医学部の情報を読み解く

私立医学部の志願倍率は、ダントツの27.1倍(2019-09-04)

私立学校への補助金交付などを担う、日本私立
学校振興・共済事業団が8月8日に「2019年度
私立大学、短期大学等入学志願者動向」を発表
しました。

ニュースなどで「私立大学で定員割れの大学は、
194校で私立大学の33%」と報道されています
が、それはこの「私立大学、短期大学等志願動
向」が情報源です。

この「志願動向」には、実に様々なデータが掲
載されています。2019年度入試の私立大学全
体の志願者数は、442万6千人で、前年に比べ
26万7千人増加しました。この10年で私立大
学の志願者数は、124万8千人増えています。

もちろん、これは私立大学全ての大学、学部の
志願者数を足した数で、「延べ人数」です。ちな
みに私立大学は全国に591校ありますが、その
うち587校の調査結果です。

私立大学の志願者数が大きく伸びている理由と
してまず挙げられるのが「全学部入試の導入」
です。

例えば、日本大学医学部のN方式入試を受験
する際に、他学部との併願を希望すれば、同
じ日本大学の歯学部や松戸歯学部を併願受験
したことになります。

日本大学医学部N方式の「N」は日本大学の
「N」です。こういった全学部同じ日に同じ
問題で行う入試が「全学部入試」です。

私立大学で全学部入試の導入が進んだことで、
志願者数が増えました。また医学部入試、歯学
部入試でも多い「センター試験利用入試」の導
入も志願者増につながりました。

ここ数年、「私立大学の合格者抑制」が言われて
入試にも影響を与えてきました。「志願動向」を
見ると2017年度、2018年度の私立大学合格者
数は確かに減少しています。

2016年度入試の私立大学全体の合格数は、124
万6千人でしたが、2018年度の合格者は、121
万2千人で3万4千人減少しています。

ただし、2019年度入試の合格者数は3万8千人
も増えています。これは、「合格者数の抑制で、
私立大学は難化した」と考えた受験生が併願校を
増やし、その結果として辞退者が増え繰り上げ合
格者が増えたことも合格者数増加の一つの要因で
はないかと思います。

さて、この「私立大学、短期大学等入学志願動向」
には、「学部系統別の志願倍率過去5年の推移」も
掲載されています。

志願倍率は、志願者数を入学定員で割った数値で
すので、受験者数を総合格者数で割った実質倍率
とは違いがありますが、一つの目安となります。

私立大学の志願倍率トップは医学部で、27.1倍で
した。医学部に続くのが理・工学系の12.9倍で、
志願倍率が10倍を超えたのは、この二つの学部・
系統だけです。

薬学部の志願倍率は7.9倍、歯学部は4.9倍でした。
文系の学部系統で志願倍率が10倍を超えた学部系
統は、ありませんでした。

これを見ても、大学入試の中で医学部が突出した
人気であることが分かります。医学部人気が急降
下することは考えにくく、しばらくは「医学部は
別格に難しい」状況は変わらないと思います。

だからこそ、それぞれの医学部受験生一人ひとり
が、自分が医学部に合格するための作戦、戦略を
しっかり考えてください。