これまでも何度もお伝えして来ましたが、受験
勉強は志望する医学部の入試で合格点を取るため
に行うものです。
しかし、模試の偏差値を上げるために受験勉強を
しているように見える医学部受験生も、少なくな
いと感じます。模試は、全ての受験生を対象にし
た試験です。けして医学部入試を意識した試験で
はありません。模試の偏差値どおりに実際の医学
部入試の合否が決まるかというと、そうとも言え
ません。
模試の結果、模試の偏差値は医学部入試のいい目
安になるとは思います。しかし万能ではありませ
ん。「自分は医学部に合格出来なかったが、いつも
自分より模試の成績が悪かった友達は医学部に合
格した」こういう話はよく聞きますし、皆さんの
周りでもあると思います。
繰り返しになりますが、受験勉強は模試の成績を
上げるために行うのではなく、志望校の入試で合
格点を取るために行うものです。受験勉強のゴー
ルは「志望校の入試で合格点は確実に取れる」で
す。
ここで問題になるのは「国公立大学医学部と私立
大学医学部では、受験勉強のゴールが異なる」と
いうことです。
国公立医学部に合格するためには、まずセンター
試験に代わる大学入学共通テストで、「少なくとも
85%」を取れる実力が一つ目のゴールでしょう。
そして次に、「志望校の個別試験で合格点を取るこ
との出来る学力」が、二つ目の目指すべきゴール
になります。各大学での2次試験、個別学力試験
の問題は難易度の高い問題が出題されます。試験
時間は長いのですが、難問をじっくり考えて解く
力を養成することが必要です。国公立医学部を目
指すための受験勉強のゴールは、ここです。「時
間をかけても難問を解く力」です。
私立大学医学部入試の大きな特徴の一つが「試験
時間が短い」です。出題される問題は、国公立医
学部の2次試験ほど難しくはありません。しかし、
「どこかで見たことがあるような問題」を短い時
間で正確に解く必要があります。「短い時間で正確
に」ここが私立医学部入試のポイントです。
記述式の数学と言っても私立医学部入試では、途
中式は書く必要がなく、答えだけを記入させる大
学が多くなります。最終の答えだけしか、見てく
れません。問題そのものは難しくなくても、最後
まで正確にきっちり解く必要があります。短い試
験時間の中で、です。
私立医学部受験の目指すべきゴールは「どこかで
見たような問題を短い時間で正確に解ける」です。
国公立医学部と私立医学部では、受験勉強で目指
すべきゴールが異なります。「難しい問題が解ける
ようになれば、私立の問題は大丈夫」と考える受
験生もいると思います。確かに時間を気にせず解
けば、解けるかもしれません。しかし「短い時間
で正確に」となると簡単ではありません。どうし
ても慣れが必要です。
国公立医学部合格のための受験勉強と私立医学部
合格のための受験勉強の目指すべきゴールは異な
ります。国公立と私立の併願を考えている受験生
の皆さんは、そこのバランスを考えて受験勉強を
進めてください。