前回は私立医学部一般入試への戦略として、
個別の大学に絞り込むのではなく、
まず私立医学部入試全体としての特徴を
把握することをおすすめしました。
私立医学部入試全体の特徴とは、
どの様なものでしょうか。
例えば数学なら「一部難関校を除き、証明問題は出ない。
最近は、ますます答だけを求められる問題が増え、
正確さと処理速度が欠かせなくなっている」
化学なら「問題そのものは難しくはないが、
教科書の範囲は越えて出題されるので、
どこまで必要かを知っておく必要がある。
問題が難しくない分、失点は許されない。
また生物的な内容の出題も多く、慣れておく必要がある」
数学についてもう少し詳しく見てみると、
国公立大学医学部2次試験の数学の試験時間は
120分の大学が多く、150分の大学もあります。
これに対して私立医学部の一般入試では
60分か70分の大学がほとんどです。
試験時間がこれだけ違いながら
問題数にそれほど差はありません。
国公立大学医学部の数学では論証能力など、
じっくり考えて答を導き出すことを求められているのに対し、
私立大学医学部では基本的、典型的な問題を
速く正確に解く処理能力が求められています。
このことを知って受験勉強を進めることが大切なのです。
私立大学医学部と国公立大学医学部では
入試で求められているものが全く違うのです。
単純に数学を頑張れいいという話ではありません。
私立医学部の数学では何が求められているかを知って、
それに対する対応力を磨くことが必要なのです。
今春、北里大学医学部に特待生として進学した生徒は、
小学生のころからとにかく数学(算数)が苦手でした。
中学生の時の塾では先生から「数学は無理」とまで
言われたそうです。
確かに数学的能力は高くないのかもしれません。
しかし、その生徒は圧倒的な演習量で
私立医学部の数学を乗り越えました。
基本的、典型的な問題をとにかくたくさん解くことで、
国公立で出されるような難しい問題は解けなくても
私立医学部で出題される問題は
速く正確に解くことができるようになりました。
私立医学部受験生なら私立医学部入試を知って、
そのための勉強をすることこそが大切なのです。
東京慈恵会医科大学、順天堂大学など
一部の難関校を受験する予定がなければ、
証明問題は国公立大学受験者には必須であっても
気にしなくてもいいのです。
もちろん、証明問題をやってはいけないということではありませんが、
入試は時間との戦いでもあります。
数学者を目指しているわけではないはずですから、
「大学に入ってからも役に立つ力」の前に
「大学に入るための力=入試で合格点を取る力」に
集中すべきだと考えます。
こう考えていくと私立医学部と国公立医学部の併願は、
それほど単純ではないことが分ります。
次回は、その辺りについてお伝えします。