医学部受験、歯学部受験の総合型選抜(AO入試)が明日の松本歯科大学、日本歯科大学新潟生命歯学部、明海大学歯学部の、歯学部3大学の総合型選抜でいったん区切りとなります。
この後も岩手医科大学医学部、東邦大学医学部、金沢医科大学医学部などの総合型選抜が行われますが、大きな流れとしては総合型選抜から、医学部や歯学部の学校推薦型選抜(推薦入試)に向かって行きます。
11月1日から、医学部や歯学部の学校推薦型選抜の出願が始まります。
出願が近づいて来ていますので、出願書類のチェック、添削依頼が多くなっています。
生徒たちの医学部や歯学部の学校推薦型選抜への出願書類のチェック、添削をしていると、全員の志望理由書を書き直さなければならない事態になっています。
受験生の皆さんは、志望理由書が上手く書けないようです。
東京医科大学医学部の学士選抜の出願書類にも1600字の「志望の動機」があります。
学士選抜ですから、高校生とは違ってしっかりとした「志望の動機」を書いて来るだろうと思っていましたが、予想を裏切られました。
添削依頼を受けた「志望の動機」を見て、「これじゃあ、受かる人も受からない」と感じることばかりでした。
去年の日本歯科大学生命歯学部の学校推薦型選抜は受験者72名で、合格者71名でした。
一昨年は66名受験で64名合格と、毎年ほとんどの受験者が合格しています。
日本歯科大学の方に「不合格者は、やはり筆記試験が不出来だったのですか?」とお聞きしたところ、「いや、筆記試験ではなく面接だ」ということでした。
医学部受験でも歯学部受験でも、志望理由書は「面接の材料」となります。
面接官は「志望理由書」を見ながら、受験生に質問していきます。
「志望理由書にこう書いてあるけど、もう少し詳しく説明して」といった感じです。
志望理由書が上手く書けていないと、面接が非常に苦しくなります。
多くの医学部入試、歯学部入試の入試要項に「面接の評価が低い場合は、学力試験の成績によらず不合格とする」と書かれています。
「面接で合格になる」ことは無くても、「面接で不合格になる」ことは珍しいことではありません。
そのベースとなるのが、「志望理由書」です。
「医学部の志望理由」、「歯学部の志望理由」で、「父(母)が医師(歯科医師)で、医師(歯科医師)としての父(母)が、患者から信頼されているのを見て」といった志望理由を多く見ます。
面接で面接官から「一緒に働いているわけでもない君が、患者から信頼されているとなぜ分かる?」と聞かれると、答えに窮するでしょう。
医学部志望、歯学部志望が先にあって、「志望理由はどうしよう?」となると、こうなりがちです。
「幼い頃(小学生の時)に、こういうことがあって医師(歯科医師)になりたいと思った」という話も多く見かけます。
面接官から「小学生の時から医師(歯科医師)しか考えたことがないの?普通は成長に伴って「あれもいいな」、「こっちも面白そう」と思うものだけど」と聞かれて、シドロモドロになってしまったりします。
ボランティア活動も良く書かれます。
継続的にやったボランティア活動ならいいのですが、「1回だけ」、「学校の行事で」となると、やはり面接で聞かれると答えにくいでしょう。
医学部受験、歯学部受験の志望理由書を書く際に、なにより重要なのは「何を書くことが求められているか」の確認です。
東京医科大学学士選抜の「志望の動機」は「これまでの経験を医師、研究者としての活動にどのように活かしていくかについて、1600字以内で記入してください」とあります。
「医学部志望理由」も「東京医科大学志望理由」も求められていません。
求められているのは「医者になってから、これまでの経験をどう活かすつもりか?」です。
「志望の動機」となっていますので、志望理由を書いてしまうようですが、求められているのは「経験をどう活かす?」です。
「志望理由を書いてはいけない」、ということではありませんが、求められていることを書くのが優先です。
「医学部(歯学部)志望理由」と「本学志望理由」のどちらを求められているのか、しっかり確認することも大切です。
学部と大学の、どちらの志望理由を書くのか、はっきりと示されていない時は、両方を書いてください。
東京女子医科大学の「自己評価書」のような出願書類もあります。
これも、「何を書くことが求められているのか」を、しっかり確認してください。
東京女子医科大学の自己評価書は、「特に医学を志す者として」という言葉が付いています。
当然、これを意識して書く必要があります。
医学部受験、歯学部受験の志望理由書を安易に考えないで、しっかりとした志望理由を書くようにしてください。
高校や塾の先生に見てもらうのもいいと思いますが、出来れば医学部受験、歯学部受験に詳しい人に見てもらうといいでしょう。
自称「詳しい人」もいるようですが、何度も医学部や歯学部の人と会って、どういう志望理由を求めているか、を分かっている人に見てもらうといいでしょう。
「医学部(歯学部)だから、こうだろう」での指導は、ズレる可能性があります。
「何度も会っているか」を確認するくらいでいいと思います。