医学部入試について常に最新の情報を求めて
いると大学入試、医学部入試のプロと評され
る方達の医学部入試に関するコメントなどの
情報に触れることもあります。

そういった医学部入試のプロとしてのコメント
などの中に「これは、正確性に欠ける」と思う
ものが最近、目に付きます。

例えば、ばりばりの大手予備校で入試情報の
研究をされている方のコメントで「私立医学部
は４科目が基本だが帝京・東海の２大学は３科
目で受験できる」「しかし、１科目少ないがため
にこの２大学は例年高倍率が際立っている」と
いった内容のコメントがありました。

確かに帝京・東海の二つの医学部は、他の医学
部に比べ学力試験の負担は少なく済みます。
しかし、帝京大学医学部と東海大学医学部の
志願者が際立って多いのは、試験日が複数
あることが最大の理由です。

帝京大学医学部の今年の志願者は8,499人でし
た。入試結果だけを見れば、８千人を超える志
願者は際立って多いと感じるでしょう。しかし、
この数字は１次試験３日間の合計志願者数です。
東海大学医学部は２日間合計の志願者数です。
知ってか知らずか、この点に全く触れていず、
このコメントを読んだ「医学部入試の１次試験
は１日」と思い込んでいる医学部受験生が誤っ
た認識を持つことがあれば、とても残念なこと
です。

ある大手個別指導予備校が説明会で配布している
「医学部入試ハンドブック」に医学部入試Q&Aがあります。
この中に「私立医学部ってホントはどのくらいの難易度なの？」
というクエスチョンがあります。この答えの中に「偏差値
としてはどこも70以上になります」という部分が
あります。確かに進研模試のボーダーライン偏差値
では、私立医学部は全て７０以上です。しかし、
河合塾では７０を超える医学部は５校のみです。
駿台予備学校の合格目標ラインでは、７０を超える
医学部は慶應義塾大学医学部だけです。６０を下回
る私立医学部もあります。

河合塾、駿台予備学校を無視して、あえて一般的と
は言えない進研模試のデータのみを使うのは、営業
的な面で「医学部は難しい。だから個別指導を受け
ましょう」と言いたいのか、と勘繰りたくなる人も
いるのではないでしょうか？

また「地域枠って何？」に対する答えに「慈恵には
新潟県枠と東京都枠があります」とあります。東京
慈恵会医科大学に、新潟県枠はありません。地域区
分のB区分と混同しているにしても、それでも「新
潟県枠」は、ありません。順天堂大学医学部の新潟
県地域枠と一緒になってしまったのかもしれません。
いずれにしても医学部入試に関する資料としては、
不適切と言わざるを得ません。

このようなことが何故起こるかというと、大手予備
校も個別指導大手も全ての学部の入試を扱っている
からでしょう。個別指導大手は、中学受験や高校受
験も扱っています。医学部入試だけを注視する人は
いないでしょう。仮に、いたとしても数年で人事異動
があり他の部署に異動するのは、大きな組織なら仕方
ないことと言えます。

全国的に有名な教育機関の人間が「医学部入試は、
こうだ」と言えば、聞いた方は「そうなんだ」と
思ってしまうでしょう。医学部受験生に有益な情
報もたくさんありますが、中には、正確さに欠け
る情報もあります。

別の教育機関では医学部入試について「推薦入学
の筆記試験の問題が非常に簡単なケースが多いの
は『筆記試験を行っていますよ』という対面を保
つだけに行っているからです」といった内容のこ
とを語っているところもあります。悪意を持っての
発言だとは思いませんが、教育機関の人間の
発言として、ここまで断定的に言うことは、
どうなのかと思います。

医学部受験生の皆さんが、医学部入試に関する情報に
触れて、正確かどうかを見極めるのは難しいかもしれ
ません。とは言え、中には言葉が足りずに誤解を招いた
りするものもあります。私も、神ではありませんので、
どんな時も１００％正しいと言い切ることは出来ません
が、他人事と考えずに医学部入試情報の取り扱いには十
分な注意をしていきます。

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