週刊東洋経済臨時増刊号「本当に強い大学2024」に「医師や歯科医の合格率が高い大学」のランキングを紹介するページがあります。
書いているのは、よくマスコミに登場する大学受験の専門家です。
この記事の中で医師国家試験の合格率について取り上げていますが、自治医科大学の合格率を100%として、激賞しています。
確かに自治医科大学の医師国家試験合格率は素晴らしいのですが、その中身もしっかり見ていく必要があります。
この記事にある「医師国家試験合格率ランキング」は、新卒と既卒を合わせた受験者数と合格者数から合格率を算出しています。
一般的に「医師国家試験合格率」をマスコミが報道する場合、この受験者数と合格者数から導いた合格率を紹介しています。
しかし、自治医科大学の医師国家試験結果を見ると新卒の出願者は127名、受験者
121名、合格者121名となっていて受験者100%合格です。
しかし、医師国家試験に出願したものの受験していない6年生が6名います。
悪く言えば「医師国家試験を受けさせてもらえなかった6年生が6人いる」ということです。
医師国家試験に出願した6年生全員が医師国家試験を受けていたら当然、合格率も変わってくるでしょう。
出願者数と合格者数から合格率を算出すると自治医科大学は出願者128名、合格者122名で合格率は95.3%となります。
兵庫医科大学で同じように出願者数と合格者数から合格率を算出すると,出願者116名、合格者113名で合格率は97.4%となり、自治医科大学の合格率を上回ります。
歯科医師国家試験合格率についても、この記事で「東京歯科大学は100%近い合格率でトップ。2位にも私立大の昭和大学が入っている」と書かれています。
ここでも、合格率は受験者数と合格者数から算出されていますが、東京歯科大学では歯科医師国家試験に出願したものの受けていない6年生が19名もいます。
昭和大学歯学部も出願したものの受けていない6年生はいますが、7名だけです。
19名と7名です。
6年生全員が歯科医師国家試験を受けていたらどうだったのか、ということから新卒の出願者数と合格者数から合格率を導くと、合格率は昭和大学歯学部が東京歯科大学を上回ります。
医学部受験、歯学部受験で志望校を考える際には、国家試験合格率も参考にすると思います。
この記事を書いた大学受験の専門家は、どこまで考えて記事を書いたのか分かりませんが、医師国家試験も歯科医師国家試験も、「合格率」は、どうやって算出された合格率なのかを考えるようにしてください。