文部科学省が、私立大学が破綻した場合に、その大学に在籍する学生を保護する枠組み作りに動き出したことが報じられました。
現在でも、私立大学を運営する学校法人の1割程度は経営悪化を心配されており今後、少子化の進行に伴って、大学の破綻が現実味を帯びてきます。
大学への補助金を決めている、日本私立学校振興共済事業団の調査によれば、今年の入学者が定員割れした私立大学は、私立大学全体の53.3%と半数を超えています。
定員割れの私立大学数は、320校もあります。
ちなみに、この日本私立学校振興共済事業団は先日、日本大学への補助金不交付を決めています。
文部科学省は、63万人だった2022年度の大学入学者が2040年度以降は49万人から51万人にまで減少すると試算しています。
大学入学者が、10万人以上減少することになります。
こういった状況の中、文部科学省は募集停止や閉校、大学を運営する学校法人の破綻が増える恐れがあると考え、大学破綻に備える準備を始めました。
文部科学省は「万一、大学が破綻した場合、在校生を他大学に移す方針」と報じられています。
近くに受け入れ大学が無い場合は、遠方の大学でのオンライン受講を考えているようです。
文系学部であれば、こういった仕組みもいいのかもしれませんが、実習がある医学部や歯学部などの理系学部は、オンライン受講だけ、と言うわけには行かないでしょう。
また、医学部や歯学部は教員数を急に増やすことは難しく、他大学での受け入れは簡単ではないと思います。
医学部入試では、地域枠の募集人員は通常の募集定員とは別枠になっていて地域枠の分、多く入学させることが出来ます。
大学としては授業料収入が多くなり歓迎すると思いましたが、医学部入試で地域枠が始まった当初は多くの入学生を受け入れる体制の整備に時間が掛かって、地域枠での募集人員を多くすることに各大学は苦労していました。
このことからも分かるように、医学部や歯学部で他大学の学生を受け入れるのは簡単ではないと思われます。
数年前、東京歯科大学と慶応義塾大学の法人合併の協議がありましたが、上手く行きませんでした。
東京歯科大学の関係者から内実をお聞きしましたが、吸収する側の学校法人慶応義塾で消極論が強くなったようです。
学校法人慶応義塾は薬学部を吸収した実績がありますが、今回は腰が引けたようです。
合併協議中断の理由を聞きましたが、言われてみると「そういうことも考えなければならないのか。大学の合併は簡単ではない」と感じました。
週刊ダイヤモンドが昨年、「私立歯学部淘汰危険度ランキング」を掲載しましたが、記事を読んで「気にするほどのことは無い」と思いました。
雑誌は購入してもらうために刺激的なタイトル記事を掲載することもありますが、「それかな」と感じました。
文部科学省の準備はありますが、医学部や歯学部は今のところ関係なさそうです。
医学部入試、歯学部入試に向けて日々頑張っている受験生の皆さんは、志望校合格に向けて
日々の学習を落ち着いて進めてください。