医学部入試

医学部を持つ大学が「高大連携」などで高校との関係を強化するわけ

今年の3月に順天堂大学が、2023年5月に高大連携協定を締結した宝仙学園との関係を強化し、宝仙学園高等学校(共学部)を系属校とすることを発表しました。

これに伴い宝仙学園高等学校(共学部)は、宝仙学園高等学校順天堂大学系属理系インターとなりました。

 

宝仙学園高等学校(共学部)が順天堂大学の系属校となったことで、順天堂大学医学部への数名の内部推薦枠を持つことになりました。

順天堂大学への内部推薦枠は今のところ医学部だけで、残る8学部への内部推薦枠は今後拡大を検討する、とのことです。

 

順天堂大学医学部は、これまで学校推薦型選抜(推薦入試)を実施しておらず当然、「指定校」もありませんでした。

それが一気に系属校からの医学部への内部推薦枠を設けることになりました。

宝仙学園高等学校の合格実績を確認すると、医学部医学科4名となっていますが私立医学部の合格者は3名となっていますが、同一人物だと思います。

 

昨年末には、北里大学を運営する学校法人北里研究所と順天中学・高校を運営する学校法人順天学園が法人合併に向けた協議開始について基本合意書を締結しました。

2つの学校法人が合併することになれば、順天高校に医学部を含む北里大学への内部推薦枠が出来る可能性があります。

 

ちなみに、順天堂大学と順天高校は、名称は似ていますが何の関係もありません。

 

また、東京医科大学は今年1月に吉祥女子中学・高等学校と高大連携協定を結びました。

 

ここ最近、医学部を持つ大学が高校と高大連携協定を結ぶなど関係を深める動きが見られます。

なぜ、大学は高校との関係を強化しようとするのでしょうか?

 

これは私の考えですが、18歳人口が減っていく中、「大学への入学者を確保したい」という意図が大学にあると考えています。

 

「医学部は志望者も多く、入学者確保について心配いらないのでは?」と思う方が多いでしょう。

その通りで現在、医学部は学生募集に心配はないでしょう。

しかし、医学部以外の学部、医学部でも看護学科については「早めに手を打っておきたい」と考えているのではないでしょうか?

 

昭和大学は、2校の特別協定校(昭和女子大学付属高校、森村学園高校)を持っていて、医学部への特別協定校推薦入試は毎年、2名が受験し2名とも合格しています。

昭和大学が特別協定校を持った時、その意図を聞いたことがあります。

「医学部以外の歯学部、薬学部、保健医療学部への進学実績の多い高校で、今後も昭和大学へ多くの生徒を送って欲しい」ということから、とのことでした。

 

医学部医学科の学生募集に不安は無くても、他の学部への進学者を確実に確保したいという意図から、高校との関係強化に動いていると思われます。