こんにちは。
トータルアドバイザーの鈴村です。

本日10時、慶應義塾大学医学部1次試験の合格
発表がありました。
慶應義塾大学医学部はWebもしくはTELでの
合否照会でのみ合否が確認できますので、1次
試験を何名が突破したかは、今のところ不明です。
参考までに昨年の1次合格者は268名でした。
一昨年は270名、その前の年は268名と毎年
270名前後の1次合格者を出しています。

このところ急激に増え続ける私立医学部志願者
ですが、慶應だけは別格です。過去5年間の
志願者数は

2018年度：1,525名
2017年度：1,578名
2016年度：1,689名
2015年度：1,758名
2014年度：1,784名

と年々減少しています。

これは慶應医学部の人気が低下しているわけでは
ありません。私立医学部31校の中で「もし全て
の大学が入学を許可してくれたらどこへ行く？」
と医学部受験生に聞いたら、間違いなく多くの方が
「慶應！」と答えるでしょう。

しかし、あまりにもレベルが高すぎて無理だと、
敬遠する受験生が多いのでしょう。よって、私立
医学部の志願者が急増する中で、慶應の志願者は
目立って増えてはいません。

実はメルリックスの開校以来、本科生から慶應医学
部に合格した生徒はいません。本科生というのは、
私立医学部コースに在籍している既卒生を指します。
個別生や現役生で慶應医学部に合格した生徒はいま
すが、残念ながらメルリックスの私立医学部コース
から慶應医学部に合格した生徒は未だいません。

数年前、私が担任していた本科生が慶應医学部の1次
試験に合格したことがありました。メルリックスに
入学してきた時から、彼の能力はずば抜けていました。
第一志望は慶應だと聞いていたので、もし本科生から
初の慶應合格者が出るとしたら、彼だろうと思って
いました。

私は、田中将大をドラフトのくじで引き当てた楽天
イーグルスの監督のように、彼がのびのびと勉強
できる環境作りに心を砕きました。彼の素晴らしい
能力を、メルリックスに来たことで潰してはならない
と、ただその一心でした。当時の野村監督が田中を
「球界の宝だ」と言った気持ちが非常によくわかり
ました。

高校時代、いわゆる「受験勉強」というものをそれ
ほどしていなかった彼は、最初は「私立医学部受験
コース」、通称Mコースと呼ばれるクラスからの
スタートでした。もっとも、彼は受験生のお手本の
ように、右肩上がりで成績を伸ばし、後期から選抜
コースに上がりました。

当時、私は資格を取るために、心理学のセミナーに
通っていたのですが、慶應の2次試験対策講座が
行われる日は、半年以上前から「その日は出られ
ません」と補講を申請していました。
セミナーの仲間や講師に「何があるの？」と聞かれる
たびに「オリンピックの決勝なんです」と笑いながら
答えていました。（ちょうどその年は、ソチオリンピッ
クのあった年でした）

彼は見事に慶應の1次試験に合格し、2次対策講座で
小論文と面接をこれ以上ないぐらいに仕上げました。
私とだけでも、1日3回も個人面接の練習をしたほど
です。もちろん、練習のたびに面接官のタイプも、
質問の内容もがらりと変えて臨みました。

慶應の面接は個人面接が2回行われます。面接前に
記入するアンケートからも色々と聞かれますし、調
査書の内容や、それ以外にも様々な質問がされます。
しかも、慶應の面接です。通り一遍の紋切り型の答
では、面接官は納得しません。

彼は他の担当者とも面接練習を積み、万全の体制で
2次試験を迎えました。

残念ながら、2次試験に合格することはできません
でしたが、彼は今、別の私立医学部に通っています。
もちろん、出身大学に関わらず、彼の優れた才能は
必ず社会的に認められて、立派な仕事を成し遂げる
ことでしょう。しかし、担任としてサポートしてい
た私には、第一志望に合格できなかったということ
で、大きな反省点が残りました。

様々なことを思い返す中で、一番の原因はやはり
終始一貫「第一志望の慶應を目指す」ことが
自分として徹底できていなかったということです。
浪人生活の間には、モチベーションが今ひとつ上が
らない時も、もうこのあたりでいいかと満足して
しまう時も当然あります。しかし、私立医学部の
最高峰を目指すのであれば、どんな時も目標を高く
掲げて、周囲にいる人間も含めて少しでもブレては
駄目なのです。

私自身が受験で高い目標を掲げて勉強していたタイプ
ではなく、センター試験で合格可能性判定が高かった
ところに出願して進学したので、その点が甘かったと
非常に反省しました。「名選手、名監督にあらず」と
よく言われますが、名選手でなくてはわからない領域
があるのだと思い知らされました。

もし今後、彼のような素質と努力する才能に恵まれた
生徒と出会うことがあったら、今度こそ1年間ブレる
ことなく高い目標に向かって、一緒に歩み続けようと
心に決めています。

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