医学部入試を含むすべての大学入試の試験実施解禁日は、文部科学省によって決められています。
まず10月以降実施出来るのが総合型選抜(AO入試)で、11月からは学校推薦型選抜(推薦入試)を実施することが出来ます。
私立医学部受験で最も早い医学部入試は、総合型選抜(AO入試)となります。
そして、医学部の学校推薦型選抜(推薦入試)、一般選抜前期、一般選抜後期と続きます。
医学部受験を考えるのなら、まずは総合型選抜の受験を考えてみてください。
「必ず受けた方がいい」とは言いませんが、「ここなら進学先として考えられる」という大学医学部が総合型選抜をやっていれば、受験を検討するといいでしょう。
ただ、医学部受験生の気持ちとして「総合型選抜(AO入試)で受かってしまうと第一志望校を受けられない」と考えるかもしれません。
「合格した場合は必ず入学する」という条件の付いた専願制の医学部入試であれば、その懸念も分かります。
ただ、私立医学部の総合型選抜(AO入試)には、専願制ではないものもあります。
その1つが東海大学医学部「希望の星育成」です。
東海大学医学部「希望の星育成」は募集人員10名ですが、入学辞退者を見越して昨年は、倍以上の22名を合格させています。
東海大学医学部「希望の星育成」の合格で医学部進学を確定させ、余裕を持って医学部一般選抜に臨む受験生が多いことを示しています。
この私立医学部総合型選抜を新たに帝京大学医学部が実施することになりました。
東海大学医学部「希望の星育成」と同じように専願制ではないため、学校推薦型選抜(推薦入試)や一般選抜で志望順位の高い医学部に合格した場合、帝京大学医学部の入学を辞退することが出来ます。
今年から新たに実施される帝京大学医学部総合型選抜と東海大学医学部「希望の星育成」は、どちらも1次試験では小論文(論述課題)、グループディスカッション(オブザベーション評価)、個人面接、そして2次試験で共通テスト(英語、数学、理科2科目)と非常に似た試験内容となっています。
唯一違うのが「出願資格」です。
東海大学医学部「希望の星育成」は現役生のみに出願資格が与えられていますが、帝京大学医学部総合型選抜は1浪生までに出願資格が与えられています。
先日、東海大学医学部の方とお話しさせていただいた際に、「帝京さんの総合型で現役生は受からないと思う」と話されていました。
その理由として「共通テストの点数では、現役生は浪人生に勝てない」ことを挙げていました。
東海大学医学部の「希望の星育成」は、現状の学力は医学部合格圏内には足りなくても、1浪して頑張れば医学部合格圏に入ってくる受験生を、現役のうちに「取る」ということを狙いとした医学部入試です。
私立医学部の合格者数で最も多いのは1浪生です。
2浪以降は受験生の数自体が減っていきますので、合格者数も必然的に減っていきます。
もちろん、現役生に比べれば1浪生の人数は少なくなりますが、私立医学部の合格者では、人数の少ない1浪生が現役生を上回ります。
やはり、1年余計に勉強をした受験生は「強い」と言えます。
帝京大学医学部の総合型選抜では、2次試験の共通テストの得点上位は、1浪生が占めると思われます。
また、1浪生の中には実際の医学部入試でグループディスカッションを経験している受験生もいるでしょう。
グループディスカッションでは、その経験を活かすことが出来ます。
1浪生は東海大学医学部「希望の星育成」を受けることが出来ませんので、必然的に帝京大学医学部総合型選抜に出願することになります。
学力に自信のある現役生でグループディスカッションにも自信のある受験生ならいいのですが、こういった理由から、現役生には帝京大学医学部総合型選抜を、積極的におススメはしません。
先日、帝京大学の方とお話させていただいた際に「医学部総合型選抜は初年度なので、何人が志願するか、現役生と1浪生が何人になるのか、全く読めない」と話していました。
可能性としては1浪生が非常に少ないこともあるかもしれませんが、1浪生が少ないことは考えにくいように思います。