医学部入試

海外医学部進学という選択肢 〜候補国・特徴・費用・卒業後の医師免許取得まで〜

目次

  1. はじめに:なぜ海外医学部が注目されているのか
  2. 海外医学部の主な候補国
    2-1. ハンガリー(セゲド大学、センメルワイス大学など)
    2-2. チェコ(チャールズ大学など)
    2-3. ポーランド(ヤギェウォ大学など)
    2-4. オーストラリア
    2-5. アイルランド
    2-6. アメリカ・カナダ
    2-7. フィリピン
  3. 各国・大学の特徴
  4. 学費・生活費の目安
  5. 授業で使われる言語と英語力の必要性
  6. 卒業後、日本の医師国家試験を受けられるか
    6-1. 厚生労働省の認可と「外国医学校卒業者試験」
    6-2. 日本で働くまでの流れ
  7. 海外医学部進学のメリットとデメリット
  8. まとめ:選択のポイント
  1. はじめに:なぜ海外医学部が注目されているのか

近年、日本の医学部入試は競争が激化し、特に私立医学部では偏差値だけでなく学費の高さも大きなハードルです。

その中で、英語で学べる海外医学部が「もう一つの道」として注目されています。

  • 日本より入りやすい入試制度
  • 英語で学ぶ国際的な環境
  • 卒業後に日本で医師として働ける可能性

これらが魅力となり、毎年一定数の日本人学生が海外に渡っています。

  1. 海外医学部の主な候補国

2-1. ハンガリー

代表校:セゲド大学、センメルワイス大学、デブレツェン大学

  • 英語で医学課程が学べる
  • EU加盟国であり、卒業後は欧州での医師資格取得も可能
  • 日本人留学生が比較的多い

2-2. チェコ

代表校:チャールズ大学(プラハ)

  • 中欧屈指の歴史ある大学
  • 英語課程あり
  • 欧州での医師資格取得に強み

2-3. ポーランド

代表校:ヤギェウォ大学、ワルシャワ医科大学

  • 学費が比較的抑えめ
  • 医療教育の質が高い

2-4. オーストラリア

  • 英語圏で生活しやすい
  • 医療教育水準が高く、臨床実習も充実
  • 学費・生活費は高額

2-5. アイルランド

  • 医学教育の国際評価が高い
  • 英語圏で欧州文化も学べる

2-6. アメリカ・カナダ

  • 医学部(Medical School)は大学卒業後に入学する大学院方式
  • 入学競争率は極めて高く、費用も高額

2-7. フィリピン

  • 医学教育が英語で行われる
  • 日本人留学生も一定数存在
  • 比較的低コストで学位取得可能

この他にイタリアや中国の医学部も候補に挙がるでしょう。

  1. 各国・大学の特徴
  • 入試方式:筆記試験+面接、または書類選考が多い
  • 教育カリキュラム:基礎医学2〜3年+臨床医学3〜4年
  • 英語課程の有無:英語で全課程学べる大学が増加中
  • 国際的評価:世界大学ランキングや卒業生の進路で差がある
  1. 学費・生活費の目安

東欧諸国は比較的、生活費は安くなります。

また、どこの国でも国立大学であれば学費も日本の私立大学医学部に比べれば、負担は小さくなることが多くなります。

学費はそれぞれの大学で異なりますので、大学ごとに確認してください。

一方、アメリカでの生活費は日本より高額になることが一般的です。

為替レートは変動しますので、そこにも注意が必要です。

  1. 授業で使われる言語と英語力の必要性
  • 英語課程の場合でも、臨床実習時は現地語が必要なことが多い
  • 出願時にTOEFL iBT 80〜100点、IELTS 6.0〜7.0程度を求められる大学が多い
  • 基礎医学までは英語で受講可能だが、患者対応は現地語を使うケースが多い
  1. 卒業後、日本の医師国家試験を受けられるか

6-1. 厚生労働省の認可と「外国医学校卒業者試験」

  • 日本で医師になるためには、厚生労働省が定める基準を満たした外国医学校を卒業する必要がある
  • 卒業後は「外国医師国家試験予備試験(通称:予備試験)」に合格し、その後日本の医師国家試験に合格する流れ
  • アメリカ・イギリス・オーストラリアなど、一部の国は予備試験免除になる場合もあるが、多くは受験が必要

6-2. 日本で働くまでの流れ

  1. 海外医学部卒業
  2. 厚労省に卒業証明やカリキュラム認定申請
  3. 外国医師国家試験予備試験合格
  4. 国家試験受験資格を得る
  5. 国家試験合格 → 研修医として勤務開始
  1. 海外医学部進学のメリットとデメリット

メリット

  • 日本より入りやすい場合がある
  • 英語力と国際的な視野が身につく
  • 海外での医師資格取得も可能

デメリット

  • 学費・生活費が高額になる可能性
  • 現地語の習得が必要
  • 卒業後、日本の国家試験までの道のりが長い
  • 帰国後の就職や臨床現場適応に時間がかかる
  1. まとめ:選択のポイント

海外医学部は「日本での合格が難しいから仕方なく行く道」ではなく、国際的な医師キャリアを目指す積極的な選択肢になりつつあります。
ただし、費用、卒業後の試験制度、現地語の壁などを事前にしっかり理解し、将来像を明確にしてから挑戦することが重要です。

日本国内で海外の医学部入学へのあっせんをしているところもありますので、そういったところで詳しい話を聞くのもいいと思います。

その際は、これまでの日本人入学生の人数、そのうち卒業者の人数、卒業者のその後、退学者の人数と理由、進級率を聞くといいでしょう。

また、大学周辺の生活環境にも注意してください。

「治安はどうなのか?」、「食事はどうなるのか?」、「生活用品や食材などの買い物は不便なく出来るのか?」、「交通機関はどうなのか?」、「アジア人への差別意識はどうなのか?」、「インターネットなどの通信環境は整っているのか?」といったことも確認してください。

渡航したあとで「こんなはずじゃなかった」と言っても、どうしようもありません。

海外の医学部への進学は1つの選択肢ではありますが、慎重に考えて下さい。

 

参考 海外医学部進学についてメリットデメリット医師国家試験予備校MEDICINE