医学部入試

目次

  1. はじめに ― 駿台とベネッセの偏差値の違いとは?
  2. 医学部偏差値の比較表とグラフ
  3. トップ層の比較 ― 慶應と慈恵の扱い
  4. 自治医科大学 ― 偏差値の大きな乖離
  5. 愛知医科と藤田医科 ― 難易度評価の違い
  6. 金沢医科と東京女子医科 ― 評価の食い違い
  7. 川崎医科大学 ― 易しい医学部として一致
  8. 全体的な傾向 ― ベネッセは高めに出る
  9. 偏差値は絶対的な指標ではない
  10. まとめ ― 偏差値をどう活用すべきか

はじめに

医学部受験を目指すにあたって、「どの大学が難しいのか」を知るために多くの受験生や保護者が参考にするのが医学部の偏差値ランキングです。

ただし、模試を実施している予備校によって結果が異なるため、注意が必要です。

ベネッセが6月に行った進研模試に連動する最新の医学部偏差値ランキングを発表しましたので、駿台予備学校の医学部偏差値ランキングと比較し、その違いを解説していきます。

駿台予備学校もベネッセも偏差値は1刻みになっていますが河合塾は偏差値を2.5刻みで表記ています。

駿台・ベネッセの偏差値と河合塾の偏差値を比較するのは難しいので今回は駿台予備学校とベネッセの「医学部の偏差値」を比較してみます。

なお、駿台予備学校、ベネッセ共に偏差値は、合格可能性60%の偏差値を示しています。

  1. トップ層の比較 ― 慶應と慈恵の扱い

両者の医学部偏差値ランキングで最も難関とされているのは慶應義塾大学医学部で一致しています。

  • 駿台:77
  • ベネッセ:76

この結果からも、慶應義塾大学医学部が「国内私立医学部の最難関」である点に異論はありません。

ただし、東京慈恵会医科大学に注目すると違いが見えてきます。

  • 駿台:70(慶應義塾大学との差 7)
  • ベネッセ:74(慶應義塾大学との差 2)

駿台では「慶應と慈恵の間に大きな壁」があるのに対し、ベネッセでは「両者に大きな差はない」と評価されています。

ちなみに河合塾の「医学部偏差値ランキング」では、慶応義塾大学医学部が最難関とされ偏差値は72.5とされています。

東京慈恵会医科大学は慶應義塾大学医学部に次ぎ、偏差値70.0とされています。

 

河合塾は、慶應義塾大学と東京慈恵会医科大学の差は偏差値2、としています。

  1. 自治医科大学 ― 偏差値の大きな乖離

駿台予備学校とベネッセの医学部偏差値ランキングで、特に目を引くのが自治医科大学です。

  • 駿台:63
  • ベネッセ:75

10以上の差があるのは異例で、見解が真逆といえます。

ベネッセは「自治医科大学は慶應義塾大学の次に難易度の高い大学で慶應義塾大学との偏差値の差は1」としています。

ベネッセは「東京慈恵会医科大学より自治医科大学の方が難しい」としていますが、駿台は「自治医科大学より東京慈恵会医科大学の方が難しい」としています。

受験生としては「慈恵と自治医、どっちの方が難しいの?」と困惑するでしょう。

ちなみに河合塾の医学部偏差値ランキングを見ると慶応義塾大学は偏差値72.5で東京慈恵会医科大学が偏差値70.0、自治医科大学が偏差値67.5としています。

河合塾は、駿台と同じように「自治医科大学より東京慈恵会医科大学の方が難しい」としています。

  1. 愛知医科と藤田医科 ― どちらが難しい?

同じ愛知県にある、愛知医科大学藤田医科大学では。どちらの大学の方が難しいのでしょうか?

  • 駿台:愛知医科(59)<藤田医科(61)
  • ベネッセ:愛知医科(72)=藤田医科(71)

駿台は、「愛知医科大学より藤田医科大学の方が難しい」としています。

一方、ベネッセは「藤田医科大学より愛知医科大学の方が難しい」としていて、全く逆の見解です。

ここでも河合塾の医学部偏差値ランキングを見てみましょう。

河合塾では愛知医科大学と藤田医科大学の偏差値をどちらも65.0としていて、「難易度は同じ」としています。

  1. 金沢医科と東京女子医科 ― 評価の食い違い

金沢医科大学東京女子医科大学でも難易度について、駿台とベネッセでは全く逆の見解になっています。

  • 駿台:金沢(55)<東京女子(56)
  • ベネッセ:金沢(71)>東京女子(70)

東京女子医科大学と金沢医科大学の難易度について、駿台は「女子医の方が難しい」としていますが、ベネッセは「金沢医科大学の方が難しい」としています。

河合塾の偏差値を見ると金沢医科大学62.5、東京女子医科大学60.0としており河合塾はベネッセと同様に「金沢医科大学の方が難しい」としています。

  1. 川崎医科大学 ― 易しい医学部として一致

「私立医学部で一番易しい大学」という点で、両者で一致しているのが川崎医科大学です。

駿台もベネッセも医学部偏差値ランキングで最も低い偏差値を付けているのが川崎医科大学です。

  • 駿台:53
  • ベネッセ:69

数値自体は違いますが、どちらの模試でも「私立医学部の中では最も難易度が低い」という評価で一致しています。

  1. 偏差値は絶対的な指標ではない

ここまで見てきた通り、同じ大学でも駿台とベネッセでは評価が異なる場合があります。

また、全体的にベネッセの方が偏差値の数値は高くなりがちです。

これは、駿台模試とベネッセ進研模試の受験者層の違いからで、ベネッセは全体的に偏差値が高めに出る傾向があるため、単純比較には注意が必要です。

偏差値はあくまで「目安」であり、合否を決める絶対的なものではありません。
受験校を決める際は、偏差値に加えて、

  • 自分の学力と相性(科目配点や出題傾向)
  • 立地や学費、カリキュラム
  • 将来のキャリアプラン(地域医療、研究志向など)

といった要素も合わせて検討することが重要です。

まとめ

  • 最難関は慶應で一致。ただし、慈恵との差の評価が異なる。
  • 自治医科は駿台とベネッセで大きな差
  • 愛知医科と藤田医科の難易度評価が逆転
  • 金沢医科と女子医科の位置づけも異なる
  • 最も易しいのは川崎医科で一致
  • ベネッセの方が全体的に偏差値が高めに出やすい
  • 偏差値は「目安」にすぎず、過信は禁物。

医学部受験生なら誰もが医学部の偏差値ランキングを気にするでしょう。

とは言え、「医学部の偏差値」は絶対的なものではありません。

模試による数字の違いを理解しつつ、受験生自身の戦略に合わせた出願計画を立てていきましょう。

 

 

駿台とベネッセ(進研模試)医学部の偏差値

 

  駿台 ベネッセ
慶応 77 76
東京慈恵会医科 70 74
順天堂 69 73
日本医科 68 73
国際医療福祉 66 72
大阪医科薬科 66 73
関西医科 66 72
自治医科 63 75
昭和医科 63 72
東京医科 63 72
東邦 63 72
産業医科 62 71
帝京 61 71
藤田医科 61 71
近畿 61 72
東北医科薬科 60 71
杏林 60 71
日本 59 71
聖マリアンナ医科 59 72
愛知医科 59 72
兵庫医科 59 70
北里 58 70
東海 58 70
久留米 57 71
岩手医科 56 71
獨協医科 56 70
埼玉医科 56 71
東京女子医科 56 70
福岡 56 71
金沢医科 55 71
川崎医科 53 69