医学部入試も一通り終わり、今年の医学部
入試で思うような結果が出なかった方のご
相談を受けることが多くなってきました。
その中で割と多いのが模試の結果を見せて
くださり「この成績でどうして医学部に合
格できないのか分からない。何が足りない
のか。次の1年、どうしたらいいのか」と
いったご相談です。
確かに今年の模擬試験では、医学部合格に
十分と思われる成績をあげています。しか
し、私立医学部入試で1次試験に合格出来
なかったり、1次試験には合格しても2次
試験には合格できなかったりしています。
医学部受験生本人やご家族も「納得いかな
い」思いだと思います。
まず、模擬試験とは何かを確認しましょう。
模擬試験は、大学受験を控える受験生のた
めに、実際の大学入試を想定した問題を出
題し、受験生の現状の学力を計るものです。
ここで確認していただきたいのが「模試は
全ての大学受験生を対象にしている」です。
「東大模試」のような、対象を絞った一部
の模試を除き、模試は全ての大学受験生を
対象にしています。短大を志望する受験生
も対象になります。文系も理系も対象です。
そうするとどういうことが起こるかという
と、志望する大学や学部が異なる、様々な
受験生が満足する模試にする必要が出ます。
国立大学を意識した問題、私立大学を意識
した問題、学力上位の受験生向けの問題、
基礎が十分でない受験生のための問題、文
系・理系それぞれの受験生が満足する問題、
これらを考えた模試にならざるを得ません。
結局、特徴のない寄せ集めの問題の模試と
なります。英語長文で、医学部でよく出題
される医療系テーマの文章は、まず出題さ
れません。医学部教員が作る医学部入試の
問題には例えば、化学で生物的な問題が出
るなどの特徴がありますが、全ての受験生
を対象にした模試では大学入試全体を見て
問題が作られますので、学部による特徴が
反映されることはありません。
模試は、現状の学力を知るいいツールだと
思いますが、模試の結果が実際の入試の結
果とリンクするかというと、必ずしもそう
とは言えません。予備校主催の模試は当然、
その予備校で教えないことは出せないと思
います。全員が同じ状況の入試とは違いも
出そうです。
間違えて欲しくないのは「模試の偏差値を
上げるために勉強をしているわけではない」
ということです。受験勉強を頑張るのは、
志望校の入試当日、そこで出された問題を
試験時間内で解いて合格点を取るためでし
ょう。けして、模試の偏差値を上げるため
ではないはずです。
模試の成績から考えると医学部に合格出来
ないはずはないのに、そうはならなかった
医学部受験生の皆さんは、今年の医学部入
試で問題の持ち帰りができた大学の問題を
もう一度、解いてみることをお勧めします。
「実際の医学部入試で自分は、どうだった
のか?」そこを確認することで足りなかっ
たものも見えてくるはずです。日本大学の
N方式の解答はホームページに公表されて
います。日本大学医学部A方式の解答も
間もなく公表されると思います。日本大学
の入試問題は持ち帰ることができますので、
日本大学医学部受験者は、解き直すといい
でしょう。
その他の大学も問題が持ち帰ることの出来
る大学の問題をもう一度、解いてみて先生
に見てもらってください。「実際の医学部
入試でどうだったのか」このことを突き詰
めることが来年への第一歩だと思います。
合格という結果を出せなかった問題を解き
直すことは辛いことかもしれません。しか
し、来年の医学部合格のためには、どうし
てもやってもらいたいことです。入試の記
憶が鮮明なうちにぜひ取り組んでください。
また、受験校の成績開示に備え受験票は
手元に置いておいてください。