医学部入試

私立医学部共通テスト利用入試ボーダーライン 河合塾、駿台・ベネッセのデータから見える“私立医学部の本当の厳しさ”

2026年度入試に向けて、河合塾と駿台・ベネッセから私立医学部・共通テスト利用入試のボーダーラインが発表されました。
共通テスト利用入試は「私立医学部でも共通テストで勝負できる」と考えがちですが、実際の数字を見ると、その難易度は国公立医学部と比較しても決して甘いものではないことが、改めて浮き彫りになります。

今回のブログでは、河合塾や駿台・ベネッセが公表したボーダーラインの意味を正確に整理したうえで、

  • 大学ごとのボーダーの特徴
  • 得点率と実得点の“落とし穴”
  • 国公立医学部との比較
  • 共通テスト利用入試で注意すべきポイント

を、医学部受験のプロの立場から詳しく・丁寧に解説します。

最後に河合塾と駿台・ベネッセの私立医学部共通テスト利用入試ボーダーラインとA,B,C,Dの判定ごとの得点一覧も掲載しています。

目次

私立医学部共通テスト利用入試ボーダーライン【2026年度】

1.私立医学部の「ボーダーライン」の正しい理解が最優先

2.2026年度 私立医学部 共通テスト利用入試 ボーダー一覧

3.最もボーダーが高いのは「順天堂」と「帝京」の88%

4.「82%が最低ライン」でも、国公立医学部より高い?

5.なぜ私立医学部の共通テスト利用はここまで厳しいのか

6.医学部受験生が取るべき現実的なスタンス

7.まとめ:私立医学部共通テスト利用は「覚悟のいる入試」

 

私立医学部「ボーダーライン」の正しい理解が最優先

まず大前提として、河合塾と駿台・ベネッセが公表しているボーダーラインは、共通テスト得点のみを基準にした合格可能性判定です。

河合塾(バンザイシステム)の判定の意味は以下の通りです。

  • A判定:合格可能性80%以上
  • B判定:合格可能性65%
  • C判定:合格可能性50%
  • D判定:合格可能性35%

一方、駿台予備学校とベネッセが共同して運用するデータネットの判定の意味は下記のとおりです。

  • A判定:合格可能性80%
  • B判定:合格可能性60%
  • C判定:合格可能性40%
  • D判定:合格可能性20%

河合塾と駿台・ベネッセでは私立医学部共通テスト利用入試の判定の意味が異なっていることに注意してださい。
同じ意味と考えていいのはA判定だけです。

得点率を見ると河合塾は小数点無の数値ですが、駿台・ベネッセのデータネットでは小数点1位までとなっています。

一般に「ボーダー」と呼ばれているのは、C判定(合格可能性50%または40%)のラインです。
ただし、ここで非常に重要な注意点があります。

私立医学部の多くは「2次試験あり」

共通テスト利用入試といっても、

  • 小論文
  • 面接
  • 大学独自試験(英語など)

といった2次試験が課される大学がほとんどです。
したがって、河合塾や駿台・ベネッセの「私立医学部共通テスト利用入試のボーダー」はあくまで

「共通テストの得点だけを見た場合の合格可能性」

であり、最終合否を保証する数字ではないことを、必ず理解しておく必要があります。

2026年度 私立医学部 共通テスト利用入試 ボーダー一覧

今回、河合塾から発表された主な大学のボーダー(C判定)は以下の通りです。

(※以下はC判定=合格可能性50%ライン)

  • 東北医科薬科大学:83%(580点)
  • 国際医療福祉大学:85%(753点)
  • 埼玉医科大学:82%(444点)
  • 聖マリアンナ医科大学:82%(573点)
  • 北里大学(後期):82%(403点)
  • 杏林大学:82%(484点)
  • 順天堂大学:88%(780点)
  • 帝京大学:88%(260点)
  • 東京医科大学:84%(744点)
  • 日本医科大学:85%(167点)
  • 藤田医科大学:85%(628点)
  • 関西医科大学:87%(685点)
  • 近畿大学医学部(前期):83%(415点)
  • 産業医科大学:83%(240点)
  • 福岡大学:82%(565点)

こうして並べると、私立医学部の共通テスト利用は、軒並み得点率80%超えであることが一目で分かります。

 

最もボーダーが高いのは「順天堂」と「帝京」の88%

2026年度入試で、河合塾が最も高いボーダー得点率を示したのは
順天堂大学医学部と帝京大学医学部(いずれも88%)です。

駿台・ベネッセが私立医学部共通テスト利用入試のC判定で最も高い得点率を示したのは、やはり順天堂大学医学部(88.9%)と帝京大学医学部(88.3%)でいずれも88%台となっています。

ただし、ここで多くの受験生・保護者が混乱するポイントがあります。

得点率が同じでも「実得点」は大きく違う

河合塾のデータで「得点率」ではなく「得点」を見ると

  • 順天堂大学:C判定 780点
  • 帝京大学:C判定 260点

この差は、「難易度の差」ではありません。
合否判定に使用される科目・満点が異なるためです。

順天堂大学は

  • 英語・数学・理科・国語・地歴公民の7科目で900点満点
  • 使用科目数が多く、満点も大きい

一方、帝京大学は

  • 使用科目が3科目で300点満点
  • 満点が低く設定されている

その結果、同じ88%でも必要な実得点はまったく違うのです。

志望校ごとに「どの科目が」「何点満点で」使われるのかを確認することは必須です。
これを怠ると、戦略が完全にズレます。

「82%が最低ライン」でも、国公立医学部より高い?

河合塾の今回のデータでは、最も低いボーダーでも杏林大学医学部や聖マリアンナ医科大学、埼玉医科大学、福岡大学医学部の得点率82%です。
一見すると「思ったより低い」と感じるかもしれません。

しかし、ここで国公立医学部の共通テストボーダーと比較してみましょう。

国公立医学部の例(河合塾)

  • 旭川医科大学:78%
  • 福島県立医科大学:78%
  • 福井大学:79%

国公立医学部では、80%を切る大学も実在します。

つまり、

共通テストの得点率だけを見ると、
私立医学部共通テスト利用入試の方が
国公立医学部より厳しいケースが多い

というのが、数字から読み取れる事実です。

ただ、合否判定に使用する科目が違うことも忘れないで下さい。

なぜ私立医学部の共通テスト利用はここまで厳しいのか

理由は大きく3つあります。

募集人数が極端に少ない

例えば関西医科大学と近畿大学医学部の共通テスト利用入試の募集人員は2名です。

前期では東北医科薬科大学医学部と近畿大学医学部が5名と、多くの大学で共通テスト利用の募集人数は数名~多くても10名程度です。

上位層が安全校として出願する

国公立医学部志望の上位層が

  • 「共通テストを利用しての併願」
  • 「押さえ」

として出願するため、得点分布が異常に高くなる傾向があり、ボーダーライン得点率が80%を超えます。

③ 2次試験での逆転が起こりにくい

私立医学部の共通テスト利用入試は

  • 2次試験の比重が低め
  • 共通テストの配点が大きい

そのため、共通テストで高得点を取れなければ挽回が難しい医学部入試です。

医学部受験生が取るべき現実的なスタンス

私立医学部の共通テスト利用入試は、

  • 「楽なルート」ではない
  • 「国公立が厳しいから代わりに受ける」入試ではない

ということを、まず正しく認識する必要があります。

共通テスト利用を狙うなら

  • 目標得点率は少なくとも80%以上
  • 志望校の使用科目・配点・2次試験内容を徹底確認
  • 一般選抜との併願を前提に戦略を組む

これが現実的な考え方です。

近畿大学医学部の共通テスト利用入試は前期、中期、後期の3回行われますが、3回とも合否判定に使われる科目が異なります。

前期では英語、数学1A、数学ⅡBCが必須で、化学、生物、物理から2科目を選択します。
満点は500点となります。

一方、共通テスト利用入試後期では英語必須、数学1A、化学、生物、物理、国語(現代文)の中から2科目を選び、300点満点での合否判定になります。

以前、数学と理科の理系科目は非常に厳しい状況だった生徒が近畿大学医学部の後期で英語、生物、国語を選択して定員2名の医学部入試で合格しました。

まさに、「私立医学部受験は情報戦」の最たるものです。

私立医学部共通テスト利用入試ボーダーライン

河合塾(バンザイシステム) 2026年度

  • A判定:合格可能性80%以上
  • B判定:合格可能性65%
  • C判定:合格可能性50%
  • D判定:合格可能性35%

 

駿台・ベネッセ(データネット) 2026年度

  • A判定:合格可能性80%
  • B判定:合格可能性60%
  • C判定:合格可能性40%
  • D判定:合格可能性20%

 

ボーダー(C判定)の数値は得点率、判定の数値は得点

表の上段が河合塾の数値、下段が駿台・ベネッセの数値

 

大学 ボーダー A判定 B判定 C判定 D判定
東北医科薬科 83% 618 599 580 561
  78.2% 615 586 555 525
国際医療福祉 85% 801 777 753 729
  86.1% 845 810 775 740
埼玉医科 82% 473 458 444 429
  80.0% 480 460 440 420
聖マリアンナ 82% 618 594 573 554
  78.2% 615 585 555 525
北里(後期) 82% 430 417 403 390
  82.0% 450 430 410 390
杏林 82% 516 500 484 468
  82.5% 545 520 495 470
順天堂 88% 828 804 780 756
  88.9% 870 835 800 765
帝京 88% 276 268 260 252
  88.3% 285 275 265 255
東京医科 84% 792 768 744 720
  82.8% 815 780 745 710
東海 83% 522 506 490 474
  78.3% 520 495 470 445
日本医科 85% 180 173 167 160
  86.0% 188 180 172 164
愛知医科 83% 602 588 569 546
  78.6% 610 580 550 520
藤田医科 85% 668 648 628 608
  82.7% 680 650 620 590
大阪医科薬科 85% 637 609 590 581
  85.0% 655 625 595 565
関西医科 87% 728 707 685 664
  84.4% 735 705 657 645
近畿(前) 83% 435 422 408 395
  83.0% 455 435 415 395
近畿(中) 84% 348 340 329 316
  86.3% 375 360 345 330
産業医科 83% 258 252 240 222
  83.3% 270 260 250 240
福岡 82% 602 583 565 546
  83.6% 645 615 585 555

 

これを見ると河合塾と駿台・ベネッセではかなり違いがあることが分かります。
B判定、C判定、D判定は河合塾と駿台・ベネッセで意味合いが違いますので、数値が違って当然ですが、同じ合格可能性80%のA判定でも違いがあります。

 

ザックリ言うと「河合塾より駿台・ベネッセの方が高い」です。

東北医科薬科大学医学部、聖マリアンナ医科大学、東海大学医学部を除く15大学のA判定は駿台・ベネッセのデータネットの数値の方が高くなっています。

 

「どちらの方が正しいのか」は、入試結果が出ないと分かりません。
受験生としてはこれらの数値は、あくまで「目安」と考えて下さい。

そして、2次試験の準備を忘れずに進めてください。

 

まとめ:私立医学部共通テスト利用は「覚悟のいる入試」

2026年度の河合塾データ、駿台・ベネッセデータから見えてくるのは、
私立医学部共通テスト利用入試は、想像以上にハードルが高いという事実です。

  • ボーダーは80%超が当たり前
  • 上位校では88%
  • 国公立医学部より厳しいケースも多い

それでも、この入試方式が

  • 共通テストで強みを発揮できる受験生
  • 国公立志望で併願戦略を組む受験生

にとって、大きなチャンスになるのも事実です。

数字を正しく理解し、
「なんとなく」ではなく
戦略的に使うこと――
それが、私立医学部共通テスト利用入試で成功するための最大のポイントです。