― アドミッションポリシーから読み解く合格戦略 ―
東京慈恵会医科大学は、学力だけでは合格できない医学部として知られています。
その理由は、大学が掲げる教育理念とアドミッションポリシーを見ればはっきり分かります。
今回のブログでは、
・一次試験の現実的な戦略
・二次試験の本質
・そして大学が求めている人物像
を結びつけながら、「東京慈恵会医科大学に本当に合格するための準備」を医学部受験のプロの視点で詳しく丁寧に解説します。
目次
- 学科教育理念と建学の精神
- アドミッションポリシー(入学者受入れの方針)全文
- 入学までに身につけておくべき力
- 入試は「学力の3要素」で評価される
- 1次試験(学力試験)の全体像
- 学力試験は「5割」を目標にする
- 昨年の入試結果から見る現実
- 2次試験の配点と評価
- 面接は6回のMMI形式
- 小論文の特徴
- 慈恵合格に必要な3つの力
- 2次試験対策は独学では難しい
- メルオンの慈恵2次試験対策
- 最後に
- 追記
- 学科教育理念と建学の精神
東京慈恵会医科大学を理解するうえでまず重要なのは、入試問題の難易度ではなく、大学がどのような医師を育てたいと考えているかです。
慈恵の学科教育理念は、次の言葉に集約されています。
「医学は学と術と道より成る」
これは、
- 学=知識
- 術=医療技術
- 道=人としての在り方・倫理観
を意味しています。
単なる知識や技術だけではなく、人間としての在り方まで含めて医学であるという考え方です。
さらに建学の精神として最も有名な言葉が、
「病気を診ずして病人を診よ」
です。
これは、
- 病気だけを診る医師ではなく
- 患者の背景や人生に目を向け
- 心まで理解できる医師を育てる
という強い理念を表しています。
慈恵の入試は、この理念を体現できる人材を選抜するために設計されています。
つまり、一次試験、面接、小論文はすべてこの考え方と直結しています。
- アドミッションポリシー(入学者受入れの方針)全文
建学の精神および医学科教育理念に基づき、医学科アドミッションポリシーは次のように定められています。
◆ 求める学生像
カリキュラムポリシーに則った教育課程を通して、ディプロマポリシーに示す資質と能力を卒業時までに獲得できる学生として、次のような力を日々の多様な学習と経験の中から主体的に身に付けてきた人の入学を求めます。
1)自らを省察して、多様な人の情緒を察する想像力
2)文化や個性の違いを超えて対話し、協調し合う力
3)汎用的な数理・論理的思考力・表現力、問題解決能力
4)倫理性を希求して判断する力
慈恵が求めているのは、単に成績が良い学生ではありません。
共感力、協調性、思考力、倫理観を主体的に育ててきた学生を求めています。
- 入学までに身につけておくべき力
東京慈恵会医科大学の入試要項には、このように書かれています。
高等学校段階までの学習内容は、医学を学ぶ基盤となるだけでなく、人類の社会・文化・文明についての幅広い素養として重要とされています。
特に次の力を磨いておくことが求められています。
- 抽象化して考え抜いたことを論理的に表現する力
- 自然科学の考え方を用いて新たな問題に主体的に取り組み解決する力
- 英語を使って他者を理解し、自らの考えを伝える力
これは暗記中心の勉強ではなく、理解し、考え、表現する学力が求められていることを意味しています。
- 入試は「学力の3要素」で評価される
慈恵の入試では、次の3つの力を多面的・総合的に評価します。
① 知識・技能
② 思考力・判断力・表現力
③ 主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度
そして、それぞれを次の方法で評価しています。
- 学力検査(一次試験)
- 理科・数学:数理・論理的思考力、問題解決能力、主体的姿勢
- 英語:異文化理解、英語でのコミュニケーション能力
(学力の3要素の主に①と②を評価)
- 面接・小論文(二次試験)
- 他者理解力
- 論理的に伝える力
- 自己省察力
- 判断力
(主に②と③を評価)
- 調査書等評価(二次試験)
- 学びへの姿勢
- 継続的努力
(主に③を評価)
- 1次試験(学力試験)の全体像
■ 英語
・60分
・長文問題3題
・100点
■ 数学
・90分
・大問4つ
・100点
■ 理科
・2科目
・120分(1科目60分相当)
・200点
英語・数学・理科は実質的に同等の重みです。
どの科目も問題は決して簡単ではありません。
- 学力試験は「5割」を目標にする
慈恵の学力試験は難度が高く、満点や高得点を狙う試験ではありません。
得点率50%を目標にすることが現実的な戦略です。
6割、7割を狙うと、
- 解けない問題に固執する
- 焦りが出る
- 気持ちが折れる
ということが起きやすくなります。
一方で5割を目標にすると、
- 確実に取れる問題に集中できる
- 精神的に安定する
- 上積みできた時に前向きになれる
試験は精神戦です。
「半分取ればいい」という意識が、結果的に得点を伸ばします。
- 昨年の入試結果から見る現実
東京慈恵会医科大学一般選抜 2025年度の結果は以下のとおりです。
・志願者:1895人
・一次合格:496人
・二次正規合格:160人
・補欠:198人
・繰り上げ合格:67人
一次合格者のうち、最終合格に至ったのは45.8%です。
つまり、一次を突破しても半数以上が最終合格に届きません。
ここから分かるのは、「慈恵で合格」するための二次試験の重要性です。
慈恵の1次試験合格者は受験勉強でかなり頑張ったでしょう。
しかし、東京慈恵会医科大学医学部医学科に合格するためには学力だけでは足りません。
- 2次試験の配点と評価
・東京慈恵会医科大学一般選抜の2次試験は下記のとおりです。
・面接:30点
・小論文:25点
・調査書等:25点
合計80点
ここから分かるように、慈恵は人物評価を非常に重視しています。
調査書等25点とあり受験生の皆さんは「どう評価されるのか?」と不安に思うかもしれません。
調査書については、どの高校でも生徒を褒めるような記載ばかりになりがちです。
欠席日数などに大きな問題がなければ、極端な差はつきにくいと考えられます。
高校間の格差があるため、評定平均を強く比較しにくいという面もあります。
例えば、東大や京大に多くの合格者を出している進学校の評定平均3.5と大学進学者がほとんどいないような高校の評定平均4.8を比較するのは現実的ではないからです。
- 慈恵の面接は6回のMMI形式
東京慈恵会医科大学の面接は、医学部の面接で多い「個人面接」ではありません。
慈恵の面接はMMI(Multiple Mini Interview)形式です。
・6つの異なるテーマ
・1テーマ7分
・評価者と1対1
・移動時間含め約60分
大学は以下のように説明しています。
この面接はテクニックを問うものではありません。
受験生の能力を多面的に評価するために、全く異なる複数の課題を用いて行います。
評価される力は次の通りです。
・自分の考えを表現する力
・社会における自分の役割を考える力
・知識を基に状況を理解する力
・適切な行動を判断する力
・論理的思考力
としています。
つまり、深い思考力を求められるMMIなのです。
この面接はテクニックを問うものではなく、多面的な能力を評価するために行われます。
個人面接で聞かれる質問は、「医学部志望理由」、「大学志望理由」、「目指す医師像」など、同じような質問が多くなります。
「都市部在住で、医学部専門予備校などで医学部の個人面接対策をしっかりやった受験生と、地方在住で十分な面接対策を受けることが出来ない受験生を同じように評価していいのか」という疑問を慈恵は抱き、「準備できない面接」、「その場で考える面接」として、MMIの導入に至りました。
評価されるのは、
- 自分の考えを表現する力
- 社会における役割を考える力
- 状況理解力
- 適切な判断力
- 論理的思考力
アドミッションポリシーにある人物像を、そのまま測る面接です。
- 慈恵の小論文の特徴
東京慈恵会医科大学の小論文も非常に特徴的です。
大学は次のように発表しています。
小論文では、
・自分で物事を考える力
・考えを他者に分かりやすく伝える力
・知識を基に状況を理解し判断する力
を評価します。
重要なポイントはここで、下記も書かれています。
受験テクニックの試験ではありません。
国語力の試験でもありません。
東京慈恵会医科大学の小論文は課題文を与えられ、要約した後に1200字以上の小論文を書きます。
小論文では、
- 物事を自分で考える力
- 分かりやすく伝える力
- 知識を基に状況を理解し判断する力
が評価されます。
文字数:1200~1800字
時間:60~90分
東京慈恵会医科大学の教員は学生のレポートなどの文章力が十分でないと危惧を抱き、「学力、人間性に加え、しっかりした文章を書ける受験生を入学させたい」、と言うことから1200字という他の医学部では見られない長文を書かせます。
小論文の過去問は公表されていません。
準備した知識を書く試験ではなく、自分自身を表現する試験です。
- 慈恵合格に必要な3つの力
① 学力(5割戦略)
② 思考力(MMI・小論文)
③ 人間力(共感力・倫理観)
これは大学が求めている学生像そのものです。
- 2次試験対策は独学では難しい
東京慈恵会医科大学入試で特に難しいのは、
- MMI対策
- 小論文対策
です。
これらは通常の受験勉強では身につきません。
しかし、慈恵合格のためには学力に加え、小論文と面接の対策も欠かせません。
ここが最後の決め手となります。
- メルオンの慈恵2次試験対策
メルオンでは慈恵の二次試験対策を無料で行っています。
■ 小論文
・練習問題2題とそれぞれの模範文例を提供
・時間の使い方など、「慈恵の小論文」に慣れて下さい。
■ MMI
・オンラインで無料対策
オンラインでのご指導になりますので、全国どこにいても「慈恵のMMI対策」が出来ます。
小論文をお申込みされた方は、MMI対策も無料で受けることができます。
「慈恵の小論文希望」とご記入の上、お申込み下さい。
お申込みは、こちら
- 最後に
東京慈恵会医科大学の入試は、
- 理念
- 教育方針
- 入試内容
が完全に一致しています。
つまり、
大学が求める人物像に近づくことが最大の対策
です。
学力だけでなく、
- 人を理解する力
- 自分を語る力
- 深く考える力
これらを育てることが、合格への最短ルートになります。
15.追記フォームの始まり
私立医学部の中で最難関は慶應義塾大学医学部という認識は広く浸透しています。
偏差値やブランド力などを考えれば、その評価自体は妥当でしょう。
しかし入試の実情を細かく見ていくと、東京慈恵会医科大学も難易度の面でほぼ同水準にあり、決して「慶應より一段下」と単純に言えるものではありません。
医学部入試の難しさは偏差値だけでは測れず、募集人数や受験者層、選抜方法、二次試験の比重などを総合的に見て判断する必要があります。
例えば一般選抜の募集人数は、慶應が66名、慈恵が105名と差があります。慶應は定員110名のうち約4割が附属校からの推薦入学で占められており、一般入試の枠は少なくなっています。
一見すると、募集人数が多い慈恵の方が入りやすいように見えますが、実際には両校を併願する上位層の受験生はほぼ同じです。
つまり、同じ母集団の中で上位に入る競争という点では、66位以内でも105位以内でも求められる学力の水準は大きく変わらず、ボーダー付近の難しさはほぼ同等と考えられます。
さらに入試制度の違いも特徴的です。
慶應は附属校からの推薦枠が一定数ありますが、慈恵は推薦やAO入試、共通テスト利用などを設けず、一般選抜のみで学生を選抜しています。
この姿勢は現在の私立医学部の中では珍しく、実力一本で評価する方針が強く打ち出されています。
本来、入試方式を細分化したり募集枠を分けたりすれば、見かけ上の偏差値は上げやすくなります。
実際に複数方式を採用している大学も多く、順天堂大学や日本医科大学は複数の入試制度を設けています。
そうした中で、慈恵が一般選抜中心の形を維持しているのは、大学としての方針や考え方が表れている部分だといえるでしょう。
フォームの終わり

