医学部合格、歯学部合格を目指す受験生の皆さんは猛暑にも負けずに毎日、頑張っていると思います。
受験生の皆さんが頑張るのはいいのですが、偏差値を上げることを意識しての勉強は非常に危険です。
「偏差値が上がれば、志望校合格が近づくのでは?」と思う受験生や保護者の方も多いかもしれません。
「偏差値が上がる」とは、どういうことを意味するのか、もう一度考えてみましょう。
「偏差値が上がる」とは言い換えると、「模試の成績が上がる」ということです。
受験生の皆さんが言う「偏差値」とは河合塾全統模試、駿台模試などの「全国模試の偏差値」を言うのでしょう。
受験者が少ない模試の偏差値は信頼性に欠けますので受験生の皆さんは、受験者の多い全国模試の偏差値を気にすると思います。
では、模試の受験者はどういった人達でしょうか?
大学または短大の受験を考えている人です。
河合塾全統模試や駿台模試は、国公立大学志望者も私立大学志望者も、理系も文系も、学部に関係なく全ての大学受験生(短大受験生)を対象にしていますので、全方位の出題でなければなりません。
医学部入試や歯学部入試でよく出題される「医療に関する英語長文」は、まず出題されないでしょう。
数学の「データの分析」や物理の「原子」も模試で出題されることは稀です。
他学部に比べて多く出題される化学の有機分野も、模試ではそれほど多く出題されるわけではありません。
私立医学部入試では試験時間に比べ問題量が多い傾向にあり、スピードと正確さの両方が求められますが、模試はそうでもありません。
医学部受験も歯学部受験も、「志望校の試験で合格点を取れば合格」です。
「試験時間内で、試験会場で出題された問題を解くことが出来るか」で合否が分かれます。
「偏差値を上げる勉強」は、医学部入試や歯学部入試の傾向や特徴を考えることなく、全範囲を満遍なく勉強することになります。
受験生に与えられている時間には限りがあります。
定番と言われる問題集を全部満遍なく勉強するのと、「医学部入試は、こういう問題が多い」、「歯学部入試は、ここまででいい」といったことを意識した、メリハリの付いた問題集の使いかたをして、勉強をするのとでは結果にも違いがあって当然です。
予備校の中にも「偏差値を上げる」と謳う予備校も少なくありません。
「偏差値を上げればいい」という、こういった考えには私は賛成しません。
模試の偏差値が上がることは悪いことではありません。
しかし、「偏差値を上げるために勉強をしているのではない」ことも意識してください。
あくまで医学部入試、歯学部入試で出題された問題を解くために勉強していることを忘れないでください。