「今年の医学部受験、例年と何か違う気がする」
そう感じている受験生や保護者の方は、決して少なくありません。
令和8年度(2026年度)入試に向けた大学入学共通テスト(以下。共通テスト)は、志願者数こそ前年並みですが、その中身を見ると、受験生の動きには明確な変化が表れています。
難関国立大学の志願者減少、都市部私立へのシフト、そして「多科目受験」を避けようとする上位層の動き――。
これらは一般学部だけでなく、医学部・歯学部受験にも確実に影響する要素です。
医学部・歯学部は、もともと学力だけでなく「受験戦略」が合否を左右しやすい分野です。
特に今年は、新課程2年目の共通テスト、既卒者比率の上昇など、
例年通りの考え方では通用しにくい条件が重なっています。
今回のブログでは、独立行政法人大学入試センターが発表した共通テスト志願動向のデータをもとに、「なぜ今、医学部・歯学部受験で戦略が重要なのか」「国公立・私立をどう考えるべきか」を、医学部・歯学部志望者の視点で分かりやすく解説します。
「知らなかった」では済まされない入試の変化を、出願前にしっかり整理しておきましょう。
目次
- 共通テスト志願者数は微増――医学部受験環境はどうなる?
- 現役生比率低下・既卒増加が意味するもの
- 新課程2年目の共通テストと医学部・歯学部への影響
- 難関国立志願者減少は医学部にも当てはまるのか
- 「私大シフト」は医学部・歯学部でも起きている
- 多科目受験回避と医学部受験の相性
- 新設学部人気から読み取る受験生の価値観変化
- 医学部・歯学部志望者が取るべき出願戦略
- まとめ:令和8年度入試をどう乗り切るか
- 共通テスト志願者数は微増――医学部受験環境はどうなる?
1月17日(土)、18日(日)に本試験が行われる、令和8年度(2026年度)入学予定者向けの大学入学共通テストは、全国650会場で実施され、志願者数は49万6237人と、前年よりわずかに増加しました。
この「微増」という数字から分かるのは、
- 大学受験全体の母数はほぼ横ばい
- 医学部・歯学部の競争が緩和される状況ではない
という点です。
医学部・歯学部はもともと受験生の志望動機が強く、定員が厳しく管理された学部であり、全体志願者数が増えようが減ろうが、「狭き門」である構造は変わらない学部です。
- 現役生比率低下・既卒増加が意味するもの
今回の独立行政法人大学入試センター発表のデータで注目すべき点の一つが、
- 現役生比率:84.7%(前年より1.3ポイント減)
- 既卒者比率:14.4%(前年より1.3ポイント増)
という変化です。
医学部・歯学部受験では、もともと
- 浪人が一定数存在する
- 複数年計画で挑む受験生も多い
という特徴があるため、既卒者増加は特に医学部志望者にとって競争激化を意味します。
特に、
- 私立医学部
- 私立歯学部
では、国公立大学を第一志望とする、学力完成度の高い既卒生が志願者層に加わることになります。
- 新課程2年目の共通テストと医学部・歯学部への影響
共通テストは新課程対応2年目となり、今年度からは
- 旧課程既卒者への特別配慮がなくなる
とされています。
これは医学部・歯学部志望者にとって重要で、
- 数学・理科での出題傾向変化
- 共通テスト得点が合否に直結する大学では影響大
という点が考えられます。
特に、
- 国公立医学部
- 共通テスト利用型の私立医学部・歯学部
では、「昨年と同じ感覚で取れる」と考えるのは危険でしょう。
- 難関国立志願者減少は医学部にも当てはまるのか
河合塾の模試分析では、
- 東京大学
- 京都大学
- 東京科学大学(旧・東京医科歯科大学、東京工業大学)
といった難関国立大の前期日程で志願者が前年割れとなっています。
ただし注意すべき点は、
難関離れという、この傾向が、そのまま国公立医学部に当てはまるとは限らない
ということです。
国公立医学部は、
- 国公立大学全体とは別枠の競争構造
- 学部単位でのブランド力が極めて強い
ため、一般学部以上に志願者が集まりやすい学部です。
ただし、
- 地方国公立医学部
- 共通テスト配点が高い大学
では、国語や地歴公民といった「多科目負担」を理由に敬遠される可能性は否定できません。
- 「私大シフト」は医学部・歯学部でも起きている
河合塾の分析では上智大や東京理科大などの志願者増加が示され、都市部難関私立へのシフトが鮮明になっています。
この動きは、医学部・歯学部でもすでに見られます。
- 私立医学部の人気校への集中
- 私立歯学部でも都市部・国家試験実績の良い大学への集中
といった形で、国公立併願者を中心に「私立の中での選別」が進んでいます。
- 多科目受験回避と医学部受験の相性
河合塾が指摘するキーワードが「多科目受験回避」です。
ここが今年の医学部・歯学部受験では非常に重要なキーワードです。
- 国公立医学部:
- 共通テストで国語(現代文・古文・漢文)、地理歴史公民に加え情報と多科目が必要
- 私立医学部・歯学部:
- 英語、数学、理科の2〜3科目中心
- 共通テスト不要、または利用のみ
- 共通テストを利用する場合も科目数が少なくていい場合も
この違いから、
「負担の大きい国公立一本」より「私立併願を厚くする戦略」
を取る受験生が増えていると考えられます。
- 新設学部人気から読み取る受験生の価値観変化
環境・AI・ロボット・インバウンドなどの最近の社会ニーズを取り込んだ新設学部が高倍率を記録している点も見逃せません。
これは大学受験生にとって、
- 将来の職業イメージ
- 専門性の明確さ
が、以前にも増して重視されていることを示すと考えられます。
この点から「将来の職業イメージが明確」で、「専門性の明確」な医学部や歯学部の人気が高まる可能性を読み取れます。
- 医学部・歯学部志望者が取るべき出願戦略
令和8年度入試を見据え、医学部・歯学部志望者は次の視点が重要になるでしょう。
- 国公立医学部志望者
- 共通テスト対策を軽視しない
- 地方国立も含めた現実的な出願設計
- 私立医学部・歯学部志望者
- 難易度・日程・科目の組み合わせを戦略的に
- 「人気校集中」に巻き込まれすぎない
- 共通点
- 学力だけでなく、どの大学を受けるのかという「受験戦略の差が合否を分ける入試」
- まとめ:令和8年度入試をどう乗り切るか
令和8年度の共通テスト・大学入試動向は、
- 全体は安定
- しかし中身は大きく変化
というのが本質と考えて下さい。
医学部・歯学部受験では特に、
- 多科目負担
- 既卒増加
- 私立併願増
という要素が重なり、「例年以上に戦略が重要な入試」になる可能性が高いと言えるでしょう。
「医学部の偏差値ランキング」や「歯学部の偏差値ランキング」などの単なる偏差値比較ではなく、制度(地域枠・特待など)、動向を理解した上での出願判断が、合否を左右する一年になると考えられます。
なお、共通テストを受験する受験生の皆さんは、大学入試センターのホームページに共通テスト前日・当日の注意事項が掲載されていますので、一度確認しておくといいでしょう。
今年度から「写真付きの身分証明書の持参」が必須となっています。
交通トラブルがあった際の対処、試験会場に持ち込んでいいもの、持ち込んではいけないもの、も確認しておいてください。
共通テストまで1週間となりました。
試験当日、自分が持っている力を出し切ることを考えて、残された日はコンディション作りにも留意してください。
ここまで来ると保護者の方が出来るのは、受験生本人の精神的・肉体的なコンディションを整えることです。
受験生本人が安心して最後の仕上げに取組める環境を整えることを心掛けて下さい。

