医学部入試

大学志望理由で落とされるわけ(2019-09-24)

医学部入試でも歯学部入試でも、出願書類や面接
で、大学志望理由を聞かれることが多くあります。
この大学志望理由が不十分で不合格とされること
も、十分にあり得ます。

9月20日(金)の、このブログの「いい志望理
由書、ダメな志望理由書」というタイトルの記事
で書いたように、大学志望理由と医学部(歯学部)
志望理由を混同しないことが、まず大切です。

一方で、「なぜ、この大学を志望するのか?」と
いう問いに、自分なりの「大学志望理由」をきち
んと答えたつもりでも、それが原因となって「不
合格」とされることがあります。

何が、いけないのでしょうか?

受験生を受け入れる立場の医学部、歯学部の面接
官は「自分の大学に入学したら医学、私学を学ぶ
ことに集中してもらいたい」と考えています。当た
り前の話ですね。

そのためには「この大学に入って良かった」「こ
の大学で頑張る」と心から思うことがまず必要で
す。

医学部も歯学部も、大学入学後の勉強は厳しいも
のがあります。

例えば、医学部で6年間一度も留年することなく
国家試験も1回で合格する学生の割合は、国立大
学医学部で85.9%、公立大学医学部で84.2%、私
立大学医学部では82.5%です。100人入学する
と、15人程度は1度以上留年する計算になりま
す。

歯学部の状況を見ると、国立大学歯学部の6年ス
トレート国家試験合格率は71.8%、公立大学歯学
部は75.8%、私立大学歯学部では40.2%となって
います。医学部以上に厳しい数字です。

こういった現状ですから、「この大学に入学して
良かった。この大学で頑張る」という気持ちが無
いと入学後が心配です。

ですから、出願書類や面接での「大学志望理由」
は重視されます。

出願書類の添削をしていたり、面接の練習をやっ
ていたりすると「その大学志望理由でいいと思っ
ているの?」と思わずにいられないことが珍しく
ありません。

受験生本人としては「問題と無い」と考えている
ようですが、心配になることが少なくありません。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

それは「その大学のことしか見ていない」からで
す。

「なぜ、この大学?」という問いに「入学後すぐ
に体験実習があり、モチベーション高く勉強でき
る」という答えがよくあります。確かに、入学後
すぐに体験実習はあるのでしょう。しかし、同じ
ことは、どの大学でもやっています。

どの大学でもやっていることを挙げて「だからこ
の大学がいい」と言われても面接官としても本気
で入学を希望しているのか疑問に思うでしょう。
本気で自校を志望していると思えない受験生を入
学させることには、ためらいがあるでしょう。

「チュートリアル教育に魅力を感じた」これも
医学部入試ではよく聞かれる志望理由です。し
かし、呼び名は違っても実質的にチュートリア
ルをやっていない医学部は、無いように思いま
す。

その大学のパンフレットやホームページだけを
見ていると、こういったことが起こりがちです。

「体験実習」や「チュートリアル」を言っては
いけない、ということではありません。言うの
なら「この大学の体験実習は、他の大学の体験
実習とここが違い、そこに魅力を感じた」と言
えるようにしてください。