- 一般選抜の感覚のまま推薦に挑む
これらに共通しているのは、
女子医が推薦入試で、何を見ているかを理解していないという点です。
- まとめ|失敗を避け、女子医が本当に欲しい受験生になるために
東京女子医科大学の学校推薦型選抜は、
- 思考力試験
- 小グループ討論
- 小論文
- 面接
- 志望理由書・自己評価書
すべてが、期待する受験生像を別の角度から確認するための試験です。
だからこそ、対策をバラバラにしてはいけません。
女子医が本当に欲しいのは、
- テュートリアル教育に向いている
- 周囲と協働できる
- 入学後、周囲にいい影響を与える
この人物像を理解し、そこに向けて準備できたかどうか。
それが、今年度「全員合格」につながった最大の理由です。
- 東京女子医科大学推薦合格に向けて
女子医推薦は、情報と準備の差がそのまま結果に出る入試です。
メルオンでは、少人数制で一人ひとりの軸を確認しながら、女子医に評価される受験生を育てています。
「今の対策が正しいか不安」「女子医推薦に本気で挑戦したい」
そう感じている方は、一度、準備の方向性を見直してみてください。
- 保護者向けコラム|親がすべきこと・すべきでないこと
東京女子医科大学の学校推薦型選抜は、保護者の関わり方によっても、結果が左右されやすい入試です。
ここでは、保護者の方にぜひ知っておいていただきたいポイントを整理します。
親がすべきこと①
「頑張りの量」ではなく「方向性」を確認する
思考力試験、小論文、小グループ討論。
どれも「やればやるほど伸びる」と思われがちですが、
実際にはやり方を間違えると逆効果になることもあります。
- 問題数ばかり増えていないか
- 合格のために何が必要か理解しているか
- 小論文が書きっぱなしになっていないか
- 本人が自信を深めているか
この「方向性」を確認することが、
保護者にできる最も大切なサポートです。
親がすべきこと②
「女子医が何を見ている入試か」を理解する
女子医推薦は、偏差値や模試の順位で選ぶ入試ではありません。
- テュートリアル教育に向いているか
- 協働できるか
- 教員や周囲と良い関係を築けるか
こうした点を見られている入試であることを、保護者自身が理解しておく必要があります。
この理解がないと、「もっと授業を追加しなさい」、「もっと強くアピールしなさい」、「もっと目立ちなさい」
といった、逆効果の声かけにつながりかねません。
親がすべきでないこと①
「たくさんやっている=安心」と考えること
追加授業、追加課題、追加講習。
量が増えるほど安心したくなる気持ちは自然です。
しかし、女子医推薦においては量を増やすことが必ずしもプラスにはなりません。
むしろ、
- 思考が浅くなる
- 軸がブレる
- 子どもが混乱する
こうしたリスクの方が大きいケースもあります。
親がすべきでないこと②
志望理由書・自己評価書に過度に口を出すこと
書類は、
「うまく書けているか」よりも「面接で語れる内容か」が重要です。
親が文章を整えすぎると、面接で本人がうまく説明できず、評価を下げてしまうことがあります。
あくまで主役は受験生本人。
親は「方向の確認役」に徹するのが理想です。
最後に(保護者の方へ)
東京女子医科大学の推薦入試は、決して特殊な才能を求める入試ではありません。
大学が求める学生像を正しく理解し、そこに向けて無理のない準備ができたかどうか。
保護者の方には、その準備がズレていないかを冷静に見守る存在でいていただければと思います。
- よくある質問(Q&A)|東京女子医科大学・学校推薦型選抜について
Q1. 思考力試験は、どれくらい問題を解けば十分なのでしょうか?
- 問題数に明確な基準はありません。重要なのは「考え方」を理解できているかです。
思考力試験では、問題を何問解いたかではなく、似た問題が出たときに同じ考え方で対応できるかが問われます。
1問解いて終わりではなく、
- どこを見たのか
- なぜその情報を使ったのか
- 別の形で出たらどう考えるか
ここまで整理できて初めて「身についた」と言えます。
問題数を増やすだけの追加授業は、必ずしも効果的とは限りません。
Q2. 小グループ討論では、どのくらい発言すれば評価されますか?
- 発言量では評価されません。役割と姿勢が最も重要です。
女子医推薦の討論では、
- 議論を整理する
- 今、何について話し合っているかを常に理解している
- 他者の意見をつなぐ
- 話しにくい人に配慮する
こうした行動が高く評価されます。
「目立つ人」ではなく、「いてくれて助かる人」を、女子医は求めています。
Q3. 小論文が苦手ですが、医療知識を増やせば対応できますか?
- 知識量よりも「書き切る力」の方がはるかに重要です。
女子医の小論文は、テーマ予想が通用しないと考えて下さい。
実際、今年の出題は昨年までの傾向とは大きく異なりました。
だからこそ、
- 試験時間内に
- 知らないことであっても
- 指定字数(800字)を
- 論理破綻なく書き切る
この力を身につけておく必要があります。
そのためには、自分で書き、評価・添削を受ける経験が不可欠です。
Q4. 志望理由書・自己評価書は、どこまで完成度を上げるべきですか?
- 面接で話せる内容になっていれば十分です。
これらの書類は、
面接で質問するための材料です。
文章として完璧でも、
- 面接で説明できない
- 深掘りされると詰まる
この状態では評価されません。
「聞かれたいことを書いているか」
「自分の言葉で説明できるか」
この2点を基準に考えるのが正解です。
Q5. 面接では、模範解答を準備した方が良いですか?
- 模範解答の丸暗記はおすすめしません。
女子医の面接では、
- 想定外の質問
- MMI的な問い
- 価値観を問う質問
が出されることもあります。
重要なのは、女子医が求める学生像とズレていない判断ができるかです。
軸ができていれば、どんな質問でも一貫した受け答えができます。
Q6. 一般選抜向けの対策と並行しても問題ありませんか?
- 可能ですが、「考え方の切り替え」が必要です。
一般選抜では、
- 学力
- 得点力
- 正確さ
が重視されます。
一方、女子医推薦では、
- 協働性
- 思考の一貫性
- テュートリアル適性
が評価されます。
同じ感覚で対策すると、推薦では評価されないケースも多いため、入試ごとの評価軸を明確に分けることが重要です。
女子医推薦対策は多くの時間を必要とするものではありません。
一般選抜に向けての準備も並行してください。
Q7. 保護者は、どこまで関わるべきでしょうか?
- 「方向性の確認役」に徹するのが理想です。
書類の文章を直したり、答えを指示したりすると、面接で本人が困ることになります。
保護者にできる最大の役割は、
- 今の対策は女子医向きか
- 頑張る方向がズレていないか
この点を冷静に確認することです。
Q8. 女子医推薦は、どんな受験生に向いていますか?
- テュートリアル教育に前向きで、協働できる受験生です。
- 人の話を聞ける
- 討論の内容を理解している
- 議論を前に進められる
- 一人で突っ走らない
こうした資質を持つ受験生は、女子医推薦と非常に相性が良いと言えます。
積極的な性格である必要はありません。
自分の持ち味を上手くさせればいいのです。

