今回は歯学部卒業生に歯学部での実際の生活や学習内容について本音で話してもらいます。歯学部への入学を検討されている方やこれから歯学部に入学する方にぜひ読んでいただきたい本音トークです。
ここから先は歯学部卒業生で歯科医師免許も無事に取得した先輩が、自分で書いてくれましたので、それをそのまま掲載いたします。
まず歯学部は6年間です。入学前に6年間と聞くととても長く感じるかもしれませんが、実際に生活しているととても充実しており、短いとすら感じます。
各学年についてそれぞれ記載していこうと思います。
まず、1年生についてです。
1年生にとって最初の大きなイベントは部活の新入生歓迎会です。
ほとんどの歯学部生は部活に所属します。
部活での先輩はこれからの大学生活やテストのときに頼れる存在となるので所属することをお勧めします。
歯学部での学習は情報戦であるという側面があり、情報は多いほうが間違いなく良いです。ただし、偽の情報も一部あるので取捨選択は必要です。
履修内容としては大学によって特色もありますが多くの大学では、1年生は教養科目になります。
科目としては生物や化学、物理、数学、英語といった高校でも扱っていた科目が大半を占めます。
高校で扱った内容よりも発展した内容が多く苦手意識を持つ学生も多いのですが、最低限抑えるべき要点を抑えながら学修を進めていくことが重要です。
抑えるべき要点としては、学年が上がっていったときにも必要とされるような歯科医学の基礎となるようなところが特に重要です。
これとは別に1年生で重要なことは、勉強習慣を確立し自分にあった勉強方法を見つけておくことになります。
このことが2年生以降、大変重要になります。
次に2年生についてです。
2年生では、1年生の時とは大きく学修内容がかわり基礎医学の内容になります。
科目としては多岐に渡り、解剖学、組織学、発生学、生理学、生化学、薬理学、病理学、歯科理工学などになります。いずれも範囲が膨大にあり苦労されると思います。
しかし、これらの科目を丁寧に理解していくことで全身に生じるあらゆる現象のメカニズムを理解することができ、大きな達成感を感じる科目なのではないかと思います。
特に大変な科目として解剖学、生理学、生化学が挙げられます。
解剖学では全身について扱いますが、解剖学の中も骨、脈管、神経、内臓と細かく分かれています。
解剖学の理解の最終仕上げとしては系統解剖があります。長い時間をかけて実際に自分で剖出をしていき理解を深めます。生理学、生化学はとにかく暗記量が膨大です。しかし、これらの基礎医学の理解はこれ以降の臨床医学にどれもつながってくるので臨床へのつながりを意識しながら学修を進めていくことが重要です。
多くの大学では2年生まで、もしくは3年生の前半で基礎医学の学修を終了します。
3年生、4年生についてです。3年生からは臨床歯科医学の学修がついに開始となります。これまで学んだ基礎医学の知識を応用して、むし歯や歯周病、入れ歯、矯正などの治療について学んでいきます。
基礎医学までと大きく異なるのは実習の量です。
ほぼ毎日実習となり、実際の治療の手技を習得していきます。
また、4年生での大きなイベントとしてはCBT、OSCEの共用試験です。
この試験は、5年生からの臨床実習に参加するために行われる全国の歯学部生が共通で受験する試験になります。
試験範囲は基礎医学を中心にした全科目となるので非常に膨大なものとなっています。
この全国の歯学部生が受験する共用試験を乗り越えるためには、やはり日ごろから学習をきちんと継続しておくことが必要となってきます。
また、意識しておいてほしいことは、4年生終了までの知識等の習得をきちんとできていないと5年生以降に挽回することは非常に困難であるということです。
国家試験の成績はCBTの結果に大きく相関しているということも言われており、とても重要度の高い試験になります。
つまり、低学年の勉強が歯学部において非常に大事ということです。
続いて、5年生についてです。
5年生では主に臨床実習になります。実際に治療の現場に出て、治療の見学や介助を行います。
実際の症例を通して、疾患のイメージをつかみ理解を深めていきます。
大学での講義はこの時期ではほぼないことになるので、自己学習を自ら進めておくことが求められます。
最後に6年生についてです。6年生では大きく2つの山場があり、卒業試験と歯科医師国家試験になります。
どちらも現状では厳しい試験となっています。
やはり6年生になってからの対策では間に合わないので、低学年からコツコツと学習しておくことが大事です。
卒業試験では大学によって違いもありますが、多くの大学では複数回設定されておりその平均で合格点を上回ることが必要になります。なので、なるべく早期の時期に卒業試験対策を完成させている必要があります。
ここまで、各学年の特に勉強面について触れてきました。
歯学部では進級や卒業が厳しくなってきているということを聞いたことがあるかもしれません。
たしかに厳しくなっていることはあります。
しかし、歯科医学は奥深く、学ぶほど興味の惹かれるものであると思います。
大事なことは低学年から学習方法を確立し、正しい勉強方法を身につけることです。