今春の医学部医学科一般選抜(一般入試)について、河合塾が詳細な分析を発表しました。
その概要をお伝え致します。
目 次
1, 国公立医学部医学科の入試結果 2, 国公立医学部入試 大学別結果 3, 2026年度の国公立医学部入試 4, 私立医学部医学科の入試結果 5, 私立医学部入試 大学別結果 6, 2026年度の私立医学部入試 |
- 国公立医学部医学科の入試結果
国公立大学医学部一般入試でメインとなる前期日程の志願者は15,307人で、前年前期の志願者から666人の減少でした。(前年比96%)
この結果、倍率は前年の4.3倍から4.1倍となりました。
国立大学と公立大学に分けて前期の志願者数を見てみると国立大学は前年比98%、公立大学は前年比82%で、公立大学医学部の前期志願者の減少が目立ちました。
公立大学医学部を大学別に見てみると福島県立医科大学、大阪公立大学が医学部医学科前期の志願者を大きく減らしました。
後期日程の志願者数は6,652人で前年を411人下回り、7000人の大台を割り込みました。(前年比94%)
一方で、国公立大学医学部で後期日程を実施する大学は少なく、倍率は16.5倍と大変な高倍率となりました。
とは言え、前年の後期倍率は17.1倍でしたので、倍率も若干緩和されました。
前期と後期を合わせた志願者数は21,959人で前年に比べ1,077人の減少でした。
2025年度 国公立医学部医学科志願者数
2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
前期日程 | 15,960人 | 15,973人 | 15,307人 |
後期日程 | 7,550人 | 7,063人 | 6,652人 |
合計 | 23,510人 | 23,036人 | 21,959人 |
来年度入試では、国公立医学部後期日程は3大学で廃止されますので、後期はさらに厳しい戦いとなることが予想され、「国公立医学部は前期勝負」が一層明確になると思われます。
国公立大学医学部一般選抜 倍率
23年度 | 24年度 | 25年度 | |
前期 | 4.3倍 | 4.3倍 | 4.1倍 |
後期 | 18.7倍 | 17.1倍 | 16.5倍 |
- 国公立医学部入試 大学別結果
国公立医学部入試では、「大学」以上に「医学部」が重視されます。
受験生としては、「行きたい大学はあっても、とにかく医学部医学科に進学したい」という気持が強く、「前年の志願者数(倍率)」、「2段階選抜(足きり)の変更」などで志願者数は変動します。
前期日程で、特に志願者数の減少が目立つのは前年比37%の福島県立医科大学と前年比42%の三重大学の2校で、2校は前年志願者の半数にも満たない志願者でした。
この他にも前期志願者が前年比62%の信州大学、前年比63%の山口大学、前年比65%の旭川医科大学が前期志願者を大きく減らしました。
一方、前期志願者を増やした大学は前年比253%の富山大学、前年比197%の鳥取大学、前年比153%の徳島大学と宮崎大学が目に付きます。
河合塾の分析によると国公立医学部医学科合格者の平均偏差値は67.7で、際立って高い偏差値となっています。
- 2026年度の国公立医学部入試
来春の国公立医学部一般選抜では旭川医科大学、山形大学、佐賀大学が医学部後期日程を廃止します。
ますます医学部入試は「前期勝負」となりそうです。
- 私立医学部医学科の入試結果
私立大学医学部医学科一般選抜(一般入試)の志願者数は105,846人と前年並みとなりました。
倍率を見ると一般方式の倍率は15.4倍、共通テスト利用方式の倍率は15.0倍で、いずれの入試方式でも他学部では見られない大変な高倍率でした。
私立医学部入試の激戦ぶりは、全く変わりません。
私立医学部一般選抜 志願者数
2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
一般方式 | 80,187人 | 90、467人 | 90、575人 |
共通テスト方式 | 14,447人 | 14,965人 | 15,271人 |
合計 | 94,634人 | 105,432人 | 105,846人 |
私立医学部一般選抜の倍率ですが一般方式では上昇し、共通テスト利用方式ではダウンしました。
とは言え、どちらの方式も15倍を超える高倍率でした。
この傾向は、来年度入試でも変わらないと考えていいでしょう。
私立医学部一般選抜 倍率
23年度 | 24年度 | 25年度 | |
一般方式 | 13.4倍 | 15.2倍 | 15.4倍 |
共通テスト方式 | 16.1倍 | 15.3倍 | 15.0倍 |
- 私立医学部入試 大学別結果
埼玉医科大学一般選抜前期の志願者は前年比165%と大幅増となりました。
私立医学部入試で志願者数が変動する要因として「学費」、「試験科目」などがありますが、最も志願者数に影響するのは「入試日程」です。
前年の埼玉医科大学1次試験日は東海大学医学部、昭和大学医学部、福岡大学医学部と重なって4校が同一試験日でした。
これが今年度で埼玉医科大学と1次試験日が重なったのは東邦大学医学部、藤田医科大学で、1次試験日が同じ大学は前年の4校から3校となりました。
同じ首都圏の大学は東邦大学医学部だけで、多くの受験生は合格の可能性を考え埼玉医科大学に出願したと考えられます。
その東邦大学医学部ですが、前年の74%と志願者を大きく減らしました。
この他に志願者を増やした医学部として昭和大学(昭和医科大学)医学部、福岡大学医学部が目に付きます。
昭和大学(昭和医科大学)医学部と福岡大学医学部の1次試験日は前年、4校の1次試験が重なる日程でしたが、今年度では昭和大学(昭和医科大学)医学部は1次試験日が重なる大学は無くなり、福岡大学医学部の1次試験日は東海大学医学部1校だけの重複でした。
このように私立医学部入試では入試日程によって、受験生は動きます。
まだ2026年度の私立医学部入試日程は出揃っていませんが、受験生の皆さんは特に1次試験日に注意してください。
この他、共通テスト利用入試を廃止し、その分の募集人員を一般後期に廻した獨協医科大学は志願者を20%増加させました。
共通テスト利用入試を新たに実施した聖マリアンナ医科大学では募集人員5人に対し519人が志願し、実質倍率で103.8倍という100倍を超える倍率になりました。
河合塾の分析によると私立医学部合格者の平均偏差値は66.4で、国公立医学部と変わらない非常に高い偏差値が示されました。
更に、河合塾の私立医学部合格者偏差値は英語、数学、理科に国語も加えられていて、国語の偏差値は60.3ですので国語を抜けば更に高い偏差値となります。
河合塾の調査で、私立医学部入試で合格者と不合格者で最も差が付いたのは「理科」でした。
理科の仕上がり具合が医学部入試の合否に大きく影響することが分かります。
- 2026年度の私立医学部入試
文部科学省は学力試験を行う入試は「2月1日以降」としてきましたが、これまで私立医学部一般選抜は1月中に始まっていました。
これに対して文部科学省は改めて各大学に「2月1日以降」を通達しました。
これを受け、前年は1月に試験を行っていた獨協医科大学。北里大学医学部、杏林大学医学部、金沢医科大学、川崎医科大学が1次試験日を2月に移すことが判明しています。
1次試験日重複がこれまで以上に多くなると思われますので、受験生としては困惑することになりそうです。
私立医学部一般選抜の受験校は、これまで以上に考える必要があります。
出来ればメルオンのような医学部入試に詳しい予備校などに相談するといいでしょう。
この他では、昭和医科大学医学部が募集人員10名で公募制推薦入試を始めます。
過去問が無いことで準備が難しいと考える受験生もいそうですが、その心配はいりません。
詳細はメルオンのホームページ、「受験情報」の「医学部・歯学部News」をご覧ください。
この他に
藤田医科大学が学費を約30%減額します。
北里大学医学部が新たに共通テスト利用入試を導入します。
兵庫医科大学が新しく総合型選抜、エキスパート養成を実施します。
といった入試変更が発表されています。