１，学力試験は２月１日から３月２５日まで

これまで文部科学省は「大学入学者選抜要項」で、学力試験は年明けの「２月１日から３月２５日に実施」としてきました。

私立医学部や私立歯学部を目指す受験生の皆さんにとっては「えっ？推薦・AOで学力試験やってるじゃない」と感じていたと思います。

確かに、私立医学部の学校推薦型選抜（推薦入試）総合型選抜（AO入試）では「学力試験が行われるのは当たり前」です。

東邦大学医学部の総合型選抜や東京女子医科大学の学校推薦型選抜では英語や数学、理科の学力試験はありませんが、それに代わる筆記試験は課されています。

東京女子医科大学の「思考力試験」、東邦大学医学部の「適性試験・基礎学力」がそれにあたります。

私立歯学部入試でも同じように学校推薦型選抜でも総合型選抜でもほとんどの大学で学力試験を課しています。

昭和医科大学歯学部の総合型選抜では「模擬授業および理解度の確認」といった英語や数学、理科の学力試験とは違う形の筆記試験を課しますが、「小論文や面接だけ」ということではありません。

２，文部科学省のルールと医学部入試、歯学部入試

私自身も「年内入試でも学力試験は当たり前」の医学部入試、歯学部入試だけを見続けて来ましたので、「年内入試」と言われる、学校推薦型選抜や総合型選抜では「学力試験を課してはいけない」という文部科学省のルールには違和感を覚えていました。

「学力試験は２月１日から３月２５日」というルール（大学入学者選抜実施要項）を厳密に守れば、１月に始まる私立医学部一般選抜、私立歯学部一般選抜はこれまでの入試日程を大きく変更しなければなりません。

そうすると、試験日重複の大学が激増することになり、１年に１回の一般選抜受験の機会が大きく減少してしまうことになります。

昨年、医学部や歯学部を持ってはいませんが、東洋大学が新に学力試験を課す学校推薦型選抜を実施し、２万人の受験生を集めたことをきっかけに、文部科学省のルール（大学入学者選抜要項）が改めてクローズアップされました。

この「大学入学者選抜要項」は、文部科学省が一方的に決めているわけではなく文部科学省と高校や大学の代表者が集まる「大学入学者選抜協議会」で決めています。

主に高校側が「学力試験は２月１日から」に拘っているようです。

一口に「高校」と言っても、ほぼ全員が大学進学を目指し高校の履修範囲をかなり早くに終えてしまう高校もありますが、「年内にすべてを終えるわけではない」高校もあるでしょう。

３，新しい文部科学省のルールでは医学部入試、歯学部入試を追認

高校によって事情が異なる中、文部科学省は「大学入学者選抜協議会」を経て、来年度入試に関する「大学入学者選抜要項」を昨日、発表しました。

それによると「出願書類、小論文、面接、実技試験などと学力試験を組み合わせる」ことで学校推薦型選抜、総合型選抜でも学力試験を課すことを認めました。

恐らく、高校側の反発はあったとしても文部科学省としては「現状」を否定するわけにはいかなかったのだと思います。

４，医学部受験、歯学部受験は他学部とは違うことを忘れてはいけない

学校推薦型選抜や総合型選抜に関するネット上の記事を見ると、「これまでの活動実績や意欲が大切」と書かれている記事を非常に多く目にします。

「年内入試に特化した予備校」のサイトにも、そういったことが書かれています。

「志望理由書を徹底指導」、「活動報告書などの出願書類添削」などが書かれています。

医学部と歯学部以外の入試ではそうなのかもしれませんが医学部入試、歯学部入試では「年内入試」であっても、圧倒的に「学力重視」です。

純粋な学力試験が無くても違う形の筆記試験で能力を計ります。

多くの学部は４年間ですが、医学部や歯学部は６年間で医療に必要な知識と技術を学びます。

そのうえで医師国家試験、歯科医師国家試験に合格して初めて「医師」、「歯科医師」として医療行為を行うことが出来ます。

医学部、歯学部入学後の勉強についていける能力は絶対に必要で、年内入試でもそこは厳密に試されます。

評定平均も出願条件を満たしていれば、合否には影響しません。

高校による格差があるからで、大学進学者がほとんどいない高校の評定と東大や京大に多数合格者を出す高校の評定を一律に扱うわけには行きませんし、大学も全国の高校の事情を分かっているわけではありません。

結局、大学は自分のところの試験しか信用していません。

医学部受験や歯学部受験に備えて頑張っている受験生の皆さんは、「志望校合格に向けて自分は何をすべきか」を考えて勉強を進めて下さい。

「医学部受験、歯学部受験は他の学部とは違うんだ」ということを忘れないでください。