大学受験の考え方の一つに「得意科目を
伸ばす」があります。しかし、医学部受
験生にとってこの考え方は危険です。
医学部以外を志望する受験生であれば、
国公立、私立を問わず志望校合格のため
に「得意科目を伸ばす」と言う考え方も
成立するかもしれません。
しかし、医学部受験生に限って、この考
え方は非常に危険だと思います。
大学入試は、受験科目の総合点で合否が
判定されます。そして、医学部入試は非
常に高いレベルで合否を争います。
例えば、国公立大学医学部も私立医学部
も、センター試験のボーダーラインは、
90%と言われます。もちろん、その年の
センター試験の難易度や、それぞれの大
学によってもセンター試験のボーダーラ
インは多少の違いはありますが、一般的
に国公立医学部、私立医学部を問わずセ
ンター試験のボーダーラインは「9割」
と言われます。
医学部受験生なら、国公立、私立を問わ
ずセンター試験の目標は、まず「9割」
でしょう。9割では物足りない医学部も
ありますが、ざっくり「9割」が目標に
なるでしょう。
この「9割」は、受験科目全ての合計得
点での「9割」です。5教科7科目で、
900点満点なら810点が、とりあえずの
目標になります。どの科目も9割(90点)
が目標です。
この状況で、実際にセンター試験を受験
したところ苦手科目は70点だったとし
ます。この科目は、目標の90点に20点
足りません。ちなみにセンター試験の平
均点は60点になるよう、問題が作成さ
れています。平均点より10点高くても、
医学部合格の目標得点に20点届きませ
ん。
他の科目で20点稼ごうにも、他の科目
の得点は90点だとすると、これ以上の
得点を取ることは簡単ではありません。
得意科目と言えども、一つのミスも無く
100点満点を取ることは、なかなか大変
です。仮に得意科目で100点を取ったと
しても、10点しか挽回できません。まだ、
10点足りません。
これが、センター試験のボーダーライン
が7割の学部であれば、得意科目での挽
回も可能かもしれません。しかし、非常
に高いレベルを求められる医学部入試で
は、得意科目で苦手科目をカバーするこ
とは、かなり難しいのが現実です。
こういったことから、医学部受験生は、
「得意科目を伸ばすより、苦手科目を
無くす」ことの方が医学部入試で合格を
つかみ取るためには、大切になるのです。