目 次
1,歯科医師国家試験の合格率は久しぶりに70%の大台超え
2,大阪歯科大学の新卒合格率は100%ではあるものの
3,歯学部6年生の扱いは大学によって異なる
1,歯科医師国家試験の合格率は久しぶりに70%の大台超え
今年の2月1日(土)、2日(日)に第118回歯科医師国家試験が行われ、その合格発表が3月14日(金)にありました。
今年の歯科医師国家試験は3039人が受験し、そのうち2139人が見事に合格して歯科医師免許を取得することになりました。
歯科医師国家試験全体の合格率は70.3%と本当に久しぶりに70%の大台を超えることが出来ました。
厚生労働省は歯科医師国家試験の大学別の合格状況も発表していますが、それを見ると大阪歯科大学は新卒で60名が受験し、その全員が合格しました。
大阪歯科大学は、新卒100%合格を達成しました。
ただ、この結果を手放しで「素晴らしい」と称賛することにはためらいがあります。
2,大阪歯科大学の新卒合格率は100%ではあるものの
厚生労働省が発表した歯科医師国家試験の大学別の結果を細かく見ると、大阪歯科大学の新卒は「受験者数 60人、合格者数 60人、合格率 100.0%」となっていますが、受験者数の前に「出願者数」という項があります。
大阪歯科大学の新卒出願者数は90人となっています。
新卒出願者数は、大阪歯科大学の6年生の人数と考えていいでしょう。
大阪歯科大学の6年生は90人いたものの、そのうち歯科医師国家試験を受験したのは60人ということになります。
つまり、「6年生90人のうち30人は卒業認定が貰えなく留年となり、歯科医師国家試験を受けられなかった」ということと、考えていいでしょう。
「歯科医師国家試験に合格できる6年生だけを卒業させた」と言われそうな状況です。
大阪歯科大学新卒の歯科医師国家試験結果
出願者数 受験者数 合格者数 合格率
90人 60人 60人 100%
3,歯学部6年生の扱いは大学によって異なる
歯学部6年生の扱いについては大学によって違いがあります。
東京歯科大学は歯科医師国家試験の出願者数149人、受験者数は133人で16人の6年生が卒業させてもらえなかったと考えられます。
結果として、東京歯科大学の新卒合格率は97.0%と非常に高い合格率になっています。
昭和大学歯学部の新卒出願者数は94人で、新卒受験者数は87人でした。
6年生94人中、卒業認定が貰えなかった学生は7名と考えらますが87人が受験し
85名が合格して合格率は東京歯科大学を上回る97.7%でした。
出願者数を6年生の人数とすると、6年生のほとんどを歯科医師国家試験に受験させている大学もあります。
日本歯科大学新潟生命歯学部は6年生55人のうち53人を受験させ47人が合格しました。
日本歯科大学新潟生命歯学部の新卒合格率は88.7%でした。
愛知学院大学歯学部は6年生126人のうち123人を受験させ、105人が合格し新卒合格率は85.4%でした。
注目したいのは福岡歯科大学です。
福岡歯科大学は6年生101人のうち99人が歯科医師国家試験を受験して、合格者は53名、合格率は53.5%でした。
新卒合格率が最も低い歯学部という結果に終わりました。
昨年の福岡歯科大学は6年生100人中、74人だけが受験していましたが今年から「なるべく多くの6年生に受けさせよう」と方針が変わったようです。
方針変更の理由について、噂は聞いていますが本当かどうか分かりませんので、ここでは触れません。
4,歯科医師国家試験の合格率は、出願者数と受験者数の差にも注意
このように、歯科医師国家試験の合格率を見る時には、単に「合格率」だけでなく、
「出願者数」と「受験者数」の差にも注目するといいでしょう。
更に新卒だけでなく、「既卒」の合格率も見てみるといいと思います。
歯科医師国家試験の結果を改めて見てみると、国公立・私立の歯学部、新卒・既卒を合わせた第118回歯科医師国家試験全体の出願者数は3431人、受験者数は3039人で、出願したものの受験しなかった、あるいは受験できなかった人数は392人でした。
出願者の11.4%が歯科医師国家試験を受験しませんでした。