大学入試改革が進み、私立大学では学校推薦型選抜・総合型選抜といった「年内入試」で進学先を決める受験生が主流となりました。
その一方で、医学部受験においては、いまなお大学入学共通テストが極めて重要な位置を占めていることが、最新のデータから明らかになっています。
2026年度大学入学共通テストでは、少子化の影響が続く中でも志願者数は前年を上回り、現役生の志願率は45.5%と過去最高を更新しました。
年内入試が拡大する現在においても、医学部を志望する受験生ほど、共通テストを前提に受験戦略を組み立てている実態が浮かび上がります。
医学部志望者にとって、共通テストは本当に必要なのか。
国公立医学部志望者だけでなく、私立医学部を中心に受験する場合でも、
共通テストを受験する意義はどこにあるのか。
そして、共通テストの結果は、どのように出願戦略へ結びつけるべきなのか。
今回のブログでは、
- 医学部受験において共通テスト志願率が高止まりしている背景
- 年内入試時代における医学部受験の構造的変化
- 共通テスト後でも出願可能な私立医学部入試の具体的日程と大学
を整理した上で、
駿台・ベネッセ、河合塾、東進といった大手予備校が公表した
2026年度共通テストの科目別予想平均点を具体的に示しながら、
医学部志望者がその数値をどのように読み取り、
現実的な出願戦略・併願設計にどう活かすべきかを解説します。
共通テストは、医学部合否を単独で決める試験ではありません。
しかし、医学部合格の可能性を広げ、受験戦略の自由度を確保するための「基盤」であることは、年々その重要性を増しています。
医学部受験のプロとしての視点から、共通テストを「受けるべきかどうか」ではなく、
「どのように位置づけ、どう使い切るか」という観点で、最新データとともに整理していきます。
目次
- 私立大学の6割が年内入試合格の時代、それでも医学部は別世界
- 共通テスト志願率が上がり続ける“逆説”
- 医学部志望者が共通テストを避けられない3つの構造理由
- 「使わなくても受ける」医学部志望者が増えている現実
- 高校・保護者が医学部志望者に共通テストを勧める理由
- 共通テスト後に動ける医学部一覧が持つ戦略的価値
- 共通テストは医学部受験において何を測っているのか
- 年内入試全盛時代の「医学部×共通テスト」最適戦略
- 共通テスト予想平均点をどう読むか
- 医学部志望者が特に注視すべき科目別平均点
- 理科の平均点では、科目によって差が
- 情報1の平均点が医学部志望者に突きつける現実
- 予想平均点から見える医学部受験生の立ち位置
- 共通テスト後でもまだ間に合う私立医学部「共通テスト利用入試」
- 最終結論:医学部志望者は平均点より「意味」を読む
- 私立大学の6割が年内入試合格の時代、それでも医学部は別世界
現在、私立大学入学者の約6割は、学校推薦型選抜・総合型選抜といった「年内入試」で合格を決めています。
一見すると、
- 「もう一般選抜(一般入試)の時代ではない」
- 「共通テストは存在感が薄れていく」
そう思われがちです。
しかし、医学部志望者に限って言えば、状況はまったく異なります。
2026年度の大学入学共通テストでは、
- 志願者数:約49万6千人(前年比増)
- 現役生の志願率:45.5%(過去最高)
という結果が出ました。
少子化が進み、年内入試が主流になっているにもかかわらず、
「医学部を目指す層を含む現役生の共通テスト参加率は、むしろ上がっている」
この事実は、医学部受験の構造を理解する上で極めて重要です。
- 共通テスト志願率が上がり続ける“逆説”
注目すべきは、
- 現役生の「人数」は減っている
- 「現役志願率」は上がっている
- 共通テスト志願者数は増加
- 2浪志願者が増加
という点です。
つまり、
医学部を含む大学進学を本気で考える受験生ほど、
共通テストを回避せず、むしろ戦略的に受けている
という構図が浮かび上がります。
これは偶然ではなく、医学部受験の構造そのものが変化している結果なのです。
- 医学部志望者が共通テストを避けられない3つの構造理由
① 大学進学率の上昇=医学部競争の激化
大学進学率は58.6%と過去最高に達しました。
その結果、
- 「もはや、大学に行くのが当たり前」
- その中で医学部を目指す層の学力水準が相対的に上昇
となっています。
医学部受験は私立も国公立も、
- 学力最上位層同士の戦い
- 「1回の試験で決める」リスクが極めて高い世界
こういった状況の中、 共通テストは“比較可能な全国共通指標”として不可欠になっています。
② 私立医学部が共通テストを強く意識し始めた
現在、
- 共通テストを入試に利用する大学は 813大学
- そのうち私立大学は 621大学
私立医学部でも、31大学のうち半数以上の18大学が共通テストを利用した入試を行っています。
- 共通テスト利用型入試
- 共通テスト後出願型入試
- 一般入試との併願設計
が当たり前になっています。
医学部志望者にとって共通テストは、
「国公立のため」ではなく
「私立医学部の選択肢を広げるため」
の試験へと変化しました。
- 「使わなくても受ける」医学部志望者が増えている現実
大学入試センターのデータを基にした推計では、
- 共通テスト志願者約49万人のうち
- 約15万人は年内入試で進学先が決定済み
と見られています。
医学部志望者でも、
- 推薦・総合型で別学部に合格
- それでも医学部一般を視野に共通テスト受験
というケースは珍しくありません。
理由は明確です。
- 高校・保護者が医学部志望者に共通テストを勧める理由
多くの高校では、
- 「合格したら勉強終了」
- 「1月から空白期間」
を強く警戒しています。
特に医学部志望者の場合、
- 入学後の学修量が極端に多い
- 基礎学力の不足が進級・留年に直結する
ため、
共通テストは“医学部に進むための最低限の学力確認”として扱われています。
なお、東海大学医学部、帝京大学医学部の総合型選抜では、共通テストの受験が必須となっています。
私立医学部総合型選抜の共通テストのボーダーラインは、けして高いものではありませんが、大学としては「最後まで頑張らせる」という意図があるように思います。
- 共通テスト後に出願できる私立医学部の存在
私立医学部受験では、
- 共通テスト後に出願可能な医学部
- 得点を見てから動ける医学部
の存在が極めて重要です。
これは、
- 「思ったより取れた」
- 「想定より低かった」
どちらの場合でも、
戦略を修正できる「最後の分岐点」
になります。
共通テストを受けていなければ、この分岐点自体が存在しません。
- 共通テストは医学部受験において何を測っているのか
共通テストは、
- 難問処理能力
- 奇問への対応力
ではなく、
- 読解力
- 情報処理力
- 基礎知識の運用力
を測る試験です。
これはそのまま、
- 医学部の講義理解
- CBT・OSCE
- 国家試験
につながる能力でもあり、医学部としても「使える入試」と言えるでしょう。
- 年内入試全盛時代の「医学部×共通テスト」最適戦略
医学部志望者にとっての現実的な立ち位置は、
「共通テストの目的は合否だけではない」
というものです。
- 使う可能性がある
- 使わなくても学力証明になる
- 戦略の幅を確保できる
- 最後の模試として使える
- 本番の緊張感を味わっておける
医学部受験において、共通テストは「切り札」ではなく「土台」と考えて下さい。
- 共通テスト予想平均点をどう読むか
――医学部志望者が“点数そのもの”より重視すべき視点
共通テストが終わると、多くの医学部志望者・保護者がまず確認するのが
大手予備校による予想平均点です。
2026年度共通テストについて、
河合塾・ベネッセ駿台・東進の3大予備校が2026年1月19日現在公表している数値は以下の通りです。(なお、各予備校の予想平均点は今後、修正される可能性があります。)
■ 文系・理系 総合点(6教科)の予想平均点
理系型(医学部志望者が該当)
- 河合塾:608点
- ベネッセ駿台:600点
- 東進:606点
3社とも 600点前後で非常に近い数値を出しており、
今年の共通テストは、
「極端な難化・易化ではなく、標準的」
という見方が支配的です。
医学部志望者にとって重要なのは、
「平均点が何点か」ではなく、
平均との差で「どれだけ上回っているか」です。
- 医学部志望者が特に注視すべき科目別平均点
- 英語(リーディング)
- ベネッセ駿台:62点
- 河合塾:63点
- 東進:64点
英語は例年通り、安定して60点台前半。
医学部志望者にとっては、
- 70点台 → やや厳しい
- 80点以上 → アドバンテージ
- 90点前後 → 上位医学部層
という位置づけになります。
- 英語(リスニング)
- ベネッセ駿台:57点
- 河合塾:54点
- 東進:56点
やや低めの予想で、情報処理・集中力の差が出やすい科目。
医学部志望者は、リーディングとリスニングの合計点で英語の完成度を評価される点に注意が必要です。
- 数学ⅠA
- ベネッセ駿台:46点
- 河合塾:48点
- 東進:48点
数学ⅠAは平均点が低く、典型的な「差がつく科目」と考えられます。
医学部志望者の場合、
- 60点台 → 平均層
- 70点以上 → 上位層
- 80点以上 → 医学部標準以上
という目安になります。
- 数学ⅡBC
- ベネッセ駿台:52点
- 河合塾:51点
- 東進:55点
ⅠAよりは取りやすいが、計算精度・処理速度の差が如実に出る科目。
数学が得意な医学部志望者は、ここで確実に貯金を作る必要があります。
- 理科の平均点では、科目によって差が
- 物理
- ベネッセ駿台:45点
- 河合塾:46点
- 東進:44点
- 化学
- ベネッセ駿台:57点
- 河合塾:56点
- 東進:57点
- 生物
- ベネッセ駿台:57点
- 河合塾:55点
- 東進:54点
物理は低め、化学・生物は安定。
これは、
医学部志望者の得点源が 化学・生物に集中しやすい
という例年通りの構図を示していますが、医学部志望者の物理の得点は、平均点をかなり上回っていると考えて下さい。
なお、「理科の得点調整は行われない」と考えていいでしょう。
- 情報Ⅰの平均点が医学部志望者に突きつける現実
- ベネッセ駿台:59点
- 河合塾:58点
- 東進:56点
情報Ⅰは、
- 「対策していない層」
- 「慣れていない層」
が確実に取りこぼす科目です。
情報1を合否判定に使用する医学部に出願する(した)志望者にとっては、
「差がつかない科目」ではなく「落としたら致命的な科目」
になりつつあります。
- 予想平均点から見える医学部受験生の立ち位置
これらの数値を総合すると、
- 共通テスト全体は標準難度
- 数学ⅠA・物理は差がつきやすい
- 英語・化学・生物は完成度勝負
- 情報Ⅰは“新たな足切り要素”
という構図が浮かび上がります。
医学部志望者にとって重要なのは、
「平均点を気にすること」ではなく 「自分が医学部受験生の中で
どの位置にいるかを冷静に把握すること」、です。
14.共通テスト後でもまだ間に合う私立医学部「共通テスト利用入試」
――自己採点後に“戦略変更”が可能な医学部はここだ
私立医学部受験において、共通テストを受ける最大の意味の一つが、
「共通テストの自己採点結果を見てから、出願校を決められる医学部が存在する」
という点にあります。
ここでは、2026年度入試において、共通テスト後でも出願が可能な私立医学部前期入試を示します。
■ 共通テスト後に出願可能な私立医学部前期入試一覧(2026年度)
◆ 1月23日締切
- 日本医科大学 グローバル特別選抜
(前期/必着)
私立医学部の中でもブランド力・実績が高い。
国公立医学部併願者が多い
共通テストの国語で一定水準を超えた受験生にとって、「攻め」の出願が成立する大学。
なお、関西医科大学共通テスト利用入試後期、近畿大学医学部共通テスト利用入試中期・後期は自己採点後の出願が可能です。
- 最終結論:医学部志望者は平均点より「意味」を読む
共通テストの予想平均点は、「一喜一憂するための数字」ではありません。
医学部志望者にとっては、
- 自分の学力位置を測る物差し
- 出願戦略を修正する判断材料
- 私立医学部・国公立医学部の併願設計
すべての基礎資料です。

