前回は「模試ではいつも偏差値70を超えていたのに
結果が出ないのはどうしてか?」というお尋ねについて
取り上げました。
それに対して、「模試と入試は違う」と言ってしまえば
簡単なのですが、それでは身もフタもありません。
模試は文系も理系も含めて全ての受験生を
対象にしているわけで
けっして私立医学部受験生だけを
対象にしているわけではありません。
ですから、私立医学部では出題されないような
問題も出題されますし、
私立医学部でよく出題される分野や問題が
全く触れられないといったことがあります。
問題の難易度も国公立ではこのレベルは
やっておく必要があるけれど、
私立医学部では必要ないという出題もあります。
模試はいい目安ではあっても
万能ではありません。
また、模試は大手予備校さんが主催し、
問題はそこの講師が作問します。
ということは、そこの予備校の授業から
はずれた問題は当然、ないわけです。
ですから、自分の所属する予備校の模試は
割り引いて考える必要があります。
もちろん、大学側は予備校で何を教え、
何を教えていないかなど考慮するはずがありません。
また、何年も浪人していると、
いわゆる「模試慣れ」するということもあります。
何度も受けるうちに、
模試ごとの傾向や時間配分、問題形式などに
慣れてくるのです。
そこで良い結果が出たとしても、
実際の入試で通用するかどうかとは
全く別問題です。
私立医学部は大学ごとに問題の傾向も時間も違います。
例えば、昭和大学医学部は英語・数学の2教科を
150分連続で行います。
英語からやるのか、数学からやるのか、
英語からやるとしたら、英語にどのぐらい時間をかけるのかなどは
実際に過去問を解いてみて、自分でつかむしかありません。
特に、国公立医学部と併願している人は、
あまり私立医学部の過去問を見る暇もないと思いますが、
直前にざっと過去問を見て、
出題傾向や時間配分をつかんでおくだけでも
だいぶ違うと思います。
もうひとつ大きいのはメンタル面だと思います。
本人の性格もあるのでしょうが、
受験生の中には「大丈夫だ」と先生などが
いくら言ってもそう思えない受験生も少なくありません。
メルリックスでは過去の合格者の成績を
見せるようにしています。
具体的に生の数字やデータを見せることで
やっと納得してもらえます。
「この生徒も、この生徒も、この生徒も医学部に合格したよ。
君が合格しないわけがないじゃないか」と言うと
やっと少し安心するようです。
また、こう付け加えることも忘れません。
「医学部入試で、そんな成績がいい人でも
全部合格なんてあり得ない。
どの大学で合格になるかはやってみなければ分らない。
前半は調子が出ないかもしれない。
でも毎年必ず、終わってみれば
合格すべき人はちゃんとどこかに合格している。
途中経過に一喜一憂するな」
今年の生徒さんでも日本医科大学、昭和大学医学部I期の
1次試験に合格された方が
北里大学医学部の1次試験では残念な結果になりました。
そう、医学部入試はそんなに単純ではないのです。