慶應義塾大学と並んで、私学の雄と称される早稲田
大学には医学部がありません。「なぜ医学部は慶應
にあって早稲田にはない?」という記事が、AERA
dotに掲載されました。
医学部受験生の皆さんやご家族の方にも興味深い話
だと思います。私自身も興味深く記事を読みました。
この記事によれば、慶應義塾大学、早稲田大学それ
ぞれが、自然科学系の学部を持つ総合大学を目指し
ていた当時、理系学部として慶應義塾大学は医学部
を、早稲田大学は理工学部を設立した、そうです。
この背景には、慶應には初代医学部長になる北里
柴三郎とのつながりがあり、早稲田には東京工業大
学の前身校の校長を歴任した手島精一とのつながり
があった、とのことです。
「戦前期の早稲田・慶應の経営」を書かれた国学
院大学の戸村理准教授は「慶應は、医学部と病院
を作ることで、授業料収入に加えて病院収入によ
る財源の多様化を考えた。一方早稲田は、産業界
で理工系人材の需要は大きく学生は就職に困らな
い。ゆえに授業料収入には困らない、と考えた」
としています。
早稲田と慶應の考え方の違いが医学部設置に影響
したようで、面白い話です。
大隈重信が会長を務める「同仁会」が早稲田大学
の敷地内に「東京同仁医薬学校」を設立し、やが
て早稲田大学医学部となると思われていたようで
すが、経営難から廃校になったとのことです。
こういった経緯もあり、早稲田大学にとって医学
部は、「大隈以来の悲願」となっているようです。
歴代の早稲田大学総長も医学部設立を目指して来
ましたが、現在まで早稲田大学に医学部は設置さ
れていません。
昨年、就任した田中愛治早稲田大学総長は総長選
の公約に医学部の設置を挙げていました。「単科
医科大学と対等合併する戦略に絞っていく」「病
院を建てたり買収したりして医学部を作ることは
考えていません」「他学部と連携した新しい医学
部を作ることに早稲田は貢献できるのではないか
と考えています」田中総長は、こう話しています。
2016年には、早稲田大学校友の医師からなる
「稲門医師会」が作られました。メルリックスか
らは、毎年少なくとも2名は早稲田大学出身の医
学部再受験生が医学部に進学しています。早稲田
大学病院が出来れば、多くの人材が集まるのでは
ないでしょうか?
遠くない将来、早稲田大学が医学部を設立する日
が来るかもしれません。