医学部受験、歯学部受験で合格するためには、何と言っても受験生本人の努力が必要ですが、家族の後押しも欠かせません。
家族との関係が良好であれば、受験生本人も勉強に集中出来ます。
一方で、親御さんからよく「子供との接し方」や「子供との距離感」などのご相談を受けます。
親御さんは子供のためを思って、いろいろ言うようですが却って受験生のやる気をそいでしまうことも少なくありません。
その一つが、「合格体験記を読んで、その内容を子供に言う」です。
親が、予備校などのパンフレットに掲載されている「合格体験記」を読んで「こうやったらいいみたいだよ」などと言うことはよくあることだと思います。
「偏差値40から医学部合格」とか、「3年生の最後の大会が年明けにあるから、部活をずっと続けていたけど歯学部合格(医学部合格)」などと、合格体験記には書かれています。
これを読んだ親御さんとしては、「ちゃんとやれば、自分の子供もこうなる」と思うことでしょう。
ちょっと待って下さい。
そもそも合格体験記とは、どういうものかを考えてください。
塾や予備校の合格体験記は「たくさんいる生徒の中で、最高に上手く行った生徒の話」です。
医学部や歯学部に合格出来なかった生徒がいくらいても、そういった生徒の話は、ありません。
さらに、「合格体験記の生徒がいつの生徒か分からない」ことも、あります。
「毎年、同じ生徒の合格体験記だな」と思うこともあります。
誇れるような生徒がいないのかもしれません。
もう一点、「合格体験記は、予備校がいくらでも修正出来る」ということもあります。
合格体験記を塾や予備校のパンフレットやホームページに載せるのは、塾・予備校です。
生徒が書いた合格体験記の中から都合のいい部分だけを抜き出すことも可能です。
浪人生の合格者が、「現役生の時、6月に受けた模試は偏差値40だった。そこから頑張って高校3年の12月には偏差値60まで行ったが、医学部には合格出来なかった。浪人が決まって、この予備校に入学して医学部合格」と書いていた場合、「偏差値40からのスタートで医学部合格」とリライトしても間違いではありません。
そもそも、「偏差値40」は、どの模試かが重要な要素です。
東大志望者だけが受ける東大模試の「偏差値40」は普通の模試なら「偏差値60」と考えていいと思います。
医学部・歯学部専門のオンライン予備校メルオンでは、パンフレットにもサイトにも合格体験記は掲載していません。
全て、動画です。
それも基本的に撮り直しはしないで、一発撮りです。
撮り直すと、作られた感じがして嘘くさくなってしまうからです。
生の声としたいので、練習もしません。
ですが、文字での合格体験記は「生徒が書いたまま」、とは限りません。
たくさんいる生徒の中で、「最高に上手く行った人の話で、予備校側の手が入っているかもしれない」のが合格体験記です。
これを読んだ親が、「自分の子供も」と思うのは自然なことだとは思いますが、それをそのまま自分の子供に当てはめようとすると、かえって受験生本人のやる気をそいでしまいかねません。
親御さん本人もストレスを抱えてしまうかもしれません。
合格体験記を読むな、とは言いませんが、あくまで「こんな人もいる」くらいに考えてください。