12月14日(金)の朝日新聞朝刊が「日大・
東京医大 志願者激減」という見出しの記
事を掲載しています。「激減」です。
朝日新聞の記事は「大手予備校の模擬試験で、
日本大学と東京医科大学の志望者が大幅に減
っている。不祥事が大学のイメージを落とし、
志望者離れにつながっているようだ。」と伝え
ています。
駿台予備校とベネッセが11月4日(日)に共
同実施した第3回駿台・ベネッセマーク模試で、
日大の志望者は前年の72%、東京医科大学医
学部医学科の志望者は前年の73%だったこと
も伝えています。日大は28%減、東京医科大
学は27%減ですが、日大は全学部合計の志望
者で、東京医科大学は医学部医学科の志望者で
す。
この結果を受けて駿台予備校の方が「不祥事を
起こした大学を避け、他大学に行きたいと考え
る受験生が多いようだ。」とコメントしています。
東京医科大学の志望者が減っていることについて、
私はこのコメントに違和感を感じます。東京医科
大学については、明日お伝えいたします。
今日は、日本大学医学部についてもう少し掘り下
げてみましょう。
駿台・ベネッセ共催の第3回マーク模試で、日本
大学の志望者が前年に比べ大きく減少、というの
は、日本大学全学部合計の話です。では、日本大
学医学部の志望者は、どうなっているでしょう?
第3回駿台・ベネッセマーク模試のデータがあり
ませんので河合塾主催の第3回全統記述模試を見
てみます。
日本大学医学部A方式の合格可能性判定を求めた
医学部受験生は、1,463名でした。ちなみに日本
大学医学部を第一志望とした医学部受験生は185
名でした。前年の第3回全統記述模試を見ると、
日本大学医学部A方式の合格可能性判定を求めた
受験生は、1,700名でした。前年に比べ、河合塾
の模試では日本大学医学部志望者が237名、13.9%
減少しています。
駿台・ベネッセの日大全学部ほどではありませんが、
志望者は減っています。ここで気を付けて欲しいの
は「私立大学全体の志望者は、どうなんだ?」とい
うことです。
河合塾では、第3回マーク模試のデータから志望動
向を分析しています。それによると、私立大学全体
の志望者は前年比96%の4%減です。私立大学医
学部全体では前年の94%で6%減です。ここでも
注意が必要なのは、河合塾の言う志望者は、一般入
試とセンター試験利用入試を合わせた志望者です。
私は、私立医学部のセンター試験利用入試の志望者
は、横ばいないし微減くらいではないかと思ってい
ます。私立医学部一般入試の志望者は前年に比べて、
6%よりもう少し減少幅は大きく、8%程度ではな
いかと考えています。
いずれにしても、日本大学医学部が他の医学部と
比べて減少幅が特別に大きいとは言えないと思い
ます。例えば、東京慈恵会医科大学の志望者は河
合塾の第3回全統記述模試では前年比83.3%、
16.7%減で日本大学医学部の13.9%より大きな減
少幅となっています。
こういったデータを見ると「日本大学医学部はアメ
リカンフットボール部の不祥事があったから、志望
者が他の医学部に比べて大きく減った」と考える
のは、ちょっと違うと思います。「不祥事」の影響が
全く無い、とまでは言いませんが、このことが大き
く影響していると考えるのは、どうかと思います。
日本大学全体としては「不祥事」の影響はあるのか
もしれませんが、減少幅を見ても同じ日本大学でも
医学部は少し事情が違うと考えた方がいいでしょう。
日本大学全体の志望者が25%以上減ったとしても
医学部もそうだとは考えないようにしてください。
ちなみに、日本大学医学部が「同窓生の子供を優遇
していた」と公表したのは、12月に入ってからで、
駿台・ベネッセの模試も河合塾の模試も既に終わっ
ていました。模試のデータとは別に、このことが
日本大学医学部の志願者数にどう影響するかは別途、
考える必要はあります。
河合塾の第3回全統記述模試の志望者データから、
他の医学部の志望動向を明日以降、お伝えしていき
ます。