今年の夏は猛暑と言うより、酷暑という言葉がぴったりするでしょう。
受験生の皆さんは医学部受験、歯学部受験に向けて「夏」も頑張ったと思います。
しかし、その頑張りがかえって合格の足を引っ張っているかもしれません。
受験勉強は、ただひたすら頑張ればいいというものではありません。
スポーツの世界では根性論は影を潜め、科学的なトレーニングが広がっています。
様々な検証から、必要な筋肉を付けるための科学的なトレーニングなどが推奨されています。
以前は、野球のピッチャーは「肩を冷やすな」と言われていましたが、現在ではアイシングと言って投球後は肩を冷やします。
ベストコンディションを維持するための、科学的な解明が進んでいます。
私が大学受験生だったころには「四当五落」という言葉がありました。
「睡眠時間4時間で頑張った受験生は合格し、5時間寝た受験生は落ちる」という意味です。
まさに、根性論です。
現在では、「記憶は寝ている間に定着する」と言われ、睡眠時間の確保が重要とされています。
厳しい残暑に見舞われた9月も終わり、明日から10月が始まります。
この節目に、自分が適切な勉強方法を取れているかを、ぜひ確認してください。
自分では気が付かない疲労が溜まっているかもしれません。
「医学部に合格する」、「何が何でもあの歯学部に合格する」という強い気持を持つことはいいのですが、そこから来る頑張りが効率のいい勉強を遠ざけているかもしれません。
東京疲労・睡眠クリニックの梶本院長は、受験生にありがちな「隠れ疲労」に注意するように呼び掛けています。
これは、目標に向かっての強い気持から「本当は疲れているのに、疲労を感じない」現象ということです。
自分としては疲れを感じていませんので頑張り続けますが、本当は脳が疲れているので勉強効率はどんどん低下していきます。
梶本先生は、脳に疲労をためないために、「やる気があっても休憩は取る」ことを勧めています。
しのだの森ホスピタルの信田院長は、「やさしくする、と甘やかすは違う」と話しています。
疲れているのに勉強をやめられない人は、自分にやさしくすることと甘やかすことを混同している、としています。
「勉強をサボるのと、休憩をとるのは違う」「心理学的にも休憩を取りながら勉強をした方が、効率がいい」と言っています。
信田先生によれば、自分に優しくする例として、「決まった時間に休憩を取る。ノルマ達成のご褒美にスマホを見る」を挙げています。これに対して甘やかすの例として、「際限なくダラダラと休む。勉強の合間についスマホを見る」を挙げています。
受験生としては、なかなか休む勇気を持てないかもしれませんが、「睡眠や休憩は、戦略的な休憩」と考えて効率的な学習を進めるために必要なことだと理解してください。