埼玉県は今から10年前の1914年(平成26年)に県北や秩父などの医師が不足している地域に医師を派遣することなどを条件に、さいたま市内に800床の病院整備計画を発表、病院建設・運営者を公募しました。
この計画に順天堂大学が応募し、翌年の1915年(平成27年)に順天堂大学が2020年度(令和2年度)に医学部付属病院を開設する計画が正式に採択されました。
しかし、2020年度開院予定だった計画は大幅に遅れ、順天堂大学は2027年度開院に、開院予定を大幅に延期していました。
そして先週の金曜日、11月29日に順天堂大学の代田浩之学長が埼玉県庁を訪れ大野元裕知事に新病院開設の計画を中止することを伝えました。
順天堂大学の代田学長は、「建設費の高騰、医療機関を取り巻く状況変化があり、実現は困難になった」と述べた、とのことです。
医学部の新病院建設計画を断念する理由として挙げられている「医療機関を取り巻く状況変化」について、「新型コロナウイルスの流行による病院運営への負の影響、先進的な医薬品・診療材料の価格高騰などが原因で厳しい財政状況に直面しており、開院準備資金の確保、開院後の運営資金を捻出することが難しい事態となっている」としています。
埼玉県は、もともと人口10万人当たりの医師数が非常に少ない県ですが、首都圏でも医師不足がなかなか解消することが出来ない状況に医師不足、偏在の深刻さを感じます。