未分類

医学部受験、歯学部受験のAO、推薦は他学部とは別物

目次
1. はじめに:医学部・歯学部のAO・推薦は「別物」
2. 1. AO・推薦でも「学力重視」は変わらない
3. 2. 高校での実績・評定が極めて重要
4. 3. 面接・小論文の重みが段違い
5. 4. 高倍率と狭き門:推薦=楽ではない
6. 5. 志望理由と将来展望が問われる
7. 6. 面接で「人間性」が問われる理由
8. まとめ:AO・推薦を甘く見てはいけない
________________________________________
はじめに:医学部・歯学部のAO・推薦は「別物」
大学受験において「AO入試(総合型選抜)」や「推薦入試(学校推薦型選抜)」といえば、一般選抜よりもやや間口が広く、受験生の個性ややる気が評価されやすい柔軟な入試制度だというイメージが一般的です。
しかし、医学部や歯学部におけるAO・推薦入試は、そうしたイメージとは全く異なります。
実は、一般入試同様に準備と覚悟が必要であり、評価基準も厳しいのです。
今回は、なぜ医学部・歯学部のAO・推薦入試が「他学部とは別物」と言われるのか、私立大学医学部入試、私立大学歯学部入試について解説していきます。
ここから先で、「医学部」・「歯学部」とあるのは、「私立医学部」・「私立歯学部」のことになります。

1. AO・推薦でも「学力重視」は変わらない
多くの学部で、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)では学力試験が免除される場合が少なくありません。
しかし、医学部入試・歯学部入試に関しては事情が違います。
総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)であっても、学力試験が課されるケースが一般的です。
学力試験の試験内容も、高度な理科・数学・英語の知識や応用力が問われるものが主流です。
さらに、小論文や記述問題によって論理的思考力・表現力まで評価されます。
つまり、「推薦・AOなら勉強しなくても大丈夫」という考えは、医学部・歯学部では通用しません。
昭和医科大学歯学部や明海大学歯学部の総合型選抜や東邦大学医学部、東京女子医科大学の学校推薦型選抜では英語や数学といった学力試験は行われません。
しかし、「入学するのに相応しい人物か」を試す、学力試験とは違った形の筆記試験が行われます。
これに対する準備は当然に必要です。

2. 高校での実績・評定が極めて重要
AO・推薦入試では、高校時代の評定平均が大きな鍵を握ります。
医学部では4.0以上、が出願条件になる大学が大半です。
歯学部では評定平均による出願条件を設けている大学は少ないのですが、一部の大学では評定平均での出願制限があります。
つまり、高校3年間の成績である評定平均が低いと、志望校を受験することさえ出来ない恐れがあります。
加えて、次のような実績も加点対象になります。
• 科学・数学オリンピックなどの出場歴、受賞歴
• 英語検定・TOEFLなどのスコア
つまり、「推薦・AOを狙うなら高校1年生の時点から戦いは始まっている」ということです。

3. 面接・小論文の重みが段違い
一般的な学部のAO入試や推薦入試では、面接や小論文は「実質的に形式的」になっていることもありますが、医学部・歯学部では核心部分です。
小論文では医療倫理や医療制度、地域医療、命の価値、今後の医療などをテーマに深い考察が求められます。また、面接では以下のような要素が重視されます。
• 医師・歯科医師になりたい理由の明確さ
• 人間性・責任感・使命感
• 対人スキル・共感力
• 課題解決力・論理的思考
また、MMI(多面接試験)やグループディスカッションを採用する大学も増えており、訓練なしでは太刀打ちできない内容です。
例えば、東海大学医学部の総合型選抜「希望の星入試」では「オブザベーション評価」が行われます。
グループディスカッションの1種と言えますが、受験生としては「そもそも何をやるのか分からない」のが現実でしょう。
事前に準備した受験生とそうでない受験生で、大きな差がついてしまうのは当然と言えます。
ちなみにメルオンでは、東海大学医学部の希望の星入試に11人が志願し、10人がオブザベーション評価を乗り越えました。
事前準備の成果だと思います。

4. 高倍率と狭き門:推薦=楽ではない
「AO・推薦入試だから簡単」というイメージは完全に誤りです。
医学部の推薦・AO入試は、募集人数が少ないことが多く、それに対して何倍もの受験生が殺到します。
倍率10倍以上になるケースも珍しくありません。
歯学部でも、学校推薦型選抜に関しては高校からの推薦枠に限りがあるため、選ばれた生徒しか出願できません。
そもそも学校推薦型選抜(推薦入試)は医学部であれ歯学部であれ、出願に際して「学校長の推薦」が必要となります。
高校から「推薦」をいただきそして、そこからさらに絞られるという流れです。
特に医学部でも歯学部でも指定校推薦の場合、まず校内選考に勝ち残らなければなりません。

5. 志望理由と将来展望が問われる
医学部・歯学部のAO・推薦では、志望理由書の内容が重視されます。
金沢医科大学AO入試では、志望理由などを書く「自己推薦書」に60点の配点があります。
英語も数学も配点50点なのですが、自己推薦書にはそれを上回る配点があります。
志望理由書には、次のような内容が求められます:
• 自分の体験と医療職への結びつき
• なぜ医師・歯科医師を志すのか
• 将来どんな分野に進みたいか
• 社会や地域にどう貢献したいか
• 6年間、どのような学生生活を送りたいか
これらを支えるエピソードや体験の裏付けが必要です。
家族や友人そして自分自身の受診経験、見学、ボランティア、医療従事者との対話など、リアルな経験がないと説得力ある志望理由はなかなか書けません。

6. 面接で「人間性」が問われる理由
医療職は、命を預かる責任ある職業です。そのため、受験段階から「人として信頼できるかどうか」が重視されます。
同時に「自校の学生として相応しいか?」という視点でも評価されます。
面接では、以下のような質問がされることがあります。
• 患者さんとの信頼関係をどう築くか
• 将来、目指す医師(歯科医師)像
• チーム医療での役割をどう考えるか
• 命の選択を迫られたとき、どう判断するか
• 失敗や挫折をどう乗り越えてきたか
これらに対して、自分の価値観と論理で答えられることが合格への条件です。
ここで注意が必要なのは、「自分が満足する答え」ではなく、「面接官が満足する答え」である必要があることです。
ですから出来れば医学部や歯学部関係者と頻繁に会って「医学部(歯学部)の本音」が分かっている人に面接を見てもらうといいでしょう。
専門予備校の人間も案外、大学関係者とあまり会っていないことが多くあり、そういった人の面接指導は「甘い指導」となってしまう恐れがあります。

まとめ:医学部受験、歯学部受験では、AO・推薦を甘く見てはいけない
医学部・歯学部のAO・推薦入試は、次のような特徴があります。
• 学力試験がある場合が多く、難易度も高い
• 評定・課外活動など総合的な評価が重視される
• 面接・小論文の比重が大きく、内容も専門的
• 募集人数が少なく、高倍率
• 医療人としての資質・人間性が問われる
つまり、「推薦だから楽」「AOだから簡単」という発想は完全に通用しないのが、医学部・歯学部の特殊性です。
逆にいえば、早い段階からしっかり準備し、自分の進路や将来像と真剣に向き合った受験生にとっては、大きなチャンスにもなり得ます。
推薦やAO入試を考えているなら、今この瞬間から始めるべきです。
「学力・人間力・将来像」すべてを磨く長期戦に備えましょう。
具体的に医学部や歯学部の推薦・AOを考える際に「過去問を公表していない」ことも少なくありません。
「どんな試験内容なのか?」、「問題のレベルはどうなのか?」こういったことで悩む受験生も多くいます。
そんな時は医学部受験、歯学部受験に詳しい予備校に相談してみてください。
役に立つ情報を得られると思います。