東京大学医学部を卒業し精神科医として、また様々な著作でも活躍されている和田秀樹さんが、医学部入試の面接についてコメントされた記事が配信されました。
私も「そうそう」と思う点と、「これは言い過ぎでは?」と思う点とがあります。
今日、配信された、プレジデントオンラインの記事に「精神医療崩壊を招いた医学部入試面接の裏側」というタイトルの和田秀樹さんが書かれた記事がありました。
この記事は、和田秀樹さんが書かれた本を再編集したものとのことですから、プレジデント編集部が和田秀樹さんの著作を再編集したもののようです。
記事では「医学部の教授は、必ずしも患者さんを診察する能力が秀でているとは限りません。教授に選ばれる上で最も重要なのは、論文の数だからです。手術の腕がいいとか、病気の見立てが優れているとか、患者さんとのコミュニケーション能力が高いといったことはほとんど関係しません。」
「いわゆる『神の腕』より『紙の腕』。一方で軽視されているのが心の教育です」とあります。
さらに、「日本では、全国82の大学医学部すべてで、受験の際に『入試面接』が行われています。ペーパーテストに加え、1人ひとりの学生に対して面接をおこなっているのですが、この入試面接こそ、今の精神医療崩壊を招くことになった諸悪の根源だと、私は考えています」とあり、医学部入試の面接が精神医療の崩壊につながっている、としています。
私は医師でもありませんし、ましてや現在の精神医療について何も分かりません。
ですから、医学部入試の面接と現在の精神医療の関係については、何か言えるような立場ではありません。
とは言え私も、「大学教員が最も力を入れているのは論文を書くこと」と考えています。
「医学部入試の面接はこういう背景を持った人たちが行う」ということは、非常に重要な視点だと考えています。
一方で「今でも医学部入試面接の際、面接官から『寄付金、いくら積める?』と質問されることはあると聞いたことがあります」とも書かれていますが、これについて私は「言い過ぎ」だと考えます。
ここでいう「今でも」が、いつのことか分かりませんが、現在では「あり得ない」でしょうし、過去でも「無かった」と思っています。
「少なくとも昔はあったろう」と考える方もいるかもしれませんが、医学部入試の面接で受験生に直接そのような話があった、という話は、30年以上医学部入試に関わってきた中で、私は聞いたことがありません。
「そういうことは無かったのか?」と聞かれれば、「あったと思う」と答えますが、それはあくまで水面下のことで、受験生のあずかり知らぬところでの話だと思います。
面接官が受験生に直接そのようなことを聞くことは現在も過去も、あり得ないと考えています。
私も親御さんなどから様々な話を聞きますが、微妙な話ですのでこれ以上は控えます。
医学部入試の面接では、「誰が面接官となって受験生を評価するのか」は、非常に重要な視点だと思います。
和田秀樹さんの記事をご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。