昨日の「大学合格力」に続いて今日は
「医学部合格力」についての話です。
2011年6月23日 中高一貫校の医学部合格力、大学合格力
「大学合格力」と同じ様に週刊ダイヤモンドに
「医学部合格力」の高校ランキングが載っていました。
こちらの全国1位は灘高校で2位は鹿児島のラ・サール
以下、久留米大附設、東大寺学園、東海、青雲、広島学院、
桜蔭、金沢大学付属、岡山白陵と続きます。
「大学合格力」ランキング同様、「医学部合格力」ランキングでも
西日本勢が目立ちます。
首都圏の高校でベスト50に入っているのは
8位の桜蔭の他に15位筑波大付属駒場、
20位開成、21位巣鴨、27位栄光学園、
34位聖光学院、49位白百合学園の7校でした。
このうち東京は5校ですね。
これは灘、甲陽学院、白陵、六甲、淳心学院の5校が
ランキングに入っている兵庫県と同じです。
更に、大阪は6校がランキングに入っています。
このランキングを見ると近畿勢の
「医学部合格力」の強さが目立ちます。
ただし、話はそんなに単純ではないと思います。
「医学部合格力 全国○位!!」なんて言われると
その高校が医学部入試に強いような印象を受けてしまいますが、
医学部合格ということは、そもそも医学部受験生がいなくては
話になりません。
例えば開成高校からの今年度東大合格者は171人で
このうち理系は96人です。
理I、理IIの合格者は96人中90人です。
入試の難易度で言えば、東大理I、理IIより
難しい医学部もありますが、
理Iや理IIより難易度の低い医学部も
少なくありません。
つまり開成高校の東大理I、理IIの合格者90人は
東大ではなく他の大学の医学部を受験していれば
合格していた可能性が十分あります。
これを考えると医学部合格者数から導く
「医学部合格力」をストレートに受け入れることは
考えものだと分ります。
ダイヤモンド誌の今回のランキング作成は、
それなりに考えて作られてはいますが、
それでも参考程度に考えておいた方がいいでしょう。
そう言えばダイヤモンド誌の「医学部合格力」は
国公立医学部の合格者と慶応、自治医科の合格者を基に
はじき出しています。
学費の点から自治医科を入れたのでしょうが、
医学部受験生なら「自治医科を入れちゃダメでしょ」
と感じるでしょう。
自治医科大学医学部は都道府県別に入学枠がありますので、
他の医学部と違って、全国の受験生を相手にするわけでは
ないのです。
同じ県内の医学部受験生との戦いになります。
自治医科大学の合格者を使って
全国ランキングを作るのはちょっと乱暴ですね。
もう一点、国公立の医学部の合格者というと
一般入試の合格者だけを思い浮べるかもしれませんが、
例えば弘前大学医学部ではAO入試が定員40名で
行われています。
出願資格は青森県、岩手県北部、秋田県北部、北海道南部の
高校に限られています。
更に定員40名中25名は青森枠です。
その上、一般入試でも青森県定着枠15名があります。
この様に医学部には推薦入試、AO入試そして一般入試の地域枠が
ありますので、そこも本当は考慮すべきでしょう。
「医学部合格力」ランキングを作るにあたっての
データ提供先や協力先が出ていますが、
いずれも名の通ったところばかりです。
昨日の「大学合格力」のデータの混乱や
「医学部合格力」に自治医科大学の合格者を使うことなど、
大学入試のプロと言われるところが協力していても
「いろいろあるなあ」と思います。
医学部入試情報を提供している私達も
気を引き締めなければなりません。