医学部入試

医学部受験、調査書で見られるのはこの1点だけ

目次

  1. 調査書の真実:医学部が見るポイントは「欠席日数だけ」
  2. 評定・活動記録が重視されない理由
  3. 遅刻・早退は調査書に書かれないという事実
  4. それでも医学部が出欠をチェックする理由
  5. 欠席が多いとどうなる?10日ラインの実際
  6. 面接で問われるのは「原因」ではなく「改善と対策」
  7. 欠席が多い受験生の回答戦略(実例つき)
  8. 遅刻・早退OKでも「欠席回避」が最適解である理由
  9. 保護者が知っておくべきサポートの軸
  10. まとめ
  1. 調査書の真実:医学部が見るポイントは「欠席日数だけ」

医学部入試の出願書類に、原則的に必ず調査書が求められます。

大学が調査書で必ずチェックするのは「欠席日数」の欄だけです。
なぜなら、ここは高校の方針や教師の主観、学校間の評価差が入り込まない正確な実測データだからです。

高校の先生はどの生徒にも合格して欲しいため、調査書には長所や成果しか書きません。

「意欲的」「協調性あり」「責任感がある」などどの生徒にも当てはまる言葉が並び、個人の比較材料にはなりにくいのです。
その中で唯一、主観が入り込まず公平な数字で書かれる欄が「出欠=欠席日数」です。

  1. 評定・活動記録が重視されない理由

医学部受験で評定平均や成績がチェックされないのは、高校ごとに絶対基準が存在しないからです。

  • 進学校と非進学校では評価の難易度が違う
  • 成績上位5%が「5」といった基準は無い
  • ある高校は甘く、ある高校は辛いという現実

このため、医学部受験では学力を入試当日に実施される学力試験・共通テストなどで測り切るという採点設計になっています。
言葉を変えると「自分のところで行う試験しか信用していない」と言うことです。

公平性のない評定は合否判定の評価指標として使えないし、使いません。

  1. 遅刻・早退は調査書に書かれないという事実

高校の調査書には、遅刻・早退の記録は記載されません
文部科学省の通知では調査書の「出欠欄」について、出欠の記録についてのルール 「各学年の欠席日数を記載」としています。

書かれるのは「欠席」だけです。つまり

「いくら遅刻しても、調査書上は記載されない」のです。

とはいえ、ここで安心して遅刻を繰り返すのはおすすめしません。
調査書に書かれなくても、日々の自己管理力は面接で透けて見えます。
また、高校で学校推薦型選抜の推薦者を決める時には影響するでしょう。

しかし一般選抜に限れば、大学の合否判定に直接影響する情報は欠席日数のみです。

  1. それでも医学部が出欠をチェックする理由

医学部は、入学後の6年間で膨大な勉強・過密なスケジュール・長時間の実習が避けられない学部です。

出欠欄をチェックする真意は次の確認です。

  • 体力面で高負荷に耐えられるか
  • メンタル面で継続的な通学ができるか
  • 授業や実習に責任をもって参加し続ける資質があるか

医学部では欠席が多いと「体が弱いのでは?」、「精神的に脆いのでは?」、「サボり癖があるのでは?」と懸念してしまうのです。

この資質は、英語検定や部活動の成績では測れません。
しかし欠席日数が少ないことは継続できた証拠として信用に足るのです。

  1. 欠席が多いとどうなる?10日ラインの実際

欠席が1学年で10日以上あると、医学部面接で質問される確率が急上昇します。

  • 「この学年、欠席が多いですね。理由は?」
  • 「現在は問題ありませんか?」
  • 「医学部生活を続ける自信はありますか?」

「1学年の欠席日数10日」が、多くの大学で面接質問の集中ラインです。

※質問されても減点ではありません。

答えられない・改善の根拠を示せない場合が減点対象です。

  1. 面接で問われるのは「原因」ではなく「改善と対策」

医学部面接は「欠席した理由の言い訳」を確認する場ではありません。
確認したいのは、

  1. 今は改善・解決しているのか(現在の状態)
  2. 同じ状況をどう防ぐか(再現防止の策)
  3. 通学と学習を継続できる管理設計があるか(自己責任の計画)

この3点です。

大学医学部が気にするのは「過去の受験生」ではなく、「入学後の受験生」です。
高校時代に欠席が多くても、「現在は問題ない」、「医学部入学後は問題ない」、と判断されればマイナスにはなりません。

 

ただし、面接官が「入学後、問題なし」と判断できない場合は、大きなマイナスとなってしまいます。

 

現在の医学部入試は優秀な受験生が非常に多く受験しています。

入学後に懸念のある受験生を入学させなくても、いくらでも優秀な受験生を入学させることが出来ます。

  1. 欠席が多い受験生の回答戦略(実例つき)

面接回答の構造テンプレ

  • 事実説明(要点だけ)
  • 改善した証拠(具体的な行動・結果)
  • 未来の対策(仕組みとして継続できる方法)

回答サンプル(体調不良)

「2年時に感染症で通院治療が必要な時期があり欠席が増えました。
その後治療が完了してからは皆勤で通学できており、現在は健康面の不安はありません。
今後も体調管理として睡眠6–7時間確保、週2の運動、少しでも異常があれば早期受診の自己ルールを徹底します。
医学部での学生生活は問題なく送れると考えています。」

回答サンプル(メンタル不調)

「2年時、学習面と友人関係でメンタルが揺れた時期があり、カウンセリングを受けました。
現在はカウンセリングも終了しており、通学・学習とも問題なくできています。
この経験を通じ、非常に精神的にたくましくなったと感じています。」

大事なのは症状の告白ではなく、責任ある改善と再現防止です。

  1. 遅刻・早退OKでも「欠席回避」が最適解である理由

前述の通り、遅刻・早退は調査書に記載されませんので、医学部一般選抜において合否判定には影響しません。

そのため体調やメンタルに波がある時期は、欠席よりも可能な限り通学し、遅刻・早退で乗り切るほうが合理的です。

なぜなら

  • 欠席は“継続の中断”という記録になる
  • 遅刻・早退は書かれない → つまり欠席0日を守れる

入試戦略としては「遅刻・早退OKでも欠席10日を超えない設計を作る」がベスト

受験生へ:
「休まない根性」ではなく「休む必要がある時でも、なるべく欠席せず通学の選択肢を残す」が正解。

高校で「遅刻2回で欠席1回」と言われることがあるようですが、「調査書にもそのように記載するのか」を確認してください。
恐らく「生徒を引き締めるため」に言っているだけだと思います。

  1. 保護者が知っておくべきサポートの軸

保護者のサポートのここだけは押さえてください。

  • 出欠は公平で唯一比較される評価点
  • 3年間の通学継続は「信頼に変わる」
  • 欠席が多い時は「すでに解決した根拠」と「未来の再現防止」を言語化できる支援を行うべき
  • 遅刻しても高校には行かせる

調査書の評価は面接官の主観ではなく、正確な数字と継続の仕組みに基づいて判断されています。

  1. まとめ
項目 医学部での重要度
評定・成績 学校ごとの差がある → 一般選抜ではほぼ見られない
活動・資格・表彰 教師の主観でどれも良い事しか書かれない →比較材料にならない
遅刻・早退 調査書に記載されない → 一般選抜の評価対象外
欠席日数 唯一忖度ゼロで書かれた正確な比較指標

最後に:調査書の“弱点”の正体は、出欠の“説明責任”だけです

欠席が10日を超えること自体よりも、その説明ができない・対策がないことがダメージになる

それさえ準備できていれば、調査書で落ちることはありません。
医学部受験生が今やるべきことは

  • 「欠席10日」を避ける(できる限り通学・遅刻早退で凌ぐ)
  • もし多いなら「現在は問題ない」、「医学部の学生生活は問題なく送れる」
    これを面接で言えるように準備する。

この2点だけです。