― 駿台模試(9月)データから読み解く歯学部の最新動向―
【目次】
- はじめに:2026年度入試、歯学部が“異例の人気”
- 国公立大学の志望動向:歯学部の指数は111
- 私立大学の志望動向:歯学部は110で2年連続大幅増
- 医療系人気は落ち着く中、歯学部だけが伸び続ける理由
- 歯学部人気が続く理由5つ
5-1. 医療専門職としての安定性が再評価されている
5-2. 学費が下がり、進学しやすくなった
5-3. 歯科医師の大量引退が始まり、将来のニーズが高まっている
5-4. 医学部人気の過熱による“学力層の移動”
5-5. AI時代における「歯科医療の代替困難性」 - 志望者増が入試に与える影響(国公立・私立)
- 歯学部受験生への専門家アドバイス
- まとめ:歯学部人気は一過性ではなく長期トレンド
- はじめに:2026年度入試、歯学部が「異例の人気」
2026年度大学入試における志望動向が見えてきました。
朝日新聞の教育サイトEduAが、駿台予備学校の担当者へのインタビュー記事を掲載しています。
今年の駿台模試(9月実施)のデータを見ると、最も目立つのが 歯学部の志望者増 です。
医療系人気が落ち着く中、歯学部だけが国公立・私立ともに2年連続で二桁増の伸び を記録しています。
ちなみに駿台予備学校によると医学部医学科の対前年指数は国公立で98,私立で102となっています。
私立医学部は若干の伸びを見せていますが、国公立医学部ではマイナスとなっています。
いずれにしても歯学部の伸びが非常に目立ちます。
- 国公立大学の志望動向:歯学部の指数は「111」
- 国公立大学全体志望指数:101
- 歯学部志望指数:111
国立大学全体の対前年指数は101で「横ばい」ですが歯学部は2桁の伸びです。
国公立大学全としては「前年並み」なのに対して歯学部だけが +11%の大幅増となりました
他の医療系では志望者が横ばい〜減少傾向にあるため、この伸びは際立っています。
国公立歯学部は募集定員が少ないため、これだけの志望者増は実質的に 難化をもたらす可能性が高い といえます。
- 私立大学の志望動向:歯学部は「110」で2年連続大幅増
私立大学全体の対前年志望指数は 102 に対し、歯学部は 110 とこちらも大幅な伸び。
私立歯学部はここ数年で
- 学費の値下げ
- 国家試験対策の改善
- 進級基準の明確化
- 臨床教育の強化
が進んだこともあり、受験生の評価が一段と高まっています。
- 医療系人気は落ち着く中、歯学部だけが伸び続ける理由
コロナ禍では「社会に貢献できる職業」ということから、医療系学部に多くの受験生が流れ込みましたが、現在はその勢いが落ち着いています。
- 医学部 → 微増または横ばい
- 薬学部 → 減少傾向
- 保健系 → やや減少
しかし歯学部だけは国公立も私立も2年連続で二桁増です。
ここには「構造的な理由」があります。
- 歯学部人気が続く理由5つ
5-1. 医療専門職としての安定性が再評価されている
歯科医師は景気に左右されにくく、独立開業や勤務医として長期的に安定したキャリアが描けます。
また、当直や救急、時間外の診察が基本的になく、自分の生活時間を確保しやすく、特に女子の人気が高まっています。
こういった状況の中、「手に職をつけたい」という価値観が強まる中で歯科医師の魅力が再び注目されています。
5-2. 学費が下がり、進学しやすくなった
ここ10年で私立歯学部の学費は大きく下がりました。
医学部の学費が高止まりしている一方、歯学部は現実的な選択肢として受験生や保護者の支持を集めています。
5-3. 歯科医師の大量引退が始まり、将来のニーズが高まっている(新項目)
歯学部人気を語る上で、今もっとも注目されているのがこの点です。
- 高齢歯科医師の“大量退職期”に入った
日本では歯科医師の大量養成期が 1970〜1980年代 にあり、
この世代が今 70歳前後に到達し、一気に引退フェーズへ 入っています。
- 地域歯科医療ではすでに“空洞化”が始まっている
- 地方で後継ぎ不足
- 歯科医院の閉院が増加
- 介護・訪問歯科のニーズ急増
都市部ですら、若手歯科医師の確保が難しくなりつつあります。
- 受験生が“将来の需要”を敏感に感じ取り始めている
受験生や保護者の間で「歯科医師は過剰ではなく、むしろ不足する時代に入った」
という認識が広まりつつあります。
その結果として、
今、歯学部への進学はコストパフォーマンスが良い という判断が増えているのです。
5-4. 医学部人気の過熱による“学力層の移動”
医学部人気の過がし続いているため、中堅〜上位層の一部が最難関の医学部を避け、歯学部へ志望変更するケースが増えています。
その結果、歯学部の偏差値帯が全体的に底上げされる現象が起きています。
駿台予備校の「歯学部の偏差値ランキング」を見ても、その傾向は明確に見て取れます。
5-5. AI時代における「歯科医療の代替困難性」
AIが急速に発達しても、歯科医療は
- 口腔内という狭く複雑な空間での手技
- 患者との細かなコミュニケーション
- オーダーメイドの処置
など、AIでの代替が極めて困難です。
「将来AIに奪われない仕事」として受験生に選ばれる傾向も強まっています。
一方、医師の世界では、AIの活用が広がることが予想されています。
- 志望者増が入試に与える影響(国公立・私立)
◆ 国公立大
- 共通テストのボーダー上昇
- 前期日程の倍率上昇
- 後期日程は例年以上に“激戦”の可能性
- 出願戦略の比重が増す
◆ 私立大
- 上位校(昭和医科・日大・東京歯科・日本歯科・大阪歯科など)は難化
- 中堅校も学力層の底上げが発生
- 安全校の確保が従来より重要に
- 歯学部受験生への専門家アドバイス
- 国公立志望者
- 二次試験科目が多い大学が多いため、早めの対策が必須
- 面接・小論文の準備は後回しにしない
- 共通テスト後の出願は、候補の大学を事前に考えておく
- 私立志望者
- 後期・2期は医学部志望者が出願するので、前期・1期で決める
- 英語・数学・理科の基礎問題の取りこぼしが命取り
- 併願校は“広め・厚め”に設定するのが安全
- まとめ:歯学部人気は一過性ではなく長期トレンド
国公立も私立も、歯学部志望は 2年連続の大幅増。
医療系人気が落ち着く中で歯学部だけが伸びている背景には、
- 医療職としての安定性
- 学費の低下
- 歯科医師の大量引退という構造的な人材不足
- 学力優秀層の流入
- AIで代替できない専門性
といった複数の要因が重なっています。
歯学部人気は一時的なブームではなく、今後も続く可能性が高い「本物のトレンド」です。
2026年度の入試では、例年以上に
「情報収集」と「出願戦略」が合否を左右する1年となるでしょう。
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