大学入試研究会に参加すると改めて
「大学入試全体の中で医学部入試は極めて特殊なんだ」
と感じるということを昨日お話ししましたが、
もう少し詳しくお話しします。
ベネッセさんや旺文社さんがそれぞれ主催する
大学入試研究会では医学部入試に特化した話を
するわけではありません。
大学入試全体を研究する中で
医学部入試に割く時間は限られます。
どの学部も満遍なく見なければいけないからです。
そんな中で医学部中心でじっと見ている私の感覚からすると
「あれ?」と違和感を感じることがあります。
例えば「倍率5倍を超える厳しい入試になった」
という話があると、
10倍を超えることが当り前の医学部入試を
いつも注目している私の感覚からすると、
「5倍で厳しい?」とつい感じてしまいます。
確かに私立大学で最も人気の高い早稲田大学と慶応大学を
見てみると、早稲田の創造理工学部が実質倍率3.4倍、
先進理工学部が4.0倍でした。
慶応でも理工学部の実質倍率は3.1倍です。
これに対して慶応大学医学部は4年連続倍率が下がり、
ついには10倍を切りましたが、それでも実質倍率9.8倍です。
ちなみに倍率が下がり続けるのは、
「慶応の医学部は難し過ぎる」という意識が
医学部受験生に浸透した結果だと考えられます。
また、学費が安いということも慶応大学医学部の
魅力のひとつでしたが、順天堂大学医学部が
慶応大学医学部より学費を下げたということも
あると思います。
医学部入試では昭和大学医学部II期が実質倍率29.3倍、
帝京大学医学部が実質倍率20.1倍、
東海大学医学部が実質倍率19.6倍など
高倍率の大学が目に付きます。
医学部は定員が増えたにも関わらずこの状況です。
大学入試全体では志願者の減少傾向が続き、
それに伴い医学部を除く学部は、
倍率も下がる傾向にあります。
私立学校振興・共済事業団によると、
2009年度入試の学部別志願倍率で
理・工学系学部は7.87倍です。
実質倍率ではなく志願倍率ですから高くなります。
経済学部や法学部などの社会科学系学部は7.36倍です。
これに対し医学部は志願倍率21.53倍です。
これを見ても「医学部は別物」という思いを強くします。
大学入試研究会に参加して違和感を持った点が
もうひとつありますが、それはまた別の機会に。