医学部入試

東大・京大でも落ちる」医師国家試験の残酷な真実。偏差値で医学部を選ぶのはもうやめよう

医学部合格は、長い医師人生における「通過点」に過ぎません。

しかし、その通過点がその後のキャリアを大きく左右することも事実です。

2026年3月16日、厚生労働省より発表された「第120回医師国家試験」の結果は、従来の偏差値至上主義に一石を投じる内容となりました。

今回のブログでは、最新の医師国家試験の全大学データを網羅し、受験生と保護者が「本当に見るべき数字」を徹底解説します。

目次

  1. 【全体概況】 第120回医師国家試験のトレンドと「合格率91.6%」の意味
  2. 【残酷な真実】 東大・京大でも避けられない「既卒(浪人)」の地獄
  3. 【大学選びのパラダイムシフト】 医師免許取得が目的なら「どの大学でも良い」理由
  4. 【データ深掘り】 設置主体別(国立・公立・私立)全大学合格率一覧
  5. 【保護者へのアドバイス】 表面上の合格率に隠された「留年率」という罠
  6. 【まとめ】 6年後の自分を救うための「逆算型」志望校選定
  1. 【全体概況】第120回医師国家試験のトレンド

今回の試験は、受験者数9,980人、合格者数9,139人、全体合格率は91.6%となりました。

過去数年の傾向通り、9割以上の医学生が合格する「落とすための試験ではなく、確認のための試験」としての性質を維持しています。

しかし、その内訳を見ると、決して楽観視できない構造が浮かび上がります。

  • 新卒合格率:94.7%(100人中約95人が合格)
  • 既卒合格率:54.6%(100人中約55人しか合格できない)

この「40ポイント近い格差」こそが、医学部教育における最大の急所です。

  1. 【残酷な真実】東大・京大でも避けられない「既卒」の地獄

「日本一の頭脳があれば、国試浪人となっても自力で受かるはず」という考えは、医師国家試験では通用しません。

今回の合格率のデータは、その厳しさを明確に示しています。

  • 東京大学: 新卒 99.0% / 既卒 66.7%
  • 京都大学: 新卒 100.0% / 既卒 60.0%

新卒時にほぼ完璧な合格率を誇る東大・京大であっても、一度「既卒(浪人)」の枠に回ると、合格率は6割程度まで急落します。

これは、医師国家試験が「個人の知能」以上に、「医師になる」という気持があるか無いか、が結果を左右する試験だからです。

医師への明確な目的意識が薄いまま、「日本で一番難しい」という理由で東大や京大の医学部医学科を受験する「受験オタク」と言っても良さそうな受験生が、わずかですがいます。

こういった人は医学部の勉強に真剣に取り組むことが難しいまま6年間を過ごしがちです。

その結果、国試浪人になってもなかなか結果を出せずにいることになりがちです。

以前、東大理3から医学部医学科を卒業し、医師免許を取っていない予備校の先生に「医師免許は取らないんですか?」と聞いたことがあります。

先生の答えは「そんなもの、いつでも取れるから」でした。

自分の能力には絶対の自信があるようですが、医師になる気持ちは感じられませんでした。

「9割以上の学生が受かる試験でも、意欲が十分でないと厳しい」ということを、最高学府の数字が物語っています。

  1. 【大学選びのパラダイムシフト】医師になるなら「どこでも良い」

医学部を目指す動機の多くは「医師免許を取得し、医療の現場で活躍すること」でしょう。

その目的から逆算すれば、「どの医学部に進学しても、医師になれる確率はほぼ同じ」という結論に至ります。

今回の結果でも、国立・公立・私立の区分に関わらず、ほとんどの大学で新卒合格率は90%を超えています。

「偏差値が高いから安心」「低いから不安」という考え方は、こと「医師国家試験」に関しては当てはまりません。

むしろ、偏差値が高い大学ほど「学生が優秀だから大学が手助けをする必要は無いだろう」と放任主義な場合もあり、逆に偏差値が控えめな私立大学の方が、驚くほど手厚い「国家試験対策プログラム」を組んでいるケースが多いのです。

「医師免許」というライセンスに、出身大学の名前は印字されません。

どこで学んでも、手にする免許の価値は同一です。

クリニックや病院で医師に「先生はどの大学の出身ですか?」とは聞かないでしょう。

医師は、実際の医療の中で評価されます。

  1. 【データ深掘り】第120回医師国家試験 全大学合格率一覧

(※厚生労働省「第120回医師国家試験 学校別合格者状況」に基づく全リスト)

【国立大学】安定の合格率と既卒の課題

国立大学は研究医育成を掲げるため、試験対策を学生の自主性に任せる傾向があります。

大学名 総数 合格率 新卒 合格率 既卒 合格率
北海道大学 98.3% 100.0% 75.0%
旭川医科大学 93.4% 97.6% 42.9%
弘前大学 94.4% 99.1% 45.5%
東北大学 92.5% 94.7% 57.1%
秋田大学 96.8% 98.3% 66.7%
山形大学 91.1% 94.0% 50.0%
筑波大学 97.2% 97.8% 80.0%
群馬大学 95.9% 98.3% 40.0%
千葉大学 92.4% 95.6% 33.3%
東京大学 96.5% 99.0% 66.7%
東京科学大学 96.5% 97.2% 83.3%
新潟大学 92.0% 96.8% 36.4%
富山大学 89.3% 93.3% 28.6%
金沢大学 89.5% 92.4% 20.0%
福井大学 96.4% 98.1% 0.0%
山梨大学 93.4% 96.0% 66.7%
信州大学 95.5% 98.1% 66.7%
岐阜大学 93.7% 96.7% 40.0%
浜松医科大学 95.8% 96.6% 66.7%
名古屋大学 92.6% 95.6% 42.9%
三重大学 94.7% 96.1% 33.3%
滋賀医科大学 94.8% 98.1% 42.9%
京都大学 95.8% 100.0% 58.3%
大阪大学 95.8% 96.5% 83.3%
神戸大学 91.2% 93.8% 50.0%
鳥取大学 95.9% 97.0% 71.4%
島根大学 87.6% 91.4% 41.7%
岡山大学 95.5% 95.9% 80.0%
広島大学 95.0% 95.8% 75.0%
山口大学 89.2% 94.9% 50.0%
徳島大学 91.2% 92.5% 71.4%
香川大学 87.2% 90.9% 54.5%
愛媛大学 91.7% 97.4% 30.0%
高知大学 90.4% 96.6% 36.4%
九州大学 90.9% 94.5% 33.3%
佐賀大学 88.0% 91.5% 40.0%
長崎大学 95.0% 97.3% 42.9%
熊本大学 90.4% 95.4% 27.3%
大分大学 89.1% 94.1% 40.0%
宮崎大学 91.2% 92.5% 75.0%
鹿児島大学 88.0% 91.3% 40.0%
琉球大学 84.1% 93.7% 23.8%

【公立大学】高い合格水準と地域性

公立大学は非常に安定した結果を残しており、新卒合格率は軒並み高水準です。

大学名 総数 合格率 新卒 合格率 既卒 合格率
札幌医科大学 94.6% 97.1% 60.0%
福島県立医科大学 92.2% 93.4% 66.7%
横浜市立大学 92.4% 93.4% 66.7%
名古屋市立大学 95.8% 96.7% 80.0%
京都府立医科大学 91.8% 96.0% 44.4%
大阪公立大学 94.9% 98.9% 33.3%
奈良県立医科大学 92.9% 94.2% 66.7%
和歌山県立医科大学 96.1% 96.0% 100.0%

【私立大学】「既卒合格率」に見る面倒見の良さ

私立大学は「良き臨床医の養成」を医学教育の根幹に置く大学が多く、既卒者のサポート体制も国立に勝る場合があります。

大学名 総数 合格率 新卒 合格率 既卒 合格率
岩手医科大学 87.3% 91.5% 63.6%
自治医科大学 100.0% 100.0% 100.0%
獨協医科大学 82.2% 85.9% 59.1%
埼玉医科大学 86.8% 89.7% 71.4%
国際医療福祉大学 98.4% 99.2% 83.3%
獨協医科大学 82.2% 85.9% 59.1%
北里大学 91.9% 95.7% 56.3%
杏林大学 92.3% 96.4% 58.3%
慶應義塾大学 97.3% 98.1% 80.0%
順天堂大学 98.5% 99.2% 83.3%
昭和大学 93.7% 95.9% 66.7%
帝京大学 92.5% 95.1% 60.0%
東京医科大学 95.1% 97.5% 75.0%
東京慈恵会医科大学 95.6% 96.1% 85.7%
東京女子医科大学 91.6% 96.1% 33.3%
日本大学 84.7% 90.7% 40.9%
日本医科大学 94.8% 96.4% 71.4%
聖マリアンナ医科大学 91.8% 92.4% 85.7%
東海大学 89.2% 92.3% 64.7%
金沢医科大学 80.7% 88.5% 52.0%
愛知医科大学 91.9% 95.2% 56.3%
藤田医科大学 92.3% 94.4% 50.0%
大阪医科薬科大学 94.7% 96.1% 75.0%
関西医科大学 91.9% 95.5% 46.2%
近畿大学 88.7% 91.4% 50.0%
兵庫医科大学 90.1% 93.3% 53.3%
川崎医科大学 86.6% 94.4% 52.4%
久留米大学 90.5% 95.9% 47.4%
産業医科大学 96.2% 98.0% 33.3%
福岡大学 91.1% 95.2% 50.0%
東邦大学 90.0% 93.1% 63.6%

【その他】

  • 防衛医科大学校: 総数 87.8% / 新卒 89.4% / 既卒 60.0%
  1. 【保護者へのアドバイス】合格率に隠された「留年率」の罠

合格率の表を見る際、最も注意すべきなのは「合格率の高さ」だけを評価することです。

自治医科大学は新卒だけでなく既卒も100%合格という素晴らしい結果を残しています。

ただ、データを詳細に見ると、新卒の出願者は119人ですが、実際の受験者は115人でした。

自治医科大学医学部医学科の6年生119人のうち4人が医師国家試験を受けていません。

これは、国家試験合格は厳しいと判断された4人は医師国家試験を「受けさせて貰えなかった」という見方もあります。

「合格できそうにない学生を卒業させない(=国試を受けさせない)」ことで、見かけ上の合格率を釣り上げることも可能と言えば、可能です。

保護者の方が真にチェックすべきは以下の3点です。

  1. 「ストレート合格率」(入学者のうち何%が6年で合格したか)
  2. 「卒業保留者数」(出願者数と実際の受験者数の差)
  3. 「低学年次からの留年者数」

こういったことは大学のサイトを詳細に見て行けば分かります。

どこを見ればいいのか分からなければ、メルオンにお尋ねください。

偏差値がそこまで高くなくても、6年間で学生を一人もこぼさずに医師に育て上げる大学こそ、教育力が高いと言えます。

  1. まとめ:6年後の自分を救うための「逆算型」志望校選定

第120回医師国家試験の結果が教えてくれたのは、「医学部受験は医師免許取得というマラソンのスタートに過ぎない」*という事実です。

  • 新卒で受かる環境: 多くの大学が90%以上の新卒合格率を維持しているため、今の学力に無理のない、環境の良い大学を選ぶことは賢明な判断です。
  • 既卒の厳しさを知る: 東大・京大でも既卒は苦戦します。浪人を前提とせず、現役で突破できるサポート体制があるかを確認しましょう。
  • どこでも医師になれる: 日本の医学教育水準は極めて高く、どの大学を卒業しても臨床現場で通用する力は身に付きます。

「どこに入学するか」に執着しすぎて受験生活を浪費するよりも、「どこに入っても、6年後に一発で合格する」という覚悟を持って、自分に最適な学び舎を見つけてください。

今回の詳細データについて、特定の大学の「受験者数」や「合格者数」など、より細かな内訳をお知りになりたい場合はいつでもお尋ねください。