目次
- はじめに:2026年度入試の全体傾向
- 医学部・歯学部志望動向まとめ(医療技術なども含む)
- 人気が続く理由:医療職の「安定」と「使命感」
- 医学部志望者が押さえるべきポイント
- 歯学部志望者が押さえるべきポイント
- 都市部と地方で異なる志望動向
- 受験生・保護者への具体的アドバイス
- まとめ:数字より「志望の軸」を大切に
はじめに:2026年度入試の全体傾向
高校生新聞オンライン(2025年10月)に河合塾の私立大学全体の入試動向が掲載されていました。
河合塾の全統模試で、受験生が合格可能性判定に書いた大学学部からの入試分析によると、2026年度私立大学入試では次のような傾向が見られるとしています。
- 都市部の難関私立大学に人気が集中
- 共通テスト利用方式の志望者が約1割増加
- 医療系学部の中で医学・歯学が微増、薬学・看護が減少
受験生全体に「安定した資格・将来性を求める動き」が続いており、
その中でも医学部・歯学部は根強い支持を維持しているとのことです。
医学部・歯学部志望動向まとめ
記事に掲載された最新データを基に、医療系学部全体の動向を整理しました。
学部系統 | 志望者数(前年比) | 傾向・ポイント |
医学科 | 103% | 医療系の中で最も人気を維持。都市部難関大中心に志望者増。 |
歯学科 | 102% | 安定した人気。医療系で医学科と並び微増。 |
薬学 | 96% | 減少傾向。6年制・学費負担や就職見通しの影響。 |
看護 | 96% | 減少傾向。現場の厳しさや離職率への不安が背景。 |
医療技術(リハビリ・臨床検査・放射線など) | 99% | やや減少。安定志向は継続するが横ばい。 |
理工・文系・他学部全体 | 100%前後 | 都市部私大で人気集中、地方大学で減少傾向。 |
出典:高校生新聞オンライン「2026年大学入試予測・私立編」
私立大学の医療系学部全体では志望者減の学科もある中、「医学科・歯学科」が人気を維持しています。
人気が続く理由:医療職の「安定」と「使命感」
- 将来の安定性
医師・歯科医師は国家資格職であり、社会的地位・収入・雇用の安定性が高い職業で女性も長く活躍できる職業です。
また、経済不安や就職氷河期、AI進展の影響を受けにくく、「一生続けられる仕事」として保護者からの支持も強い、ということもあります。
- 人の命と健康を支える使命感
単なる“安定志向”ではなく、「社会に貢献したい」「人を助けたい」という志を持つ受験生が増えています。
医療の現場で人の役に立ちたいという動機が医学部、歯学部の人気を支えています。
- コロナ禍以降の医療意識の高まり
コロナ禍の際に医療従事者への尊敬・関心が社会的に高まったこと、また能登半島地震などの大規模災害を通して同じように医師、歯科医師を中心とする医療職への関心が高まったこともあり、医療系進学を志す受験生が安定して増加しています。
医学部志望者が押さえるべきポイント
- 難易度は依然として最上位
医学部は私立・国公立問わず偏差値・倍率が高い学部です。
「志望者数103%」という微増でも、難易度上昇の要因となる可能性があります。
- 共通テスト利用者の増加
共通テスト方式の志望者が前年比110%と大幅に増加しています。
共通テストで高得点を狙う国公立医学部を第一志望とする成績上位層が私立医学部を併願するケースが増えると思われます。
- 学びの内容と将来性
基礎医学・臨床医学・研究を6年間で学び、卒業後は医師国家試験を経て医師資格を得ます。
医師には臨床医・研究医・公衆衛生・行政など多彩な進路があります。
- 面接・小論文の重要性
「なぜ医師になりたいのか」という志望動機を深掘りする面接・小論文が多くの大学で実施されます。
自分自身の意思で医師を目指すのか、医学部入学後本気で医学の勉強に取組めるのか、周囲と良好なコミュニケーションが取れるのか、論理的思考が出来るのか、といったことが問われます。
医学部合格のためには高い学力に加え、小論文や面接への対応力も欠かせません。
特に最近は、入試要項に「面接の評価が低い場合は学力試験の成績にかかわらず、不合格とする」と明記する大学が増えています。
現在の医学部入試は私立医学部であっても学力上位層が殺到していますので、大学としても「いくらでも優秀な受験生を取れる」と考えています。
歯学部志望者が押さえるべきポイント
- 医療系の中で堅調な人気
私立歯学部は過去2年、志願者数が伸びています。
国公立歯学部は3年連続で志願者数が伸びています。
一時期、「歯科医師は多すぎる」と言われることも多かったのですが、現在では歯科医師数は減少しており、その減少スピードは更に増すことが予想されています。
「近い将来、歯科医師は足りなくなる」と言うことから、歯科医師の将来性が受験生や保護者に認識されるようになってきて、その流れは今後も続くと見込まれます。
歯学部志望者は前年比102%と安定して、着実な人気を維持しています。
- 学びの特徴
歯学部では、歯や口腔の構造・治療・矯正・インプラントなどを学びます。
また、近年は「口腔から全身の健康を支える医療」として注目度が上がっています。
- 入試傾向
理科・数学・英語の基礎力が重要で、よくある問題を「早く正確に」解く力が求められます。
面接・小論文では「歯科医師としての適性」や「コミュニケーション力」も評価されます。
小論文では「高齢社会における歯科医師の役割」といった歯科関連のテーマが多く出題されますので、歯科に関する知識を付けておいた方がいいでしょう。
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私立歯学部受験では、学校推薦型選抜(推薦入試)・総合型選抜(AO入試)も活発化していて、多くの私立歯学部志望者は学校推薦型選抜や総合型選抜を受験します。
都市部と地方で異なる志望動向
高校生新聞の記事によると、
都市部(首都圏・近畿圏)の私立大学では志望者増、地方私大では減少という対照的な動きがあります。
都市部人気の理由
- 通学アクセスが良く、研修病院も多い
- ブランド志向・進学後のネットワーク重視
- 共通テスト併用方式が選びやすい
地方大学のチャンス
- 倍率が下がる可能性あり
- 奨学金制度や地域枠での支援が手厚い
- 地元志向の受験生に有利な傾向も
戦略ポイント
「都市部難関大に集中→競争激化」
「地方大学→実力次第で合格チャンス拡大」
この2極化を踏まえた志望校選びが重要です。
受験生・保護者への具体的アドバイス
- 数字に惑わされず「目的」を大切に
「103%」「102%」という数字はあくまで全体の傾向。
しっかりとした準備があれば、競争率に左右される必要はありません。
- 早期の受験準備が鍵
- 科目の得点バランスを整える
- 面接・小論文の準備を夏までに始める
- 一般選抜の他に共通テスト利用入試・学校推薦型選抜、総合型選抜、地域枠入試など複数方式を検討する
- 保護者のサポートのあり方
- 「成績」より「努力の過程」を認めてあげる
- 子どもの進路選択に過度な期待をかけない
- 経済的な準備を早めに計画(私立医・歯学部は学費が高額)
- 医学部受験、歯学部受験は「情報戦」の面もあり、保護者も入試情報に敏感に。
- ただし、信頼できる正しい情報を。
まとめ:数字より志望の軸を大切に
医学部・歯学部ともに、人気を維持しながら志望者増となっていて競争がさらに厳しくなります。
しかし最も大切なのは「なぜ医療を志すのか」という志望の軸です。
- 医学部は「命を救う責任ある職業」
- 歯学部は「人の生活の質を支える専門職」
どちらも社会にとって不可欠な存在です。
流行や倍率に惑わされず、自分の意思で進路を選ぶことが、最終的に最も強い受験力になります。
ここがしっかりしていれば、長期間に及ぶ受験勉強を乗り越えることが出来ます。
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努力の道は決して平坦ではありませんが、
あなたの学びが、誰かの笑顔と健康につながる日が必ず来ます。
焦らず、一歩ずつ確実に前へ進んでいきましょう。