私立医学部一般選抜は、今、静かだが決定的な転換期を迎えています。
2025年末、文部科学省が各大学に対し
「大学入学者選抜実施要項の順守」を改めて強く要請しました。
これにより、これまで半ば慣例として行われてきた
1月下旬の一般入試が、2026年度以降、見直しを迫られています。
この動きは、単なる「日程変更」の話ではありません。
特に影響を受けるのが、私立医学部一般選抜です。
1月入試の激減。
2月上旬への試験集中。
同日に複数校を受けられない現実。
これまで
「できるだけ多く受ける」
ことで合格確率を高めてきた医学部受験生にとって、
今年は受け方そのものが問われる入試になりました。
では、2026年度の私立医学部一般選抜は、
どこが厳しくなり、どこにチャンスがあるのか。
そして、
「今年だからこそ狙える大学」は本当に存在するのか。
医学部受験の現場を長年見続けてきた立場から、
文部科学省の方針、入試日程の構造変化、
そして志願者心理まで含めて、
2026年度私立医学部一般選抜の全体像を丁寧に解説します。
目次
- 文部科学省が求めた「ルール順守」とは何か
- なぜ今、文科省は「本気」で是正に動いたのか
- 私立大学現場の混乱と戸惑い
- この影響を最も強く受けるのは「私立医学部受験生」
- 2026年度私立医学部一般選抜の現実
- 最大の変化 「1月試験の激減」と2月集中
- 「どこを受けるか」が結果を左右する
- 本当の狙い目 東海大学医学部
- なぜ「杏林・北里との重複が重要なのか
- まとめ 2026年度は「戦略の差」が合否を分ける
1.文部科学省が求めた「ルール順守」とは何か
2025年1月25日付の読売新聞は、次のように報じています。
文部科学省が昨年末に大学入試日程の規定順守を要請し、
1月下旬から一般入試を行う私立大が2026年度以降の対応を迫られている。
ここで言う「規定」とは、大学入学者選抜実施要項のことです。
大学入学者選抜実施要項とは
この要項は、
- 大学関係団体
- 高校関係団体
などで構成される協議会が毎年策定し、
文部科学省が全国の国公私立大学に通知するものです。
その中で、学力試験(筆記試験)については、
期日は2月1日以降とする
と明確に定められています。
にもかかわらず、実際には多くの私立大学、特に関西圏を中心に、
1月下旬から一般入試を実施してきました。
私立医学部の一般選抜も1月下旬から行われてきました。
2.なぜ今、文科省は「本気」で是正に動いたのか
今回、文部科学省が強く順守を求めた直接の理由は、
実は「1月一般入試」そのものではありません。
問題視されたのは、年内入試です。
年内入試の変質
本来、
- 学校推薦型選抜
- 総合型選抜
は、面接や書類審査を中心とした選抜方式です。
ところが近年、
- 筆記試験のみ
- 実質的に一般入試と変わらない
ケースが目立つようになりました。
この「なし崩し的な学力選抜」に対し、
文部科学省は強い危機感を持ったのです。
その結果、
- 年内入試の是正
- 1月下旬一般入試の是正
がセットで求められる形となりました。
そしてその余波が、
私立医学部を含む1月一般入試全体に及んだ、というわけです。
3.私立大学現場の混乱と戸惑い
読売新聞の記事では、大学側の困惑も伝えられています。
例えば、
- 龍谷大学
- 北海道から沖縄まで29会場で1月末に一般入試を実施
- すでに会場確保済み
- 「善後策を考えたい」とコメント
- 京都産業大学
- オープンキャンパス来場者の半数が高校2年生以下
- 「受験生の混乱を招きかねない」と懸念
つまり、
- 日程変更は簡単ではない
- しかし従来通りも難しい
という、板挟みの状況にあることが伺えます。
4.この影響を最も強く受けるのは「私立医学部受験生」
高校現場からは、より切実な声が上がっています。
大阪の進学校・開明高校の教頭は、
「私立医学部を目指す生徒は、1月下旬から10校以上受けることもある。
日程が集中すると負担が大きい」
と語っています。
まさにその通りです。
私立医学部受験では、
- 1月下旬〜2月中旬
- 10校以上の一次試験を受験
する受験生も珍しくありません。
この「数を打つ」戦略が、
医学部合格の確率を高めてきたのです。
しかし、日程が2月上旬に集中すれば、
- 同日に複数校を受けられない
- 出願校を絞らざるを得ない
という事態が起こります。
5.2026年度 私立医学部一般選抜の現実
この流れの中で始まったのが、
2026年度私立医学部一般選抜です。
愛知医科大学
- 募集:約70名
- 志願者:2,254名
- 前年比:+75名(3.4%増)
近畿大学医学部
- 募集:55名
- 志願者:1,791名
- 前年比:+222名(14.1%増)
愛知医科大学は、
- 昨年も今年も
- 一次試験が単独かつ最初
という特徴があります。
昨年と同じ、この条件で志願者が増えている点は重要です。
2026年度の私立医学部一般は、全体として志願者増の可能性が高い
と見るのが妥当でしょう。
なお、近畿大学医学部一般前期1次試験は昨年、川崎医科大学と同日でしたが今年は近畿大学医学部単独の日程になりましたので、志願者増は当然です。
6.最大の変化 ―「1月試験の激減」と2月集中
昨年(2025年度)は、
- 1月に
- 14校・19回
の一次試験が行われました。
- 14校・19回
しかし今年(2026年度)は、1月の1次試験は
- 9校・11回
に激減しています。
5校・8回分の試験が、
1月から2月へ移動した結果、
2月1日〜4日の4日間
- 13校
- 15回の一次試験
が集中しました。
この4日間は、
今年の私立医学部一般選抜の最大の山場です。
7.「どこを受けるか」が結果を左右する
これまでの私立医学部受験は、
- 学力
- 相性
- 併願数
が合否を左右してきました。
しかし2026年度は違います。
「日程」そのものが最大の戦略要素
になっています。
8.本当の狙い目 ― 東海大学医学部
以前、YouTubeで
「狙い目は金沢医科大学」と話しました。
金沢医科大学が今年の狙い目であることは間違いありません。
しかし実は、もう1校あります。
メルオン生限定での狙い目でしたので、これまでお伝えして来ませんでした。
それが、東海大学医学部です。
去年との違い
【2025年度】
- 1日目:福岡大学
- 2日目:順天堂大学
→ 重複は各日1校のみ
【2026年度】
- 1日目:
- 杏林
- 福岡
- 日本医科
- 2日目:
- 順天堂
- 北里
- 金沢医科
1日3校重複という厳しい日程です。
しかし、4校の1次試験日が重なったということ以上に、重要なのが
「杏林大学、北里大学と1次試験が重なった」、ということです。
9.なぜ「杏林・北里」との重複が重要なのか
私立医学部では、
- 入学手続きをした後
- 他大学に合格し、入学を辞退する
ケースが少なくありません。
東海大学で辞退者が出た場合、
進学先として多いのが、
- 杏林大学医学部
- 北里大学医学部
です。
これは想像で言っているわけではなく、東海大学医学部との話の中で確認している話です。
杏林大学医学部、北里大学医学部の他に聖マリアンナ医科大学にも負けることが多い、と聞きました。
偏差値的には聖マリアンナ医科大学より東海大学医学部の方が上なのですが、キャンパスの立地と言う点で聖マリアンナ医科大学を選ぶ受験生が多い、とのことです。
つまり、杏林大学医学部、北里大学医学部この2校は
東海大学の直接的ライバル校なのです。
そのライバル校と一次試験が重なれば、
- 東海を受けない
- 杏林・北里を優先する
受験生が増えます。
結果として東海大学の志願者は減少する可能性が非常に高い
これは、極めて重要な戦略的ポイントです。
東海大学から間もなく確定志願数が発表されるはずですので、発表され次第このブログでお伝え致します。
10.まとめ ― 2026年度は「戦略の差」が合否を分ける
文部科学省の方針転換により、
- 私立医学部一般選抜は
- 量から質、そして戦略へ
大きく舵を切りました。
これからの医学部受験では、
- 情報を正しく読み
- 日程を分析し
- 出願を最適化する
ことが、これまで以上に重要になります。
2026年度私立医学部一般選抜は、
「考え抜いた受験生」が勝つ入試です。
このことをあまり深く考えていない受験生や保護者が多いように思います。
私の大いなる反省ですが、メルオンの生徒・保護者の方にも「私立医学部一般選抜の受験校の相談をして下さい」とお伝えしたのですが、相談を頂けなかった方もいました。
もっと、こちらからアピールすべきだったと反省しています。
私立医学部一般選抜は、「どこを受けるか」が合否に直接的に大きく影響します。
これまで「迷ったら出す」ということをお伝えしてきました。
受験票があって受けなくても問題ありませんが、受験票が無ければ受けることが出来ません。
その言葉を信じて、同じ試験日の複数校に出願して「出しておいてよかった」という人もいます。
私立医学部一般選抜前期でも、まだ間に合う大学があります。
この変化を、ぜひチャンスとして活かしてください。

