医学部入試

目次
1. はじめに:偏差値がすべてではない医学部受験
2. 合格事例紹介:偏差値40台の生徒2人が医学部へ
3. 金沢医科大学AO入試とは?
4. 偏差値40台でも合格できた3つの理由
5. 他にもある!学力以外が重視される医学部入試
6. 合格を勝ち取るための3つの戦略
7. まとめ:本気なら、道は必ずある
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1. はじめに:偏差値がすべてではない医学部受験
医学部受験といえば、「少なくとも偏差値65は欲しい」というイメージが根強くあります。
しかし、実はそれだけが現実ではありません。
偏差値が高くなくても合格できる医学部受験は、確かに存在しています。
「医師になりたいけど、成績に自信がない…」
そう悩んでいる高校生や保護者の方に向けて、偏差値40台でも医学部に合格した実例とその理由を、今回は全て公開します。
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2. 合格事例紹介:偏差値40台の生徒2人が医学部へ
私はこれまで、多くの受験生を指導してきました。
その中で、特に印象深いのが偏差値40台だった2人の生徒です。
2人とも学力面では決して恵まれていたとは言えませんが、金沢医科大学のAO入試(総合型選抜)で見事に合格しました。
2人に共通していたのは以下のような点です。
• 浪人時でも模試の偏差値は40台で、偏差値50の壁を越えられない
• 医学部志望だが、一般入試で戦うのは厳しい状況
• 医師への強い気持ちを持っていた
• 受験校にこだわりは無かった
• AO入試に早い段階からターゲットを絞って周到な準備と対策
「自分には無理かも…」と思っていた彼らが、どうやって医学部に受かったのか。
その鍵は、入試制度を見極め、的確に準備したことにあります。
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3. 金沢医科大学AO入試とは?
金沢医科大学のAO入試(現在の総合型選抜)は、全国の医学部入試でも珍しい特徴を持っています。
以下に、そのポイントをまとめました。
25歳以下の医学部志望者なら評定平均など関係なく誰でも受けることが出来る医学部入試です。
また、募集人員も一般枠で15人と多くなっています。
この他の枠と合わせると合計26人の募集定員となります。
【一次試験の特徴】
• 出題範囲が狭い

英語、数学、理科2科目が出題されますが、数学の試験範囲は「数学1・A」のみ。
理科は生物基礎、化学基礎、物理基礎から2科目選択で「基礎」のみの出題
• 問題が易しい

難問奇問はなく、基本~標準レベル。難しい問題は解けなくても、基本的な問題が確実に解けることが大切
• 試験時間80分で4科目を解く(1科目20分の計算)
数学は1・Aのみで理科は「基礎」で1科目20分となれば、難しい問題を出せるはずがありません。
「いくら何でもこれは解けなければ」という問題を確実に解けるかが問われます。
1次試験の配点は4科目合計で200点です。
【二次試験の特徴】
• 配点140点の面接に重きが置かれる
配点比率が非常に高く、ここが勝負のカギになります。
• 出願時に提出した自己推薦書に60点の配点
現在は、2次試験時に試験会場で自己推薦書を書きますが、以前は出願時に提出していました。
以前は、ある意味「誰が書いたか分からないもの」に60点の配点がついていました。
金沢医科大学の AO入試は1次試験(学力試験)200点、2次試験(面接、自己推薦書)200点の合計400点満点で合否が判定されます。
このように、難し目の問題が解けないことから模試の偏差値が低くなってしまう受験生でも、的確な準備が出来れば医学部合格が可能なのです。
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4. 偏差値40台でも合格できた3つの理由
では、なぜ偏差値40台の彼らが合格できたのでしょうか? その理由を3つにまとめました。
①とにかく基礎、基本の徹底
医学部受験生は「医学部は難しい」という意識から、難しい問題をやりたがるものです。
しかし2人は先を急がず、「解けて当り前」の基礎・基本問題を徹底しました。
「基礎を正確に解ける力」さえあれば一次試験は突破できます。
2人の真面目にコツコツ積み上げる性格も重要な要素でした。
② 面接・自己推薦書には周知な準備
学力試験は4科目で200点(1科目50点)ですが、面接は140点そして自己推薦書は60点で、最終合格には面接と自己推薦書が非常に重要です。
「金沢医科大学が期待する面接の答えと自己推薦書」を準備しました。
私は金沢医科大学と何度も直接会って、「金沢医科大学の本音」を知っていましたので、面接・自己推薦書は「金沢医科大学の本音」を基に、周到な準備を行いました。
自己推薦書の他に第三者による推薦書も出願時に提出します。
推薦書は評価の対象ではありませんが面接の材料として使われます。
推薦書は、そこを意識して「こちらが聞いて欲しいこと」を聞いてくれるように私が書きました。
③ 金沢医科大学病院での臨床研修プログラムの特徴と能登半島の医療事情をしっかり理解
金沢医科大学AO入試には「出願資格」の他に「出願要件」があります。
この出願要件は「本学を卒業後、金沢医科大学病院または金沢医科大学氷見市民病院もしくは本学が指定する臨床研修指定病院において臨床研修(5年間)を行うことを保護者等が同意の上確約出来る者とします」とあります。
面接では「本当に残るのか」が問われます。
「北陸に縁のない受験生が本当に残るのか」、大学は厳しく問うてきます。
ここを乗り越えるためには金沢医科大学病院の臨床研修プログラムや能登半島の医療事情への理解が欠かせません。
この3つの要因から偏差値50の壁を超えることの出来なかった生徒2人が医学部に進学することが出来ました。
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5. 他にもある!学力以外が重視される医学部入試
金沢医科大学以外にも、学力以外の要素で評価される医学部入試は存在します。
以下に代表的なものを紹介します。
東京女子医科大学 推薦入試
• 筆記試験の思考力試験では英語も数学も理科も出題されない
• 小グループ討論は、はっきりとしたコツがある
• 小論文は「女子医の小論文」への対応力が必要
• 出願書類の「志望理由書」と「自己評価書」も重要
東邦大学医学部 総合入試
• 「適性試験」、「基礎学力」、「面接」
• 多面的・総合的に受験生を評価する仕組み
• 英語や数学、理科の出題はない
• 学力とは別の「もともと持っている能力」を計る試験
この他に2次試験で共通テストの受験が必要になりますが「東海大学医学部希望の星入試」、「帝京大学医学部総合型選抜」も1次試験では学力は問われません。
こういった医学部入試は、まず志望校の具体的な試験内容、出題内容を知ることが第一歩です。
過去問は公表されていなくても、オンライン個別指導メルオンのような専門予備校であれば、受験者からの報告でほとんど完璧に出題内容を把握しています。
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6. 合格を勝ち取るための3つの戦略
では、学力に自信がなくても医学部を目指す場合、何から始めれば良いのでしょうか?
① 早めに入試情報を集める
AO・推薦型入試は、一般入試よりも準備が早期に必要です。
なるべく早い時期に志望校の情報をチェックしてください。
この際、医学部受験に詳しい予備校に相談するのもいいでしょう。
② 面接・志望理由対策に力を入れる
志望理由書の作成、小論文、面接練習は合否に直結します。
小論文は塾や指導者のサポートを活用し、第三者の視点で添削してもらうことが重要です。
面接は合否に直結します。
「医学部の面接だから、こうだろう」と想像で指導するのではなく、医学部関係者と密接に触れ合い「医学部の本音」を理解している人に指導してもらうことをおススメします。
医学部関係者に会うことも無く、勝手な想像で自信満々に面接指導をする予備校関係者も少なくありません。
③ 志望校の入試で合格するための的確な準備を進める
医学部入試は多様化しています。
医学部合格への道も大学、入試方式によって様々ですので、受験予定の医学部入試で合格を勝ち取るために必要なことを理解し、そこに向かって的確な準備を進めて下さい。
7. まとめ:本気なら、道は必ずある
偏差値がすべてではありません。
医学部入試の中には、「学力以外の評価」に重きを置いた入試も確かに存在しています。
そして、それらの入試では偏差値40台でも十分に戦えるチャンスがあるのです。
大切なのは、「自分が勝負できるフィールドを選ぶこと」、そして「徹底して準備すること」。
医学部を目指すすべての人に、あなた自身の可能性をあきらめてほしくありません。
本気で医師になりたいと思うなら、その気持ちを活かせる入試制度を選んで、未来を切り拓いていきましょう。