医学部入試

医学部や歯学部の小論文で、書いた内容以上に大切なこと

医学部受験、歯学部受験に向けて準備を進めている皆さんは学力試験対策だけでなく、小論文対策も頭にあると思います。

医学部入試でも歯学部入試でも学力試験だけでなく、基本的には小論文も課されます。

 

ここで、受験生の皆さんに質問です。

「医学部入試、歯学部入試の小論文で一番大切なことは、なんでしょう?」

多くの受験生はこう答えるのではないでしょうか?

 

「小論文で出された課題に対して、自分が書いた内容」

 

「小論文で何より大切なことは、いい内容の文章(小論文)を書くこと」と考えている受験生がほとんどだと思います。

小論文の先生に同じ質問をしても、「いい内容を書くこと」と同じ答えが返ってくるでしょう。

そして小論文の先生も、いい内容の小論文を書くための指導をしていると思いますし、その指導を受けている受験生も「いい内容の小論文を書くために頑張っている」と思います。

河合塾や駿台予備学校のような大手予備校の小論文の先生が、「医学部入試(歯学部入試)の小論文で、評価者にいい評価をもらうためには医療人を目指す者として、こういうことが大切」という話をされますが、「この先生は、医学部(歯学部)の人に会ったことは無いんだろうな」と思ってしまいます。

 

「医学部入試の小論文、歯学部入試の小論文だから、こうだろう」という想像で指導していると感じます。

 

医学部入試や歯学部入試の小論文では、受験生が書いた内容が大切なことは否定しません。

しかし、書いた内容以上に大切なことがあります。

 

それは「指定された字数を書き切る」ことです。

 

実際の医学部入試、歯学部入試では、「60分、600字以内」のように、「試験時間」と「字数」が示されます。

「600字以内」と指定されている小論文で300字ほどしか書けなければ、採点すらしてもらえない「採点対象外」とされる恐れがあります。

小論文を受けていないことになります。

 

どんなにいい内容であっても、「見ても、もらえない」のでは、どうしようもありません。

小論文の先生の中には「医学部の小論文(歯学部の小論文)で頻出のテーマに関する知識」を詰め込もうとする先生がいます。

受験生も医療人になったような気がして、「いい授業」と思うようです。

 

数学には「出題範囲」が決められていて、高校で学んだことの中から出題されます。

ところが小論文には「出題範囲」はありません。

何が出題されても文句は言えません。

 

「いい内容の小論文を書くために、関連知識を覚える」という勉強法では、教えてもらっていないことが出題された場合に、手が出ない恐れがあります。

 

小論文の勉強の目標は、「知らないことが出題されても、制限字数は書ききることが出来る」です。

「知っていることなら書けるけど、知らないことは書けない」では、何が出題されるか分からない小論文は非常に不安です。

 

医学部や歯学部の関係者と直接、話す中で「小論文が原因で落ちた受験生」について聞くと、「小論文の内容がひどかった」ではなく、「小論文が書けていなかった」という答えが返ってきます。

 

医学部や歯学部の小論文では、字数を満たしていれば内容はどうあれ、「小論文で落とす」ということはありません。

しかし、字数が明らかに不足していれば、「小論文で落とす」ことはあり得ます。

 

「知らないことだろうが何だろうが、どんなテーマであっても必要な字数は書ける」を目指してください。

そのためには「知識」ではなく「書き慣れる」ことです。