医学部入試

私立と国公立、医学部併願

私立の医学部国公立医学部の併願
それ程単純ではないとお話ししましたが、
もう少し考えてみましょう。

まず分りやすいところで、入試で課される教科が異なります。
国公立医学部センター試験国語地歴公民が課されますが、
私立ではセンター試験利用入試を受験しなければ、
基本的には国語と地歴公民は必要とされません。

つまり、国公立医学部を受験するためには、
英語・数学・理科に加え、国語と地歴公民の勉強をする必要があります。
医学部受験生のみなさんにとって、言わずもがなですね。

地歴公民も、もちろん大変ですが
理系受験生には国語の負担は大きいものです。

英語・数学・理科だけでも時間的に厳しいところに
更に国語と地歴公民までやるとなると、
どの教科にも十分な時間をかけられない可能性が出てきます。

国語や地歴公民にかけた時間を
英語や数学や理科に使っていれば
違う結果が出るということもあるでしょう。

国語と地歴公民以外でも、前回、数学を例にお伝えしたように
私立と国公立では求められるものが違いますので、
私立と国公立、どちらにも対応できる学力を身に付けるということは
簡単なことではありません。

前回も書きましたが入試は時間との戦いという側面もあります。
限られた時間を、どう効率よく使うのかということを
考えなくてはなりません。

入試は満点を取る戦いではありません。
大胆に言えば、合格点をどう取るかという戦いです。

志望校に余裕で合格できる学力を備えられることが理想ですが、
医学部受験生のほとんどは、そんな状況ではないでしょう。

ごく普通の医学部受験生にとってまず目指すべきは
「どんな問題が出ても満点が取れる」ではなく
「何回やっても合格最低点は確実にクリアできる」でしょう。

例えば生物では細かいことを言い出したらキリがありません。
めったに出ないことでも「去年、○○大学で出た」となると
やっておかないと落ち着かないのかもしれません。

満点と取ろうと思えば必要でしょう。
しかし医学部入試で合格を目指すのなら、
あれこれ手を広げるより、医学部入試でよく出されることを
きっちり仕上げることが先でしょう。

前回、数学でも一部の難関校を本気で狙うのでなければ
証明問題は気にしなくていいとお伝えしましたが、
証明問題が絶対に出ないということではありません。
仮に出題されたとしても合否に与える影響は小さいから、
よく出題される分野、問題を先に仕上げようということです。

「取れるところでキッチリ取っていこう」
「確実に取れるところを少しずつ広げていこう」ということです。

多浪生には国公立と私立の医学部を併願してきた受験生が少なくありません。
学力的にはかなり優秀ですので、私立医学部に絞っていれば
とっくに医大生になっていたかもしれないなと思うこともたびたびです。

学力的にかなり優秀だからこそ「併願」という道を歩み続けたのでしょう。
「国公立中心で勉強を進めてきた結果、私立の入試では全く力が出せなかった」
とは、よく聞く話です。

医学部入試で国公立と私立の併願をするのかしないのか、
それは受験生の状況によって変わってきます。

とは言え、国公立の勉強をやっておけば私立は大丈夫とは
いかないことも忘れないで下さい。