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一般選抜の志願者、歯学部大幅増、医学部は横ばい

 

目 次

1,私立380大学の一般選抜志願者数を集計

2,私立大学志願者増の要因

3,私立歯学部の志願者は19%もの大幅増

4,私立歯学部志願者大幅増の要因

5,私立医学部の志願者数は横ばい

6,国公立大学一般選抜の志願者は1%増

7,国公立大学一般選抜、歯学部は志願者増、医学部は志願者減

 

1,私立380大学の一般選抜志願者数を集計

 

駿台予備学校が今年1月から3月に行われた2025年度一般選抜(一般入試)についての集計を発表しました。

 

私立大学についての集計は、私立大学380校の一般選抜の志願者数をまとめたもので、学校推薦型選抜(推薦入試)や総合型選抜(AO入試)の志願数は含まれていません。

 

志願者数が判明した380大学の合計志願者数は約308万人で、前年の志願者数に比べ7%増となっています。

駿台予備学校では未集計分を合わせて私立大学一般選抜全体の志願者数を325万人程度、前年の6.7%増と予想しています。

 

2,私立大学志願者増の要因

 

私立大学の一般選抜志願者増の要因として駿台予備学校は3つの要因を挙げています。

 

  •  18歳人口の増加による受験人口の増加
  •  教育課程変更や共通テストの出題傾向変容による安全志向から私立大併願校の増

  •  共通テスト平均点アップに伴う目標ライン上昇により、併願校の追加出願

 

地域別に見ると首都圏などの都市部の大学への志願者が増加しましたが、駿台予備学校は、「コロナ禍の終息に伴い、地方在住者は地元から離れた都市部の私立大を志望するようになったことが影響している」、としています。

 

一般選抜を「一般方式」と「共通テスト利用方式」に分けて集計結果を見てみると、共通テスト利用方式(共通テスト利用入試)の志願者は前年に比べ12%の伸びで、特に共通テスト利用方式の志願者増が目立ちます。

 

私立大学共通テスト利用入試の志願者の内訳を見ると、成績下位層では伸びていませんが、成績上位層での伸びが目立ちます。

「国公立大学志望者の、私立大学共通テスト利用入試併願が増えた」と思われます。

 

3,私立歯学部の志願者は19%もの大幅増

 

駿台予備学校は、私立大学380校の一般選抜(一般入試)の志願者数を学部系統別でも集計しています。

 

2025年度入試で最も志願者数を伸ばしたのは歯学部で前年に比べ19%もの大幅な伸びでした。

後で触れますが、国公立大学歯学部も3年連続で志願者数を増加させていて、「歯学部人気」の回復を感じます。

 

私立大学歯学部の志願者数を大学別に見ると39%増の昭和医科大学、20%増の愛知学院大学が目に付きます。

昭和医科大学歯学部の志願者増の要因として、「歯科医師国家試験合格率の高さ」、「学費」、「キャンパス移転と校名変更」といったことが考えられます。

特に、歯科医師国家試験合格率については表面的な合格率ではなく、「留年することなく卒業し、卒業と同時に歯科医師国家試験合格した学生の割合」など、歯科医師国家試験の結果をよく理解した受験生が志願者増につながったと考えられます。

 

このブログでもたびたび触れて来ましたが、各大学の歯科医師国家試験合格率は「操作」することも可能ですので、表面的な合格率だけを見るのではなく、内容も理解することが大切です。

 

愛知学院大学歯学部も一般選抜の志願者を大きく伸ばしましたが、これは歯学部長が代わってからの教育改革や新しい教育棟、末盛キャンパスでの病院新棟などが受験生にアピールしたと思います。

 

4,私立歯学部志願者大幅増の要因

 

歯学部志望者が増加した要因として、「同じように医療者を目指す医学部が難しすぎる」ということもあると思いますが、私が最も大きな要因として考えるのは「歯科医師数が減少期に入った」ということです。

 

厚生労働省の統計開始以来、全国の歯科医師数は増え続けていましたが、ついに歯科医師数は減少に転じました。

「歯科医師の年齢別構成」や「歯科医師国家試験合格者数」を見れば、これは一過性のものではなく今後、歯科医師数は急激に減少を続けることが確実です。

一時期、「コンビニより多い」と言われた歯科を取り巻く状況は大きく変わろうとしています。

 

受験生が歯学部に入学し6年間学び、歯科医師免許取得後1年の研修を終える7年後には、歯科医師数の減少は更にはっきりしていると思われます。

 

受験生の「歯学部人気」は、今後も着実に回復していくと思います。

 

5,私立医学部の志願者数は横ばい

 

私立大学医学部一般選抜の志願者数は、前年とほぼ同数で横ばいとなりました。

まだ全ての大学の志願者数が集計出来ているわけではありませんが、志願者増が目立った医学部は獨協医科大学、昭和医科大学、福岡大学が挙げられます。

一方で、一般選抜の志願者減が目立った大学として藤田医科大学が挙げられます。

 

2025年度私立医学部一般選抜の大学別の志願者増減の要因は「入試日程」が大きく影響しています。

「他の医学部との試験日重複」、逆に「他の医学部との試験日重複の解消」は私立医学部の志願者数に大きな影響を与えます。

 

なお、文部科学省は「学力試験を伴う入学試験は2月以降」としていて、東洋大学の学校推薦型選抜をきっかけに、このことがクローズアップされました。

もし来年度入試で、このことが厳格に適用されれば私立医学部入試の日程は大きく影響されます。

今後、各大学が発表する入試日程を注視していきます。

 

私立医学部一般選抜については、全ての大学の志願者数が判明してから改めて詳細に分析致します。

 

6,国公立大学一般選抜の志願者は1%増

 

国公立大学に目を転じましょう。

 

文部科学省の集計によると、2025年度国公立大学一般選抜前期、中期、後期の合計志願者数は前年比1%増の428501人で志願倍率は4.36倍となりました。

 

共通テストの平均点が上がったことで、国公立大学に対して受験生は弱気になることなく出願したと思われます。

 

国公立大学一般選抜の志願者数を学部系統別に見ると国際関係学部系統が10%増で最も志願者を伸ばしています。

 

7,国公立大学一般選抜、歯学部は志願者増、医学部は志願者減

 

歯学部の志願者は5%増で、国公立大学全体の伸び率1%を上回る伸び率でした。

国公立歯学部一般選抜の志願者は3年連続の増加となりました。

 

国公立大学医学部一般選抜の志願者数ですが、5%の減少で歯学部とは対照的な結果となりました。

「医学部は難しすぎる」と考える受験生が増えたことが1つの要因だと考えられます。